歌集『ジョットの真青』 徳高博子
2022.3.1 発行 ふらんす堂 ¥2.860
弊ブログの例外として歌集を紹介します。
淡墨の桜のいろの慕はしさ年ふりてこそひらく花あれ
さらっと読んだ中で私が好きな1首です。
Wikipediaの引用ですが、
「ジョット・ディ・ボンドーネ(伊: Giotto di Bondone、1267年頃-1337年1月8日)は
中世後期のイタリア人画家、建築家。日本でも諸外国でも単にジョット(ジオット)と
呼ばれることが多い。フィレンツェ共和国(現在のイタリア・トスカーナ州近辺)の
首都フィレンツェ近郊の出身といわれており、その絵画様式は後期ゴシックに分類され、
イタリア・ルネサンスへの先鞭を付けた偉大な芸術家と見なされている。」
この画家が本集のタイトルに採られているようです。
ジョットを詠んだ作品が収載されています。
ジョットの真青 天上の青 永遠の吾が憧れよ もうすぐあへる
著者にお目にかかったことはありませんが、
「玲瓏」や「未来」で作品を拝読することがありました。
何かの折に歌集を頂戴し、私の個人誌「晴詠」を
お送りするようになったのですが、いつでしたか、
「短歌をやめるので」という、連絡を頂いたのです。
これは「晴詠」をもう送ってくれるなという意味だと解釈し、
お手紙を書き、その後は音信不通となっていました。
ところが昨日、瀟洒な歌集が届いたのです。
装幀を見ただけで徳高さんの世界です。
「ああ、復活されたんだ」と、私はうれしかった。
いつもの習いで、歌集をひらくとき最初にあとがきや解説を読みます。
「あとがきにかえて」と題された文章は
「妻 徳高博子はこれまでに…」と書き出されていて、
ご主人が書かれていることがわかります。
長くはない文章ですが、徳高さんの人となり、ご夫婦の関係がよくわかります。
2000年の短歌研究新人賞で塚本邦雄が徳高さんを一位に推したことなどが
書かれています。
徳高さんは昨年秋、膵臓がんとわかったそうです。
長くて余命半年と宣告されたそうです。
これらが明らかにされるに連れて胸に迫るものがありました。
「あとがきにかえて」を読み終えたあと、なんとも言えない気分で
さらっと作品を読みます。
一頁三首組は塚本邦雄がもっともバランスがいいと言っていたことを思い出します。
収録歌数265首。
これから何度か読み返すこととなるでしょう。