「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

定期考査の試験範囲

2009-11-03 15:44:48 | テスト
新任のころ、ある先輩の同僚は、生徒に試験範囲を聞かれたら「生まれたときから最後の授業で扱った内容までの全範囲」と答えていた。もちろん、半分は冗談でそれなりの情報はきちんと与えていたものの、この考え方には大賛成だ。

例えば、授業で準動詞を扱ったとすれば、準動詞の使い方がどのくらい定着したかを測るのが本来の定期考査の姿であろう。そのためには、それまでに経験していない文の中で当該の文法知識を使わせるのがよいはずだ。そうすれば、当然のことながら、それ以前に学んだ知識も必要になるだろう。

ところが、実際には授業で説明に用いられた英文や、その定着のための問題で既知となった英文がそっくりそのまま定期テストに使われるケースが多い。その結果、根本的な仕組みの理解でなく表面的な暗記力がテストのできを左右するのだ。

リーディングに関する科目もしかりである。既習の英文を使った問題だけなら教材となる英文の音読や筆写(さらには暗写)を通してをつめておくだけで対処できる。しかしそれでは本当の意味での「読む力」は測れない。リーディングの目的が読む力を育むことであれば、そのような定期考査は妥当ではないはずだ。

定期考査の成績と実力テストの成績が相関関係を示していないというケースは意外とよくある。そんなときに、私たちは定期考査を頑張り続ければ徐々に実力テストの成績が向上し相関関係が高まってくるはずだという説明をする。

しかしながら、自分たちの作る定期テストがどんな力を測っているかを誠実に検証することがなければ、定期考査ではよい点を取り続けるものの、実力テストは相変わらず振るわないという生徒がでてくるのも当然だ。一番の被害を受けているのは、実はそのような生徒なのではないだろうか。

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