『音楽の友』1966年3月号に、グラモフォンの一枚500円の廉価盤「クラシック・ステレット」の広告が華々しく綴じ込まれていました。
↓ 第2回のラインアップ。「ステレット」って言葉は、ステレオとブックレットの合成語なんでしょうね。
↓ グラモフォン額縁に日本語が印刷されてるのはビンボくさっ、というより新鮮!
ところでLPレコードって、内側にいくほど音が悪くなっていく宿命らしいです。
これらの直径17センチのレコードは、30センチに比べると最初から半径6.5センチも内側から再生されることになるから、同じ回転数なら音質に関してはやはり「安かろう悪かろう」だったんでしょうね。原盤からのプレスでは17センチも30センチもあんまり手間は変わらない気もしますけど。。塩化ビニルの材料費が高かった?
当時最高のシステムでレコードを聴いていたと思われる評論家三氏(小林利之、志鳥栄八郎、村田武雄)に勧められてもイヤミにしか思えませんが、音質を犠牲にしてまでも、よりたくさんの音楽を聴きたくてこのシリーズを選んだリスナーたちは、音質第一主義のお金持ちよりよっぽど真面目に、深く音楽を聴こうとする人々だったんでしょうね!
それにしても再生開始の瞬間から時間が経つほどに音質が悪くなっていくという信じられないドMスペックの「レコード」って、ノスタルジックな雰囲気を別としたら精神衛生上良くないです。音質が最後まで変わらないテープ・オーディオやCD以降のメディアに感謝。
ところでここにも自分が知らない指揮者が4人いました。
でもすべてWikipedia日本語版に名前が見つかったのは、さすがグラモフォン!(自分が無知なだけ?)
↑ウィレム・ヴァン・オッテルロー(Willem van Otterloo, 1907-1978)は、オランダの指揮者。作曲家、チェリスト。
↑ ヴィトルト・ロヴィツキ(Witold Rowicki, 1914-1989)はポーランドの指揮者。
↑リヒャルト・クラウス(Richard Kraus, 1902-1978)は、ドイツの指揮者。
↑ フェリックス・プロハスカ(Felix Prohaska, 1912-1991)はオーストリアの指揮者。
国内ではステレオ全盛期で、流行歌のシングル盤まで大きく←ステレオ→と誇らしげに大書してあったが、聴き手の多くはモノーラル再生であったと思う(第一ジュークボックスがモノラルだったからコロムビアL盤などステレオ音源でもシングルカットのドーナツ版はモノ仕様だった)。
東芝やグラモフォンでは盛んにモノーラル音源まで疑似ステレオで発売したものだ。
でも歪があろうがボレロが途中で裏返さなければ全曲聴きとおせなくても、買えれば買ってとにかく聴いた。日本コロムビアから12インチ1000円のダイヤモンドシリーズが出ると、さすがにそちらに切り替える人も出てきたし、3万円位でステレオ再生機器が買えるようにもなったせいもあるだろう。市井の民間人のステレオ体験なんてそのあたりからしか始まらないのではなかろうか。50年LP.60年ステレオLPというのは一部のHIFI好事家の履歴である。しかも多くの廉価盤が発売されても、コロムビアの7インチクラシック古典文庫で東欧のしっとりとしたアンサンブルで有名な小品などを聴くのは依然愉しかった。チェコP.プラハ響でスメターチェク、ヨゼフスーク、ボド等の佳演やエラートのパイヤール、ランパル等は私には基本ここが記憶の原点である。
ダイヤモンド1000やエラート1000、900円のフォノグラムグロリアなども多く跳びついたが、7インチの音の数々は今なお鮮烈に蘇る。