ファイティングポーズを取る淳を前にして、亮は思わずニヤッと笑った。
無言で自分を睨み続ける淳に向かって、皮肉るように話し出す。
「いっや~‥こんなにも殴り合いに長けた奴が、今までどうやって耐えて来れたのか
サッパリ分かんねーな!」
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「身体が疼いて堪んなかっただろ?
だから前にも誰かさんを最悪の事態に追い込んだんだろ?」
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淳は言い返さず、ぐっと歯を食い縛って亮が話すのをただ聞いている。
「もっと早くこんな風に爆発しろよ。え?この二重人格野郎」
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その亮の言葉で、微かに淳は反応した。
亮の口からは、積もり積もった悪感情が駄々漏れる。
「クソが‥最初からこうやってりゃ、皆悲惨な末路を辿らずに済んだってのに‥」

亮がそこまで口にしたところで、淳は素早くパンチを繰り出した。
続けざま、腹に向かって蹴りを入れる。
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再び仰向けに倒れた亮の身体に、淳の蹴りが何発も入った。
亮の口から「こんの‥!」と声が漏れる。
「くっ‥!」
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降り注ぐ攻撃を、なんとか振り払い上半身を起こした。
淳は拳を握りながら、凄まじい目つきで亮を俯瞰する。
「俺が二重人格?」
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「今や問題の無いフリして雪の家族と過ごしてるお前は、どうなんだよ」
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地面を這うようにして寝転がる亮を見下ろしたまま、淳は冷酷な視線を送り続けた。
似たようなシチュエーションを味わった、夏の終わりの記憶を思い出しながら。
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「お前と下着泥棒と、一体どこが違うって言うんだ。
どっちも被害者意識に陥って、自分が正義のヒーローになったとばかりの勘違い‥。
結局、あちこちに被害だけを及ぼして回るゴミみたいなヤツー‥」
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その淳の言葉を聞いて、亮はキレた。大声で叫びながら、ただ闇雲に拳を振るう。
「この野郎ぉっ!!」
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「んだとぉ?!今なんつったっ?!」
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心に積もった怨恨が、メラメラと燃えていた。
”被害者意識”、その言葉を自分に当てはめる淳のことが、どうしても許せない。
「被害者意識?!誰が被害者意識持ってるっつんだよ!!
被害者意識の塊なのはっ‥」
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「テメェじゃねーかよっ!!」
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亮はそう言って、力任せに淳を張り倒した。
マウントポジションを取ったまま、獰猛な獣のような目つきで淳を睨む。
「ちょっと障ったくれーで針鼠みてーに尖りやがって!誰が被害者意識持ってるって?!」
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「誰がゴミみてーなヤツだって‥っ?!」
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記憶の片隅に残っている、あの日の風景。
膨らんで行く希望ある未来。想像の中で笑っていた本当の家族‥。
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けれど皆、消えてしまった。
目の前の男が持つ、盲目的な”被害者意識”のせいでー‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<タイマン勝負(3)>でした。
少し短めの記事で失礼致しました。
殴り合いの中で、だんだんと本心や積もった悪感情が溢れ出て来る感じがしますよね。
この先、二人が分かり合う結末が待っているのかどうか‥う~ん‥ですね‥
次回<タイマン勝負(4)>です。
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無言で自分を睨み続ける淳に向かって、皮肉るように話し出す。
「いっや~‥こんなにも殴り合いに長けた奴が、今までどうやって耐えて来れたのか
サッパリ分かんねーな!」
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「身体が疼いて堪んなかっただろ?
だから前にも誰かさんを最悪の事態に追い込んだんだろ?」
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淳は言い返さず、ぐっと歯を食い縛って亮が話すのをただ聞いている。
「もっと早くこんな風に爆発しろよ。え?この二重人格野郎」
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その亮の言葉で、微かに淳は反応した。
亮の口からは、積もり積もった悪感情が駄々漏れる。
「クソが‥最初からこうやってりゃ、皆悲惨な末路を辿らずに済んだってのに‥」
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亮がそこまで口にしたところで、淳は素早くパンチを繰り出した。
続けざま、腹に向かって蹴りを入れる。
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再び仰向けに倒れた亮の身体に、淳の蹴りが何発も入った。
亮の口から「こんの‥!」と声が漏れる。
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「くっ‥!」
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降り注ぐ攻撃を、なんとか振り払い上半身を起こした。
淳は拳を握りながら、凄まじい目つきで亮を俯瞰する。
「俺が二重人格?」
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「今や問題の無いフリして雪の家族と過ごしてるお前は、どうなんだよ」
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地面を這うようにして寝転がる亮を見下ろしたまま、淳は冷酷な視線を送り続けた。
似たようなシチュエーションを味わった、夏の終わりの記憶を思い出しながら。
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「お前と下着泥棒と、一体どこが違うって言うんだ。
どっちも被害者意識に陥って、自分が正義のヒーローになったとばかりの勘違い‥。
結局、あちこちに被害だけを及ぼして回るゴミみたいなヤツー‥」
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その淳の言葉を聞いて、亮はキレた。大声で叫びながら、ただ闇雲に拳を振るう。
「この野郎ぉっ!!」
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「んだとぉ?!今なんつったっ?!」
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心に積もった怨恨が、メラメラと燃えていた。
”被害者意識”、その言葉を自分に当てはめる淳のことが、どうしても許せない。
「被害者意識?!誰が被害者意識持ってるっつんだよ!!
被害者意識の塊なのはっ‥」
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「テメェじゃねーかよっ!!」
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亮はそう言って、力任せに淳を張り倒した。
マウントポジションを取ったまま、獰猛な獣のような目つきで淳を睨む。
「ちょっと障ったくれーで針鼠みてーに尖りやがって!誰が被害者意識持ってるって?!」
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「誰がゴミみてーなヤツだって‥っ?!」
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記憶の片隅に残っている、あの日の風景。
膨らんで行く希望ある未来。想像の中で笑っていた本当の家族‥。
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けれど皆、消えてしまった。
目の前の男が持つ、盲目的な”被害者意識”のせいでー‥。
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<タイマン勝負(3)>でした。
少し短めの記事で失礼致しました。
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殴り合いの中で、だんだんと本心や積もった悪感情が溢れ出て来る感じがしますよね。
この先、二人が分かり合う結末が待っているのかどうか‥う~ん‥ですね‥
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次回<タイマン勝負(4)>です。
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初期の頃はサイコか?とか話題になってた記憶もあったりなかったり。そのうち、小出しな回想や当事者たちの吐露から、先輩の心の闇に思いを巡らせ憐憫の念が湧き。そう、イケメンゆえに、心の闇とか裏の顔とか、ダークな部分とか、ついつい言葉を選んでしまって出てこなかったこの呼び名。さすが亮さんストレート。
さあ!この言葉を皮切りにいざ亮祭りへ…っ!
すんません、どの記号が化けるか忘れちまってる程久々なくせに、亮につられてしれっと出てきちゃいました。休載中も再開後も、相変わらず迅速かつ面白い更新ありがとうございます。(コッソリROMっておりました。久々のコメ、文字化けしてないといいな。。)
姉様~お久ですっ!
てか姉様、絵文字使ってないですし!笑
いやいや、確かにこの名称は出てこなかったですね。しかし姉様、よ!二重人格野郎!とは!笑
淳派から冷水のおらしですぞ!笑
先輩、自分が被害者意識の塊とか思ってないでしょうから、ハッ!?となるのでしょうか…
さすが河村教授の孫。亮さん、そこ付いちゃうなんて。
次回の記事がとっても気になります~
そういや、前に被害意識と被害者意識の議論なんかもありましたねぇ。(遠い目)
いやはや、続きが気になります!師匠、ファイティン!
毎回こちらのブログが楽しみです!
被害者意識!亮さん!さすが河村教授のお孫さんですね!この先の二人の会話が気になります。このタイマンの回で2人の間に何があったのかちゃんと出てきそうな気がします!
しかし、先輩はほんとになんでもできるんですね~
喧嘩も強いなんて…場数踏んでる亮さんが強いのは分かりますが先輩はどこで鍛えてるの??ジムとかで?ですかね?
明日も楽しみにしてます(*^^*)
二重人格からの先輩の猛攻撃の時、亮の腕が心配でした!(゜o゜;;
次回どうなるのか本当楽しみです!
いつも訳してくださりありがとうございますT_T
yukkanenさんが「先輩が亮の手を踏みませんように」と前に言ってた時は「まさかいくらなんでも淳もそこまでしないよね」と思ってましたが、今回の淳にとっては下着泥棒も亮も同列なゴミ発言が…嫌なフラグにしか思えなくなってきました(T-T)
なんか絶対修復むりじゃね?みたいな感じがしますわ
そしてほんと暴力沙汰多い
そして淳実践どこで覚えたのでしょう
カラダは鍛えてても
>「ちょっと障ったくれーで針鼠みてーに尖りやがって!」
のセリフに、その昔、後先考えない亮の悪ふざけというか、亮は淳が嫌がると分かったうえでワザと淳に何かちょっかいを出し、そしてそれがお互いに悪感情を持つきっかけになったのではないか・・・、などと考えてしまいました。
そしてまかろんさん同様、ゴミ野郎発言は亮の手を踏むってこと!? と思ってしまいました・・・。
(あ、でも、高校生の時に亮の手を踏んだのは先輩じゃないですよっ! きっと。たぶん。)
むくげさん―、ほんとコレ、どうやって終わるのでしょうねぇ・・・。
亮う~!淳くんを殴るなんて~! も~!(-“-)
忘れちゃならないのが、青田さんは金持ちのボンであることと(誘拐とかの可能性も考えて小さい頃から護身術くらいは嗜んでいらっしゃったろうし)、この話の舞台が実は韓国であること(軍役がある)。変質者…もとい預言者の時だったか、花火の時だったか、暴れるくんな先輩を見て、こちらのブログでもそんな会話があったコトを記憶してます。
違ってたらごみーん。師匠あとヨロシク(笑)
りんごさん、おらしって。冷水のおらし(笑)!
絵文字は怖くてハナから使えませんよ。私が恐れてたのは、「…」 とか「 U+2022 」とかの記号です。化けてなかったので、これからバンU+2022バン使わせて…いたU+2022だきU+2022ます…