夢地蔵

田舎の映像作家の備忘録

放送用カメラの名機を整備

2018-03-20 15:54:29 | Weblog

Ikegami HL-79E という昔の放送用カメラの名機が私のコレクションにあります。
CCDやCMOS以前の撮像管式で、プランビコン3管ということで当時非常に高価なカメラでした。(この手の品物は定価なんてありませんが、記憶では本体のみで¥7,000.000位)


ていねいに使われていたらしく外観は最高です。

中古を3台手に入れて部品を入れ替えて整備、実際撮影に使ったんですが、前から気になっていた箇所を今回整備しました。
気になっていたのは3本ある撮像管のうちRchの映像がイマイチ甘いという点です。
幸いジャンクも含めて分解した3台分の部品はガラクタの箱に保管してあり、撮像管もあるんです。

今日は他に予定もないので作業開始です。

レンズとビューファインダーを外して、とりあえず一服。

カバーを外すとこんな具合です。

ラベルが貼ってあるのは前に整備したときに組み合わせがわからなくならないようにと考えたからです。

これが気になるRchの撮像管アッセンブリです。


このねじをゆるめてプリアンプを外します。

ねじは脱落防止構造なのでうっかり内部に落としてあわてる事態にはなりません。

撮像管のソケットを抜きます。


プリアンプのコネクタも抜きます。


この六角穴つきネジをゆるめます。狭いので大変ですが頭がボールになっている棒スパナがあれば楽ですが買ってくるまでもありません。


分厚いマニュアルがあるので助かります。


反対側の分解方法が載っています。


マニュアルの通りにビスを抜きます。


基板を抜くと撮像管が現れます。こちらにも穴付ねじがあるので抜きます。


右が今回外した撮像管、左は保管しておいた撮像管です。

ラベルが製造番号だとすると今回使う方が新しいと思われます。

これは何? バックアップ電池が怪しいので前回整備の際替わりにコードを引き出して付けた電池です。


撮像管を交換したら念のためプリアンプもそいつとペアだった物に取り替えました。


交換作業完了です。では調整を。
マニュアルによれば調整にはいろいろ測定器が必要ですが、そこは適当に済ませましょう。要は「見た目」の絵がそれなりになれば結構。


幸いマニュアルにレジチャートとトラッキングチャートが入っているのでそれで出来るところまで追い込みました。


撮像管は温まらないと本来の調子が出ないのでウォーミングアップはじっくり時間をかけました。
最初にやったのはレンズを取り付けてGchの映像を出してフランジバックの調整です。
次にチャートを撮像してレジ調整。これは根気の要る作業です。

一応もっともらしくレジが合いました。
数年前にテクノ池上の○野氏から伺った話ではもうIkegami社内にレジ調整ができる人間は居ないとのこと。

問題のRchですが、見違えるようにとはいきませんが前よりはマシになりました。
レジストレーションも正確さはありませんが相対的には十分実用になるまでに仕上がりました。

記念にこんなのを撮って静止画で書き出してみました。「なんだ、こんなものか」と思うでしょうが、これが現実です。
今のビデオカメラなら静止画で書き出してもデジカメの写真と変わりないですが、管のカメラは静止画には全く向きません。
でもね、撮像管の映像って実に柔らかくて立体感があって味わいがあるんですよ。

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ジャンクのビデオ三脚を整備

2018-03-15 19:57:43 | Weblog
毎度おなじみのハードオフで業務用ビデオ三脚を買ってきました。
Panasonicの銘板が貼ってありますが古いダイワ製と思われます。
外観はホコリだらけでいかにもジャンクですが、整備すればHDVカメラに使えそうです。

問題は二点、水準器が気泡切れしているのとカメラ取り付けネジが業務用の3/8"で工房のHVR-Z5Jは載りません。

水準器は御覧の通り。これはビデオ撮影では致命的です。

これを代替品で解決する必要があります。

ダメな水準器は接着なので裏からたたいたら簡単に取れました。


ホームセンターを何店か回ってこんなのを買ってきました。


もちろん寸法は合いません。買ってきたのはφ16 純正品はφ15。

旋盤など持っていないのでヤスリで削ってサンドペーパーで仕上げてφ15に加工しました。
手作業で外径を半径で0.5mm削るってのは、結構大変な作業ですよ。

水準器の穴は機械加工してあるので細かいことは考えず穴の底面に突き当てて裏から接着剤で固定。

まるではじめからこうだったみたいに付きました。
錆びてるネジはそのうち百均の錆取りできれいにしましょう。(あれは赤錆を黒錆に変化させる作用があるみたいです)

次はプレートです。
これが付属のプレートで、ネジは3/8"というカメラ用の1/4"より太い物です。

このネジを加工して1/4"のネジを埋め込もうと考えたのですが首の部分が細いので無理です。

そういえば要らない三脚があったぞ。

この三脚もプレート式です。しかもネジは1/4"。

すこし削ればなんとかなりそうです。ヤスリとグラインダーの出番です。

これは削って寸法を合わせ、塗装も済ませた姿です。

ちょっと切り方が荒いけどコルクを貼ってネジを戻して完成。




HVR-Z5Jを載せてみました。


\5,400のジャンク品はこうして使えるようになりました。
この三脚は簡易バランサー機能があって使い勝手は良さそうです。
SonyのカメラにPanasonicの銘板は具合が悪いので後で剥がして何かから外しておいた「Sony」に張り替えました。
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NIKON FE用COSINAレンズをクリーニング

2018-03-02 13:39:26 | Weblog
デジカメはいいかげん飽きたのでまたフィルムカメラに戻ろうと手持ちの一眼レフの準備にかかりました。
本体はモルトの張替えとクリーニングを済ませて試し撮りの結果問題ないことを確認してあります。

問題はレンズで、NIKON純正のNIKKOR-H f=50mmはあるのですがAiではないので面白くありません。

赤丸のツメを起こせばAi以外のレンズも使えるんですが本来の機能が発揮できません。

NIKKORは使おうと思えばいつでも使えるので保管しておきますが、もう一本レンズがあるんです。

マイナーなCOSINAブランドのズームレンズです。マウントはNIKON。

f値はご覧の通りですが私の使い方では差し支えありません。
広角寄りのズームなのも好きです。月のクレーターを撮ろうってんじゃありませんから望遠側はどうでもいいんです。

これはAi相当でFE本来の使い方ができます。ちゃんとファインダーの上部にf値が見えるのも嬉しいですね。

去年このレンズを久しぶりに出して観察したら曇りがありました。
分解してクリーニングしようとバラし始めたのですが二枚合わせの前玉の奥のレンズのリングナットが緩まなくて中断していました。
再挑戦しようと一旦元通りに組み立てておいたのを再び分解です。

ここを緩めるのは、定番のダイソーのコンパスをニコイチしたレンチです。
この作業はコツが要ります。

今回思い切って奥の手でリングナットの穴を真鍮の釘でたたいて緩めてみたらこれは成功でした。

前に16mmカメラのARRIFLEXのゴミだらけのファインダーを分解清掃した経験が役に立ちました。

これが曇っていたレンズです。
レンズクリーニング液とペーパーでで入念に清掃しました。


ブロワーで残ったホコリを吹き飛ばして組み立てたのですが、

ここのネジが見当たりません!3本あったんです。
失くさないように容器に入れておいた筈ですが。

代用品を必死で探しましたがM1.7の無頭ネジなんて、普通はありませんよね。
残る手段はHARD OFFのジャンクしかありません。

YASHIKORのテレコンがありました。このネジが使えるかも。\540也
結果はぴったりでした。
ところがどっこい、緩めるときに一本がマイナス溝を破損してしまいました。

当面どうしようもないので2本だけ締めておきました。

組み立て後確認したらクリーニングはまだ不完全でホコリもありますが、とりあえず完成。
縁側で記念写真です。




そうそう、このカメラは何年か前にピントグラスを清掃するつもりでいじって傷を付けてしまいました。
型番は忘れましたが今でも代替品(FM3A用)はAmazonで手に入るようなのでいずれ交換です。


ところでCOSINAというメーカーですが、北信濃にあって地元ではあまり知られていませんが優れたレンズを生み出してきたという話を聞いたことがあります。カールツァイスなどOEMで様々なメーカー向けのレンズを製造しているようです。

後日談:その後、もっとレンズをきれいにしようとして大失敗。
リングナットの締め付けに失敗してレンズに傷を付けてしまいました。
せっかくネジを手に入れて完璧な状態にしようとしたのにゴミと化しました。
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