「はぁ?!誰が来れねーって?!
おい!準備万端でも誰も来なかったらどうにもなんねぇだろうがよ!!」
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店に健太の怒号が響く。その凄い剣幕に、周りの人間は黙り込んだ。
「俺と赤山しかいねーじゃんか!広報が!皆どっか痛ぇだのバイトがあるだの‥
マジけしからんっつの!ソッコー来いよ!?」

雪が「実は私設営チームなんです‥」と呟いてみたところで、健太は聞いちゃいない。
絶望の中で聡美(風邪で病院なう)と太一(バイトなう)にメールしてみるも、
その返事は雪の助けにはならなかった。
聡美:あの人どーしたんだろーね?
あたし今注射の順番待ってるとこー
太一:バイト代わってくれる人いないんスよ‥TT

‥これは本気で広報チームのピンチかもしれない。
すると皆に向かって青田淳が口を開いた。
「落ち着いて下さい。
とりあえず設営チームの仕事は昨日ほとんど終わって、余裕がありますからー‥」

「皆で一緒にここの仕上げをしてから、広報の仕事もやりましょう」
「んなバカな!!」
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その淳の提案に、健太が待ったを掛けた。
健太は雪の肩を揺さぶりながら、自己主張を続ける。
「俺ら以外の奴らも連れて来てやらせろよ!
マジありえねーって!俺と赤山だけが~!」
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雪はもう一度「いやだから‥私は違‥」と言ってみたが、やはり健太は聞いちゃいない。
淳はそんな健太の主張に対し、苛立ちを隠し切れない表情で説得を試みる。
「‥とにかくこんな状況ですから、
とりあえず全員で早く仕上げてしまいましょう」

そう締め括った淳に、健太は「ったくよぉ!
」と不満たらたらだった。
淳が「それじゃ始めよう」と声を掛けても、プリプリと怒っている。
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そして掃除が始まったのだが、健太の不機嫌が移ったのか、皆どこかピリピリしていた。
雪はモップ片手に、その空気を感じ取る。
うわ‥この雰囲気どうするよ‥
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本当のところ、義務ではない学祭の準備に時間を取られることは、どこか損をしていると皆思っているのだろう。
しかしやらないわけにはいかない、それを雪はちゃんと分かっていた。
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やらなきゃいけないなら、さっさと終わらせてしまおう。
雪はそう決めると、作業する人々の間を縫ってモップを掛けていく。
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机を動かす人、ナプキンを並べる人、皆それぞれの作業をこなしていた。
雪は皆の邪魔にならぬよう、開いた床を見つけては掃除する。
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不意に、身体に違和感を感じるようになった。
意識が、徐々にぼやけて行くような気がするのだ。
目がシバシバして来て、雪は何度も瞬きする。

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はぁ、と深く息を吐くと、随分と熱い吐息が口から漏れた。
心なしか地面が揺れているような気がする。
暑くない‥?なんか熱ありそう‥
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顔が熱くて、頭がぼんやりする。
雪はニットキャップを取ると、一度上を向いて深呼吸した。
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熱い。
目の前がクラクラして、背中に変な汗が伝う。
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もう切り上げて帰った方が良いかもしれない。
雪はそう思い、周りを見回した。
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もうほとんど作業は終盤だ。
大体全部終わったかな‥
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そう思いながら歩き出そうとしたその時、
モップに足を取られた。
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ぐらりと目の前が揺れ、身体のバランスが崩れる。
冷やっとした感覚が全身に走った。
「あっ‥」
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転ぶ。
そう思った時だった。
ガシッ
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地面に膝をつくかと思ったその時、ふわりと身体が宙に浮いた。
大きな手が、雪のパーカーのフードを掴んでいる。
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雪は目を丸くしたまま、そろりと後ろを振り返った。
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しかし彼と目が合うより先に、グイッとフードを引っ張られ、
雪は前傾姿勢から直立の姿勢にされた。
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改めて、彼の方を振り返る。
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「あ‥」
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見上げると、彼も雪の方をじっと見ていた。
雪はその視線を逸らすことが出来ぬまま、礼を口にする。
「あ‥ありがとうございま‥」
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しかし言い切る前に、淳の方が視線を逸らした。
不機嫌な横顔。
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雪は変な気分になった。
さっきからこの人‥感情がダダ漏れ‥特に私の前では‥
本当に具合悪いのか?
「昨日のことだけど」

そして淳は雪に向かって、ぶっきらぼうにこう言った。
「わざとじゃないから」
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その言葉に、思わず雪は「え?」と聞き返した。
けれど彼はそれ以上口にすることなく、さっさと歩いて行ってしまった。
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何のことだか全然分からない。
思わず雪は首を傾げる‥。
「えぇ?」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<雪と淳>不機嫌 でした。
健太の人間の小ささ‥
いちいちイライラしてしまいます‥。
そして転びかける雪のパーカーを掴む、先輩のタイミングの良さ‥。
きっとずっとチラチラ見てたんでしょうね~
中学生男子か! 笑
次回は<雪と淳>去りゆくメンバー です。
この学祭準備編はなんのひねりもないタイトルが多くなってしまいました‥すいません‥(@@;)
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おい!準備万端でも誰も来なかったらどうにもなんねぇだろうがよ!!」
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店に健太の怒号が響く。その凄い剣幕に、周りの人間は黙り込んだ。
「俺と赤山しかいねーじゃんか!広報が!皆どっか痛ぇだのバイトがあるだの‥
マジけしからんっつの!ソッコー来いよ!?」
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雪が「実は私設営チームなんです‥」と呟いてみたところで、健太は聞いちゃいない。
絶望の中で聡美(風邪で病院なう)と太一(バイトなう)にメールしてみるも、
その返事は雪の助けにはならなかった。
聡美:あの人どーしたんだろーね?
あたし今注射の順番待ってるとこー
太一:バイト代わってくれる人いないんスよ‥TT
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‥これは本気で広報チームのピンチかもしれない。
すると皆に向かって青田淳が口を開いた。
「落ち着いて下さい。
とりあえず設営チームの仕事は昨日ほとんど終わって、余裕がありますからー‥」
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「皆で一緒にここの仕上げをしてから、広報の仕事もやりましょう」
「んなバカな!!」
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その淳の提案に、健太が待ったを掛けた。
健太は雪の肩を揺さぶりながら、自己主張を続ける。
「俺ら以外の奴らも連れて来てやらせろよ!
マジありえねーって!俺と赤山だけが~!」
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雪はもう一度「いやだから‥私は違‥」と言ってみたが、やはり健太は聞いちゃいない。
淳はそんな健太の主張に対し、苛立ちを隠し切れない表情で説得を試みる。
「‥とにかくこんな状況ですから、
とりあえず全員で早く仕上げてしまいましょう」
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そう締め括った淳に、健太は「ったくよぉ!
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淳が「それじゃ始めよう」と声を掛けても、プリプリと怒っている。
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そして掃除が始まったのだが、健太の不機嫌が移ったのか、皆どこかピリピリしていた。
雪はモップ片手に、その空気を感じ取る。
うわ‥この雰囲気どうするよ‥
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本当のところ、義務ではない学祭の準備に時間を取られることは、どこか損をしていると皆思っているのだろう。
しかしやらないわけにはいかない、それを雪はちゃんと分かっていた。
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やらなきゃいけないなら、さっさと終わらせてしまおう。
雪はそう決めると、作業する人々の間を縫ってモップを掛けていく。
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机を動かす人、ナプキンを並べる人、皆それぞれの作業をこなしていた。
雪は皆の邪魔にならぬよう、開いた床を見つけては掃除する。
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不意に、身体に違和感を感じるようになった。
意識が、徐々にぼやけて行くような気がするのだ。
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はぁ、と深く息を吐くと、随分と熱い吐息が口から漏れた。
心なしか地面が揺れているような気がする。
暑くない‥?なんか熱ありそう‥
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顔が熱くて、頭がぼんやりする。
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目の前がクラクラして、背中に変な汗が伝う。
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そう思いながら歩き出そうとしたその時、
モップに足を取られた。
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ぐらりと目の前が揺れ、身体のバランスが崩れる。
冷やっとした感覚が全身に走った。
「あっ‥」
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地面に膝をつくかと思ったその時、ふわりと身体が宙に浮いた。
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雪は目を丸くしたまま、そろりと後ろを振り返った。
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雪は前傾姿勢から直立の姿勢にされた。
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改めて、彼の方を振り返る。
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見上げると、彼も雪の方をじっと見ていた。
雪はその視線を逸らすことが出来ぬまま、礼を口にする。
「あ‥ありがとうございま‥」
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しかし言い切る前に、淳の方が視線を逸らした。
不機嫌な横顔。
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雪は変な気分になった。
さっきからこの人‥感情がダダ漏れ‥特に私の前では‥
本当に具合悪いのか?
「昨日のことだけど」
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そして淳は雪に向かって、ぶっきらぼうにこう言った。
「わざとじゃないから」
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その言葉に、思わず雪は「え?」と聞き返した。
けれど彼はそれ以上口にすることなく、さっさと歩いて行ってしまった。
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思わず雪は首を傾げる‥。
「えぇ?」
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<雪と淳>不機嫌 でした。
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そして転びかける雪のパーカーを掴む、先輩のタイミングの良さ‥。
きっとずっとチラチラ見てたんでしょうね~
中学生男子か! 笑
次回は<雪と淳>去りゆくメンバー です。
この学祭準備編はなんのひねりもないタイトルが多くなってしまいました‥すいません‥(@@;)
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昨日の罪悪感が青田先輩にはありそれが積み重なっていた上
雪をまた目でおって助けてる自分にもなんだか嫌気がさしたのでしょうか…。
すごいぶっきらぼうな謝り方ですねw
わざとじゃない(からごめん)というより
わざとじゃない(謝ったからもういいよね)って感じがしますねw
でもやっぱいまいち不器用&共感力不足ですよね。
こういう時こそしんどそうだけど大丈夫?こないだはごめんね、今日もきてくれてありがとう、的に前に計画してたとおり優しくすればいいのに~
このあとのお話、私のポンコツ翻訳ではちんぷんかんぷんながら、なんか淳ちゃんの意識がかわるっぽいですが、
それにしてもあのいきなりの1話のアプローチはないわ~
相手の気持ちおいてけぼり。いやいや、その後の数々のアプローチもけっこう雪ちゃんの気持ちおいてけぼりでしたね。
イケメンじゃなかったら許せないレベルかも…
見てたんか!どーしていいかわからず、言うタイミングもわからず、ただ雪ちゃんの方を見てたんかーーーーー!!!
これが健太だったら、死んでぇ?ってなるんだけど、先輩だからキュン!!!
いや、健太は何もしなくても死んでぇ?だ。
楽しみ!
しかし、青田先輩のあの掴み方・・・(笑)
そして健太先輩の安定感!イラつかせますねぇ(笑)
そか。ずーっと見ていたんだな。
もう、ふつうの男子にしか見えないんですが・・・(--○
頭でっかち同士って、初恋ひとつもややこしい。
コメント一番乗り、ありがとうございます!
淳の謝り方、とても大学生とは思えませんよね。。中学生か‥あるいは小学生ですよ‥^^;
くうがさん
ミングで現れる淳‥ふふふ
淳は自分のペースが崩されると弱いですよね~。雪ちゃんには尽く崩されてますしね。
人の気持ちを自分の尺度でしか測れないところは、裏目にソックリだなと思います。
ゆきんさん
健太‥笑
これこそ「ただしイケメンに限る」ですね‥。
ねねさん
あの掴み方‥猫を掴むみたいですよね^^;
まぁ抱きかかえられてもアレなので、良かったのかもですね‥。
papurikaさん
本当、淳が普通の男の子に見えますよね。しかも思春期くらいの‥。
そのギャップが読者には微笑ましいけど、雪ちゃんには恐怖という 苦笑