ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

ミステリー「チーム・バチスタの栄光」

2007-12-16 17:55:15 | 勉学
心臓外科に於けるバチスタ手術のことは、何年か前にNHKプロジェクトXという番組で紹介されたのを見た。海外で武者修業を積んできた「神の手」と言はれる南淵明宏先生のことだった。まだ日本では一般的でなかったバチスタ手術で心臓病患者の多くを救っておられたのだ。
そして今週木曜に最終回となる、TVドラマ「医龍」の朝田医師もこの「神の手」を持つ心臓外科医の話だ。

小生は今回、ミステリー文庫本「チーム・バチスタの栄光」を読んだのでした。著者は現役の医師の海堂尊である。
何と映画化されて、来春封切りとなるらしい。主演の阿部寛や竹内結子が記者会見で披露していたのを見ました。ミステリー小説なので最後の結末まで読んでしまったので、映画を見ても詰らないなーと正直何か損をした気分である。

さて小説であるが、通称バチスタ手術とは肥大した心臓の一部を切り取り、小さく作り直すという手術だ。成功率は6割と云うほど難しい。舞台となる大学病院では、米国から帰国した桐生助教授がこの難解な手術を受持って一年になる。その間の手術の成功例から世間では「神の手」と持て囃すが、30例の手術を終えた時点で、3例の術中死が発生してしまう。桐生助教授は手術中に何ら問題はないと確信しているが、病院長と相談して第3者の監察を願う。そこで選ばれたのが大学病院で出生競争を諦め、自ら陽のあたらない部署を担当する神経内科医(通称を愚痴内科)の田口講師だ。30例のカルテの点検、手術チームの担当者のヒァリングを実施するが、特に問題点は見つからない。
そして新たな手術が実施され、その手術にも立ち会うことになる。順調にすすんだ手術だが患者は術後も生還せず死亡する。困った病院長はリスクマネジメント委員会を開催して、田口講師の監察を公にする。さらに厚労省から、新たに白鳥技官を招き再度原因調査に乗り出すことにする。
田口講師と白鳥技官の手術チーム全員へのヒァリングの模様が面白い。手術中に一体何があったのか?術中死後の解剖も残された遺族の気持を考えると実施できない。
暗礁に乗り上げたかに見えた原因追求だが、白鳥技官はほぼ原因が掴めたという。そして次回予定の手術は延期するように言い置いて病院を退出し、国会図書館に籠もってしまう。
しかし次回手術予定患者の容態が急変。緊急手術に踏み切るしか方法がなかった。その結果果たして患者は術中死してしまう。急ぎ戻った白鳥技官は、解剖に代わる方法で死亡原因の特定をする。そしてついに犯人が炙り出される。

実にスリリングな物語の展開は予想を超えた面白さだった。推理小説の常道の探偵物語風の心理劇の様相も含んでいる。さしずめかの名探偵シャーロック・ホームズが白鳥技官なら、ワトソン役は田口講師ということになるのだろう。
医学界を良く承知している作者ならではの、医療行政への批判も含めている。最近では出色のミステリーだと思う。
久しぶりに夜更かしをしてしまった。

コメント (3)
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