「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

漢字学習とWhole Language

2008-12-03 02:21:37 | リーディング
第二言語におけるリーディングでは、その熟達度が低いほど低次元の言語処理に必要なワーキングメモリの容量が増え、読了した内容の保持や先の予測などが困難になってくる。

しかしながら、母国語で読書をするときにも、読みの深みに個人差があることから分かるように、第二言語の熟達度が最高の域に達すれば、自動的に俯瞰的な読みや推測を働かせた読みが可能になる訳ではないであろう。

母国語におけるリーディングスキルがどの程度第二言語のリーディングスキルに反映されるのかはよく知らない。しかし、あらゆる知的な活動においてリーディング力が大きく物を言うことを考えれば、母国語で深い読みをしっかり体験しておくことは学力の養成において大きなカギとなると言えるだろう。

私には来春小学校に入学する娘がいる。先日、この娘が絵本を読んでいて、結構漢字が読めているのに驚いた。「鬼」なども読んでしまうのである。

別に親バカの娘自慢がしたいのではない。娘が「鬼」という漢字をそれと読むのにコンテキストや絵の情報を使って推測をしているということが言いたかったのだ。

幼い頃の読書の習慣が後の学力に与える影響について論じられることはよくあるだろう。その中でも知らない漢字の意味と読みを推測することは結構重要なのではないか。

このことを英語に当てはめてみるとちょっと面白い。アメリカではWhole Language vs. Phonicsといった論争がある(あった)が、情勢的には前者が不利なようだ。この論争は、例えば漢字を先に勉強してから本を読むのか、それとも本を読みながら漢字を習得していくのかという議論に似てはいないだろうかなどと考えたのであった。


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