皆様メリークリスマス
素敵な一日を過ごされていますでしょうか?
ご無沙汰してます、Yukkanenです
さてそんなクリスマスに友人のY氏より、「Trapped in me」オマージュとして最高の贈り物をいただきました。
第四部作からなる壮大な物語です。
Y氏の卓越した文章に、コマを付けて記事仕立てにしてあります。
実際の韓国語とは異なる日本語が充ててありますので、そのあたりは寛容にご覧下さい
場面は、裏目氏からの電話を受けて淳が雪のもとへ駆けつけたところ(日本語版296話「青春(1)」)から始まります。
どうぞY氏ワールドをお楽しみ下さい〜〜〜


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

運転席から飛び出した勢いが嘘のように、淳は悄然と立ち尽くしていた。
目の前で座り込んでいる雪の足には、新しい小さな傷があった。

自分のせいで雪を危険な目に遭わせてしまったという悔恨の情が押し寄せてきて、
淳は一歩も踏み出すことができないでいた。


ただ握りしめた拳だけが震えている。肩を落とし、消え入りそうな声で呟いた。
「ごめん」

「何度もこんな目に合わせて、本当にごめん」

「俺‥」

「本当に‥」


顔を上げると、雪が手を伸ばしていた。

「立たせてもらえませんか」

はっきりした声だったが、表情には色がなかった。
遠くで響いていたサイレンの音が聞こえなくなり、路地は静けさに包まれた。

ほとんど無意識に淳は手を差し伸べかけたが、

雪は顔を苦しそうにゆがめて俯いた。

行き場を失った淳の手のひらは、二人の間をすり抜けていく冷たい夜風にさらされていた。

わずかな灯りに浮かび上がる二人の影は、一枚の絵のように動きを止めている。


驚いたような雪の声が静寂を破った。
「あれ、先輩……」

「泣いてるんですか?」


その声に、淳はいつの間にか涙が溢れそうになっていたことを知った。
そして、気付いてしまうと、それはもう止めようもなく、
身体の芯から湧き上がるように溢れ出てくるのだった。

雫となって落ちていく涙に、街の灯りが吸い込まれていく。
「俺はただ」

暖かな光を宿した涙で滲んだ淳の視界の中で、雪が目を見開いて立ち上がった。

歩み寄ってくる雪に向かって、淳はずっと胸に秘めていた思いをぶつけた。
俺はただ、ドキドキラブコメな大学生活を過ごしたかっただけなんだ

淳の心に、ソファに横たわる雪の手のひらに触れた時の感覚がよみがえった。

この細い手で、思いっきりツッコミを食らってみたい。

傘で、力いっぱい叩かれてみたい。

そんな激情が淳の胸の内で燃え上がったのだった。

その場に佇んだまま、淳は力なく首を横に振った。
あの時は、わからなかった。

君に突っ込まれたい。そんな単純な理由すら。




――春だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<青い春〜ツッコミ〜>でした。
次回、「細かすぎたボケ」です。

素敵な一日を過ごされていますでしょうか?
ご無沙汰してます、Yukkanenです

さてそんなクリスマスに友人のY氏より、「Trapped in me」オマージュとして最高の贈り物をいただきました。
第四部作からなる壮大な物語です。
Y氏の卓越した文章に、コマを付けて記事仕立てにしてあります。
実際の韓国語とは異なる日本語が充ててありますので、そのあたりは寛容にご覧下さい

場面は、裏目氏からの電話を受けて淳が雪のもとへ駆けつけたところ(日本語版296話「青春(1)」)から始まります。
どうぞY氏ワールドをお楽しみ下さい〜〜〜



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運転席から飛び出した勢いが嘘のように、淳は悄然と立ち尽くしていた。
目の前で座り込んでいる雪の足には、新しい小さな傷があった。

自分のせいで雪を危険な目に遭わせてしまったという悔恨の情が押し寄せてきて、
淳は一歩も踏み出すことができないでいた。


ただ握りしめた拳だけが震えている。肩を落とし、消え入りそうな声で呟いた。
「ごめん」

「何度もこんな目に合わせて、本当にごめん」

「俺‥」

「本当に‥」


顔を上げると、雪が手を伸ばしていた。

「立たせてもらえませんか」

はっきりした声だったが、表情には色がなかった。
遠くで響いていたサイレンの音が聞こえなくなり、路地は静けさに包まれた。

ほとんど無意識に淳は手を差し伸べかけたが、

雪は顔を苦しそうにゆがめて俯いた。

行き場を失った淳の手のひらは、二人の間をすり抜けていく冷たい夜風にさらされていた。

わずかな灯りに浮かび上がる二人の影は、一枚の絵のように動きを止めている。


驚いたような雪の声が静寂を破った。
「あれ、先輩……」

「泣いてるんですか?」


その声に、淳はいつの間にか涙が溢れそうになっていたことを知った。
そして、気付いてしまうと、それはもう止めようもなく、
身体の芯から湧き上がるように溢れ出てくるのだった。

雫となって落ちていく涙に、街の灯りが吸い込まれていく。
「俺はただ」

暖かな光を宿した涙で滲んだ淳の視界の中で、雪が目を見開いて立ち上がった。

歩み寄ってくる雪に向かって、淳はずっと胸に秘めていた思いをぶつけた。
俺はただ、ドキドキラブコメな大学生活を過ごしたかっただけなんだ

淳の心に、ソファに横たわる雪の手のひらに触れた時の感覚がよみがえった。

この細い手で、思いっきりツッコミを食らってみたい。

傘で、力いっぱい叩かれてみたい。

そんな激情が淳の胸の内で燃え上がったのだった。

その場に佇んだまま、淳は力なく首を横に振った。
あの時は、わからなかった。

君に突っ込まれたい。そんな単純な理由すら。




――春だった。

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<青い春〜ツッコミ〜>でした。
次回、「細かすぎたボケ」です。
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