しんぶん赤旗 2013年7月24日(水)
「原発推進 世界中言ってる 福島の不幸でやめられない」
自民・細田幹事長代行が暴言
自民党の細田博之幹事長代行が22日夜、BSフジの番組で、「福島の不幸で原発をやめるのは、耐えがたい苦痛を将来の日本国民に与える」などと発言し、東京電力福島第1原発事故を軽視して再稼働を進める考えを示しました。事故の原因究明や収束が進まないなか、自民党幹部の相次ぐ暴言に、福島の被災者らから怒りの声があがっています。
細田氏は中国電力島根原発を抱える島根県選出議員で、原発再稼働を目指す自民党の「電力安定供給推進議連」の会長。100人超が参加する同議連は6月、国のエネルギー政策で引き続き原発を重要電源と明確化することを求める提言をまとめています。
番組で細田氏は、「日本はいまガラパゴス化している。もちろん福島の原発事故があったんですけれど」「原子力発電を推進しようって、みんな世界中が言っているんですよ」などと繰り返し、原発廃炉を進めれば原発推進の「世界中の潮流」から取り残されると強調しました。
さらに、「日本は事故が起こったために残念ながら、(原発の)安全性に対して非常に大きな疑問が生じた」と続け、「もちろん福島の不幸はあったけれども、それで全部やめてしまおうという議論を前提にやることは、やっぱりとても耐え難い苦痛を将来の日本国民に与えると逆に思いますね」と述べました。
原発事故の被害や教訓を軽視する自民党議員の暴言をめぐっては、6月に高市早苗政調会長が「東京電力福島第1原発事故を含め、事故によって死亡者が出ている状況ではない。安全性を最大限確保しながら活用する」と発言し、批判を受けて撤回したばかりです。
私たち「棄民」ですか
福島県農民連 根本敬事務局長
発言には言葉を失います。自民党は、「将来」ではなく今「耐え難い苦痛」に苦しんでいる人たちをどう考えているのでしょうか。私たちは「棄民」ですか。
福島名産のあんぽ柿は今もまだ生産してよいかどうかの判断がついていません。農家は、「どこまで頑張れば明るい将来が見えるか」、日々不安を抱えています。この苦しみがわかりますか?
原発を再稼働すれば、核のゴミも増え続け、次の世代にも多大な負荷を残します。それが理解できないなら政治家をやめていただきたい。
今、国がしなければならないのは、きたる大地震に備える防災対策、福島第1原発の廃炉に向けて世界の英知を結集して取り組み、福島の復興に全力を挙げること、安心して暮らせるエネルギーの推進ではないでしょうか。
何も反省していない
新婦人福島県本部 村上裕美事務局長
福島では公園などの除染は進んでいますが、安心して外遊びができる状況にはなっていません。子どもの運動能力が低下している調査結果もあり、実際に子どもに被害が出ています。
保護者らからは、「子どもを太陽の光に当てていないけど、大丈夫でしょうか」「この子の将来の健康が心配」といった不安の声が寄せられています。
今も15万人が避難し、汚染水問題は深刻で、原発事故は続いています。なのにこんな発言が出るとは、福島のことを忘れたのか。あるいは、福島は福島で何とかしろというのでしょうか。
自ら命を絶った農家や避難先で亡くなったお年寄りもいるのに、高市氏の「原発事故で死者はいない」との発言も許せません。
自民党は何も反省していないと感じます。こうした発言の撤回を求めます。