前回ご紹介した粉ミルク断食療法では、10x10センチの腫瘍がわずか20日で消失したわけですが、それではなぜ粉ミルクががんに有効なのか、今回はその理由を考察してみました。
まず、粉ミルクの成分ですが、日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、粉ミルクには全粉乳、脱脂粉乳、乳児用調製粉乳の3種類があり、それらの主要な成分は次のような値でした。
【粉ミルクの成分(100gあたり)】(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)
粉ミルクの種類
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炭水化物 (g)
|
たんぱく質 (g)
|
脂質 (g)
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乳糖 (g)
|
カルシウム (mg)
|
---|---|---|---|---|---|
全粉乳 |
39.3
|
25.5
|
26.2
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(34.1)
|
890
|
脱脂粉乳 |
53.3
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34.0
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1.0
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47.8
|
1100
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乳児用調製粉乳 |
55.9
|
12.4
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26.8
|
50.7
|
370
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これを見ると明らかなように、粉ミルクの主成分は炭水化物、たんぱく質、および脂質(脱脂粉乳は除く)であり、さらに、炭水化物の主成分は乳糖でした。
乳糖については、本ブログの「大腸の管理-乳糖」という記事でご紹介したように、善玉菌のエサであると同時に天然の下剤ですから、初めて乳糖を飲む場合は激しく下痢をすることがあります。
前回ご紹介した治療例でも、初日の夕食分の粉ミルクは5分の2に減量しており、これは、『婦人生活』(婦人生活社:刊、1982年1月号)の記事によると、午後4時に大量の下痢便が出たためです。
したがって、粉ミルクを飲むことによって、汚物が排泄されて腸内が浄化されるのは間違いないので、これが免疫力の向上に寄与したと考えることは可能でしょう。
また、『ガンの薬 癌の治療と予防について』(榎村陽太郎:著、創元社:1965年刊)という本には、カルシウムの薬効として、がん細胞の発育抑制作用があると書かれているのですが、粉ミルクにはカルシウムが豊富に含まれています。
しかも、乳糖にはカルシウムの吸収を促進する作用があるという研究結果があるので(参考:「カルシウム吸収促進剤としての乳糖を再考」)、指圧も含めてこれらの相乗効果によって腫瘍が驚くほど速く消失したのではないでしょうか?
なお、粉ミルクには乳糖が大量に含まれることから、糖尿病のがん患者にはこの治療法は適さないかと思ったのですが、『婦人生活』には、かえって糖尿病もよくなった症例が掲載されています。
それは、尼崎市の米永藤彦さん(52歳)で、この人は、身体がひどくだるいため、1981年2月10日、近畿中央病院に入院したところ、肝臓がんのステージ4と診断され、早ければ1か月の命と宣告されたため、彼の家族は葬式の準備をはじめたそうです。
ところが、その宣告のあとに注射を5~6回されたら、全身くまなく、背中も首も腹から足の裏まで大豆粒大の発疹ができてしまったため、こわくなって健康再生会館の加藤清氏のところに移ったそうです。
すると、みるみる良くなってきたので、50日いろというのを28日で帰って、前の近畿中央病院に行ったら、「いまのところいい」と診断され、中には「これは奇跡だ」といった医者もいたそうです。
しかも、この人は糖尿病で、5年間毎日インシュリンを使っていたのですが、粉ミルク断食療法によって糖が出なくなったため、取材時には全然使わなくなって6か月になっていたそうです。
したがって、粉ミルク断食療法は糖尿病にも有効なようですが、調べてみると、『糖尿病 その治療と予防』(宮尾定信・三村悟郎:編著、芦書房:1965年刊)という本に、
「乳糖は余り糖尿を増加しないので、糖尿病患者に常用されます。」
と書かれているので、粉ミルクは糖尿病でも安心して飲むことができるようです。
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