Ikegami HL-79E という昔の放送用カメラの名機が私のコレクションにあります。
CCDやCMOS以前の撮像管式で、プランビコン3管ということで当時非常に高価なカメラでした。(この手の品物は定価なんてありませんが、記憶では本体のみで¥7,000.000位)
ていねいに使われていたらしく外観は最高です。
中古を3台手に入れて部品を入れ替えて整備、実際撮影に使ったんですが、前から気になっていた箇所を今回整備しました。
気になっていたのは3本ある撮像管のうちRchの映像がイマイチ甘いという点です。
幸いジャンクも含めて分解した3台分の部品はガラクタの箱に保管してあり、撮像管もあるんです。
今日は他に予定もないので作業開始です。
レンズとビューファインダーを外して、とりあえず一服。
カバーを外すとこんな具合です。
ラベルが貼ってあるのは前に整備したときに組み合わせがわからなくならないようにと考えたからです。
これが気になるRchの撮像管アッセンブリです。
このねじをゆるめてプリアンプを外します。
ねじは脱落防止構造なのでうっかり内部に落としてあわてる事態にはなりません。
撮像管のソケットを抜きます。
プリアンプのコネクタも抜きます。
この六角穴つきネジをゆるめます。狭いので大変ですが頭がボールになっている棒スパナがあれば楽ですが買ってくるまでもありません。
分厚いマニュアルがあるので助かります。
反対側の分解方法が載っています。
マニュアルの通りにビスを抜きます。
基板を抜くと撮像管が現れます。こちらにも穴付ねじがあるので抜きます。
右が今回外した撮像管、左は保管しておいた撮像管です。
ラベルが製造番号だとすると今回使う方が新しいと思われます。
これは何? バックアップ電池が怪しいので前回整備の際替わりにコードを引き出して付けた電池です。
撮像管を交換したら念のためプリアンプもそいつとペアだった物に取り替えました。
交換作業完了です。では調整を。
マニュアルによれば調整にはいろいろ測定器が必要ですが、そこは適当に済ませましょう。要は「見た目」の絵がそれなりになれば結構。
幸いマニュアルにレジチャートとトラッキングチャートが入っているのでそれで出来るところまで追い込みました。
撮像管は温まらないと本来の調子が出ないのでウォーミングアップはじっくり時間をかけました。
最初にやったのはレンズを取り付けてGchの映像を出してフランジバックの調整です。
次にチャートを撮像してレジ調整。これは根気の要る作業です。
一応もっともらしくレジが合いました。
数年前にテクノ池上の○野氏から伺った話ではもうIkegami社内にレジ調整ができる人間は居ないとのこと。
問題のRchですが、見違えるようにとはいきませんが前よりはマシになりました。
レジストレーションも正確さはありませんが相対的には十分実用になるまでに仕上がりました。
記念にこんなのを撮って静止画で書き出してみました。「なんだ、こんなものか」と思うでしょうが、これが現実です。
今のビデオカメラなら静止画で書き出してもデジカメの写真と変わりないですが、管のカメラは静止画には全く向きません。
でもね、撮像管の映像って実に柔らかくて立体感があって味わいがあるんですよ。