半世紀以上映像に取り組んできましたが、近頃思うことがあります。
映像なんて、絵画には遠く及ばないのではないか。
映像のベースは写真術なのは言うまでもありません。
ここで基本的に間違うのが写真は「真を写す」という言い方。
写真が真実を写すなんて、信じる人は居ないと思いますが。
でもそんな根拠のない理屈をベースに成り立っているのが映像。
更に映像作品は一般的にモンタージュ手法によって実は何の脈絡も無いカットの連結で構成します。
実際の撮影順は仕上がった作品とは全く違う順序です。
極端な場合はラストカットを最初に撮影することも。
でも観る側はそれを知ってか知らずか何の根拠も理論的裏付けもない手法を何の疑問も持たずに理解するんです。
何から何までインチキじゃないですか。
では絵画の場合はどうか。
そこでは一枚の絵が作者にとっても観る側にとってもすべてです。
数年前にネットで見つけた水彩画のサイト color factory は私が大好きな作家さん。
折につけ訪れる度に白い紙の上に絵が展開する過程は映像や写真ではとても及ばない世界です。
一昨年夏から一日も欠かさず、じゃなくて忘れて次の日に2枚描いたりしてきた絵はずいぶん溜まりましたが
全く上達しません。
今日もあのサイトで動画を見せていただきましたがやはり映像なんて絵画には遠く及ばないと痛感しました。
でも、でも、私には映像があります。大好きな映像作品作りがあります。
今作ろうとしている作品は映像の嘘とインチキとハッタリを完璧に生かしたものにしようと目論んでいるんです。