チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

属啓成著『ベートーヴェンの生涯』(1942年)

2015-01-10 17:11:23 | 音楽の本

音楽学者・評論家の属啓成(さっかけいせい、1902-1994)氏の『ベートーヴェンの生涯』(三省堂発行)という本です。根性すわってる表紙に惹かれて古本屋で1,080円で買ってきました。安いのか高いのか?

本を開いてまず驚いたのは72ページもある口絵の121枚の写真。属氏が自ら撮影した写真もけっこうあります。


↑ 第九を書いた家。著者撮影。

↑ 第九を完成した家。現在でも様子は変わっていないんでしょうか?

この本のいいところは単なる伝記ではなく、テーマ別に章が分かれているところです。読みやすい。
(家族、師、交遊、聾者となるまで、ベートーヴェンが演奏した演奏会、風貌と肖像画、ベートーヴェンと自然、住所と遺跡、年代表、ベートーヴェンの伝記についての各章)

このうち、「住所と遺跡」の章は属氏の実地取材による独自の研究であり、旅行者のためのガイドブックにもなっています。

それぞれの記述がかなり詳細にこだわっていて、まるでベートーヴェン百科事典です。属さん、もう完全にベートーヴェンおたく!



初版発行は昭和17年。戦時下の紙不足のなか、よくもこんな立派な本が出せたものです。紙の質も悪くないです。しかも、この本は「発売一週間にならぬ中に、既に倉を空にした」(再版の序より)そうです。戦争中なのにベートーヴェン本の熱心な読者がたくさんいたんですね。



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