毎年秋が来ると思い出す。友人が「自転車を拝借する」と言って乗って行った。いつものことだから気にも留めなかったが、半日がたった頃電話が入った。「東京へ行こうと思って乗ってきたが、しんどくなったので捨てて帰る」と・・・。今どこだ、と訪ねたら高槻の駅前だという。若い頃から彼には善きに付け悪しきに付け振り回されてきた。こんな彼だが憎めない。背広、ネクタイ、靴など片っ端から持ち出していくが返ってきた試しはない。それでも彼を憎めない。
そんな彼がこの6月に奥さんをガンで亡くした。「本人も覚悟を決めていた様子であったものの、思い残す事が多てさぞかし無念だったことと思いますが、さして幸せだったといえない生涯を静かに終えました」と・・・・。
短い生涯を終えられた奥さんに対する精一杯の思いがこの文面から伺へる。ご冥福をお祈りする。