ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.3.31 30年の節目の日~退職にあたって感謝を込めて思うこと

2015-03-31 21:01:54 | 日記
 昭和60年4月1日、私が就職した日である。あれから30年が経った。今でもあの日に着ていたスーツ、式典を終えて外に出た時に頬を撫でた春風の感じ、駅前のレストランで摂った昼食迄ハッキリと覚えている。
 定年まで働きたい-そう思って選んだ職だ。だとすれば、あと7年働き続けることが出来る筈だった。

 この年度末で大学法人への派遣が10年満期になった。ここで大学から本庁等に戻らなければならないという、どうしても曲げられない大きなルールがある。
 いろいろ迷い、上司も何とか今の身分を保持したまま働き続けられる道はないか、と多大な力添えをしてくださった。けれど、今の再発治療と体調を考えると、毎日往復3時間の通勤時間を費やして、フルタイムで働き続ける体力がないのは自分自身が一番分かっていた。

 そして、残り7年を残して、公務員の職を辞することにした。
 今日の夕方、本庁に出向き、定年退職の先輩方に交じって退職辞令と感謝状を頂いた。

 思えば丸の内庁舎に6年、新宿庁舎には5年お世話になった。ピカピカだった新宿庁舎も既に四半世紀近くが経過し、今やメンテナンスの真っ最中だ。新宿庁舎と同じ年に現在地に移転した大学は、法人化に伴い10年前にその名前を変えたが、今日まで19年間勤務させて頂いた。
 
 在職中の知事も5人を数えた。お一人目には秘書として直接謦咳に接するという幸運にも恵まれた。

 青空に聳えるツインタワーを見上げながら、職員としてこの建物に入ることはもうないのだな、とちょっぴりセンチメンタルな気持ちになる。
 最初の10年は色々な仕事を覚え、沢山の上司や先輩たちに可愛がって頂き、本当に毎日が充実していた。私生活でも家庭を持ち、仕事と家事の両立に努力したつもりだ。
 次の10年では一人息子が誕生し、仕事でも昇任があり、部下を持つ身になり子育てに家事に、両立どころか共倒れになるのでは、とそれこそ悪戦苦闘の毎日だった。
 そして最後の10年。子育てが大分落ち着きかけた頃、また仕事にシフト出来るかな、と思った頃、病を得た。その後再発してエンドレスの治療が続く中、とにかく仕事だけは続けたいという思いで踏ん張ってきた。

 「ポンコツなお前はもう来なくていいよ」という戦力外通知の印籠を渡されず、曲がりなりにもフルタイムの仕事を続けることが出来た私は、本当に恵まれているのだと思う。治療のために休暇を取りながらも、働き続けさせてくれた職場にも上司にも同僚にも。
 
 けれど、それをずっと支えてくれたのは他でもない夫である。夫の理解と協力がなければ30年の間、こうして働き続けることは決して出来なかったと思う。そして、働き続けてきたことで一人息子にも随分淋しい思いをさせた、とも思う。
 
 今回、退職の話は夫が息子に告げたのだが、ほどなくして息子から長いLINEをもらった。その言葉を見た時に、ああ、あの子はこんなふうに思っていたんだ、もうこれで死んでもいいな、とさえ思った。その言葉は、これからもずっと、自分の胸だけに大切に仕舞っておくつもりだ。

 明日はもう一つ、新しい節目のセレモニーの日である。
 大学法人の固有職員として再出発の日だ。いかにもトウが立った新人ではあるが、沢山の方たちに支えられて今の私がある。
 少しでも恩返しが出来るように、と感謝を込めて思う弥生晦日、26年度の大晦日。
 桜が満開の夜である。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015.3.30 年度末カウントダウンに思うこと

2015-03-30 22:25:10 | 日記
 毎度思うことであるが、たとえどんなに高級なホテルの寝具で眠ったとしても、やはり自分のベッドが一番ということか。昨夜は程よく疲れていたこともあり、一度も目覚めることなく、今朝は目覚まし時計が鳴るまで良く眠れた。

 金曜日に代休を取ったため、4日ぶりの出勤である。さすがにメールボックスは一杯。一つ一つ返信をしながら潰しているうちに、あっという間に定例会議の時間になる。
 このメンバーで会議をするのも今日で最後だ。今週のスケジュール確認をしながら、異動や退職の人達も一言ずつ挨拶。

 昼休みに外に出ると、春爛漫、気持ち良いお天気である。薄いスプリングコートを羽織って出かけたが、汗ばむほど。紫外線も強くなってきて、日傘が活躍する季節も近い。
 大学の正門前にある一番陽当たりの良い桜の木は、既に5分咲き以上になっている。沢山の人達が笑顔で写真撮影中だ。このまま暖かな日が続けば、週末には盛りを過ぎてしまいそうだ。3日ほど出かけてちょっと目を離した隙に、レンギョウの黄色の帯が桜並木の下で俄然頑張り始めたし、沈丁花の馥郁たる香りが鼻をくすぐる。青空の下、ハクモクレンのすっくとした花も咲き出している。つい先日咲き始めたと思った桃の花は早くも散りそうだ。
 こうして沢山の花木に囲まれて、出逢いと別れの季節は毎年毎年きちんと繰り返していく。

 午後は新入生配布物の袋詰め作業。これまた毎年恒例の人海戦術による力仕事だけれど、今日は集まったメンバーの相性が良かったのか、仕切りがスムーズだったのか、いつもの年より早めに完了した。疲れ方も全然違って有難いことだった。

 さて、明日は本年度最終日。私にとっても大きな節目のセレモニーが控えている。
 詳細についてはまた明日、ご報告したいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015.3.29 雨の中、何もしないでただ帰京

2015-03-29 21:52:41 | 
 昨夜は男子フィギュアスケート世界選手権のライブ中継を見ながらウトウト。いざ眠ったと思ったら夜中に何度も目覚めてしまい、すっかり寝不足。窓の外は予報通りの雨降りなので、無理せずどこにも出かけないことにして、レイトチェックアウトの恩恵を受けることにする。
 寝坊した後は浴槽足湯でじんわり汗をかいてから、ゆるゆると朝食に出かけた。今回は朝食付きプランにしなかったので、とりあえず駅方面へ移動。雨降りの朝にも拘わらず、早くも沢山の観光客でショッピングモールはごった返している。そして、お目当てのモーニングサービスがあるレストランは長蛇の列。

 コンコースを歩いていると、ほぼ3分間隔の新幹線発着で改札からどっと観光客が押し出されてくる。100人を超える外国人団体観光客の一群にも圧倒される。夫のリクエストで茶がゆ定食を頂き、お土産を物色しながらホテルに戻る。
 部屋に戻ってのんびりした後はパッキング。ホテルでゆっくりランチを摂ってそのまま新幹線に乗るつもりだったのだが、予約に出遅れて、ホテル内はどこも満席。見込が甘く、あっという間に昼食難民になってしまう。
 やむなくチェックアウトをして混雑する駅に逆戻り。どこの店にも延々と列が出来ていたが、何とかスペイン料理のお店に入ることが出来た。
 昨日がこんなお天気でなくて良かったね、と夫と言い合う。あれほど何回も洗濯できなかっただろうし、気温も低ければ開け放して大掃除するのも大変だっただろう。息子は部活で出かけるというので、今日は会わずじまいだ。

 予定通りの新幹線に乗りこむや否や、夫も私も文庫本を手にしたまま船を漕いでしまう始末。富士山が見える辺りで目を覚ますも、雲ばかりで全くその姿を拝むことは出来なかった。

 JRと私鉄を乗り継いでまだ明るいうちに無事帰宅した。途中、あちこちで桜の咲き方に随分違いがあるのに驚いた。もう満開近い木があるかと思えば、殆ど蕾だけの木も。私がお世話になっている病院の辺りの川沿いではかなり開いていたので、次の通院日には花吹雪かもしれない。ちょっと残念。
 最寄駅では雨が小止みになっていたが、途中で再び降り出して傘を差す羽目になった。さすがにまだ気温が低いと見えて、こちらはほんの咲き始めの様子。
 帰宅後は片付けと手抜きの夕食作り。
 明日からは、年度末年度始めのイベント続きの1週間が始まる。この疲れを残さないように今日も早く寝なくては。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015.3.28 快適居住空間への道のりは険し

2015-03-28 21:19:20 | 
 いよいよ今日で今季の朝の連続テレビ小説も最終回。なんとなく寝苦しく、目覚ましをかけた時間より早めに目覚めてしまう。いつものようにゆっくり足湯を終えてリラックスしてから、夫と2人うるうるしながらテレビ鑑賞。
 待ち合わせたカフェの開店時間が遅いことが分かり、朝食を調達しに駅ビルへ買い出しに出た。まだ8時半前だというのに既に観光客で溢れ返っている。その出足の早いことと言ったら。一体何時に家を出てきているのだろう、と軟弱な私はそのパワーに圧倒される。

 夫と2人で大荷物を携えて、新しい下宿先までタクシーで移動。昨年12月に下見に来た時には全面的に工事中で幌がかかっていたが、ピカピカの新築ビルになっていた。エントランスは大通りに面しておらず、隣の高級割烹と馴染んだ感じで、町屋風の落ち着いた雰囲気だ。受付でまずは名前を書いて管理人さんご夫妻にご挨拶。息子が降りてくるより前に、部屋まで案内して頂く。引っ越しをしたにはしたけれど、一体室内はどんなことになっているだろう…ある程度覚悟はしていたけれど、その混乱ぶりは私の想像を超えていた。

 絶句していても始まらないので、すぐに上着を脱いでエプロン姿になる。既に洗濯機は溢れ返っているのに、給水栓も捻っていない。一体いつから洗濯をしていないことやら。部屋の中は、まずは床が顔を出してくるまでにするのが一苦労だ。段ボールも潰してはあるものの、まだそこかしこに散乱しているし、スーツケースの中身も出ていない。一体どうやって1週間寝ていたことやら。
 昨年我が家から寮に移動した時は、宅急便で段ボールや購入した衣装箱をいくつか送っただけだったから、引っ越しと言えるような引っ越しではなかったし、その準備たるや夫と私が2人で殆ど済ませたわけだ。つまり今回の引っ越しこそが息子にとって生まれて初めての経験だったわけだけれど、とにかくあるものを全てそのまま放り込んで持ってきただけ、という状況だったのだろう。私と夫は黙々と片付けマシーンとなる。

 到着から2時間弱、洗濯機を2度回し、ベランダ一杯に洗濯を干し終えたところで、ようやく小さなテーブルを置いて3人で座る場所が確保出来て、遅い朝食を摂ることが出来た。
 これまではIHヒーターしかなかったのだが、今度の部屋には電子レンジもあり、電気ポットも持ち込んだので、寮の食事が出ない日の食生活も随分改善されるのではないか。
 部屋は東向きで、朝は陽射しがたっぷりだから気持ち良く洗濯物も干せるだろう。

 お腹ごなしの為、春風に誘われるように近辺を一回り。いいお天気でコート要らずの暖かい日だ。少し歩くと、豊国神社の大きな鳥居が見えてくる。桜は2分咲きといったところか。この暖かさでぱっと開きそうである。3人揃ってしっかりとお参りを済ませた。
 帰り道、和菓子作りが体験出来る京菓子のお店に入って、お抹茶と生菓子で一服。3人それぞれ菜の花、桜、梅の花をかたどった綺麗なお菓子を頂き、心が癒される。これ迄お世話になった下宿の傍には、目の前で職人さんが和菓子を作ってくれるお店があったけれど、次回はこのお店で和菓子教室体験を予約してみようということに。覗いてみると、2階の体験会場は満席。外国の観光客も一生懸命作っていた。

 しばしの気分転換の後、再び下宿に戻ってゴミ捨て場や駐輪場、ダイニングルームもチェックした。なんと前の下宿の管理人さんが見学に来ておられ、ご挨拶することが出来た。引っ越しする時にも何かとお世話になったのに、今回ご挨拶に行く暇がないので気になっていた。ほっとした。
 片付けを続行し、3度目の洗濯を済ませた。もう部屋中の洗濯出来るものは全て洗濯し尽くした感じである。やっと何とか快適に過ごせる居住環境になったのでは、と思うが、この先どのくらい持つものやら不安でいっぱいだ。

 かくいう息子は夜はアルバイトというので、夕方前に下宿を出、バスに乗って私鉄駅まで通学定期を買いに出た。続いて市バスの定期も無事にゲットして本日のミッションは終了。
 少し早めの夕食は春らしさ一杯の京料理に舌鼓を打ち、満足。さすがに働き過ぎて草臥れた所為か、胸痛が出てきてハラハラしたが、何とかロキソニンで収まってくれたので胸をなでおろした。カフェでお茶をした後、明日の息子の朝食と夫のおやつも買い、アルバイト先のビルを見せてもらったところで息子とはお別れ。

 夫と混雑したバスで駅まで戻り、ようやくホテルに帰ってきた。今日の外出時間は合計11時間強。お花見どころか実に良く働いた一日だった。
 明日、息子は部活で出かけるというので、特に予定もない私たちは少しゆっくり寝坊をして体力回復に努め、帰京する予定だ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2015.3.27 3か月半ぶりの古都~夜桜ライトアップに溜息

2015-03-27 21:38:35 | 
 職場では4月1日付異動の内示も出て、例年のことながら慌ただしくも落ち着かない日々である。
 今日は、先週末の学位授与式休日出勤の代休を頂いている。あまりハードなスケジュールは体調を考えればよろしくなかろう、ということで昼過ぎ発車の新幹線。罰当たりにも朝の連続テレビ小説をベッドで鑑賞するという朝寝坊をしてから、洗濯干しを済ませる。

 金曜日は生協の宅配日である。いつも仕事に出かけているので、一体何時頃食材が届いているのかも分からないのに、誤っていつも通り注文書を提出してしまった。慌てて確認してもらったところ、家を出るより前の時間に間に合わせられるということで、ほっとする。この陽気で日曜夜迄・・・、冷凍品冷蔵品をみすみすダメにするには忍びない。

 さて、昨年はほぼ毎月のように訪れていた京都だが、年末年始、春休みと息子の帰省が続いたので、夫と2人で出向くのは12月初めに開催された息子の合唱団定期演奏会以来3か月半ぶりのこと。今回の目的は引っ越し先の状況確認だ。
 春休みの所為か、平日のお昼にも拘わらず、親子連れも賑やかに新幹線は満席だ。お弁当や飲み物を買い込んで、席に座るや否や早速ランチタイムである。すっかり春らしい良いお天気になり、青空の下、聳える富士山を楽しめる。毎度のことながらどうもこの姿を見ると、何をしていようがすぐにカメラを向けてしまう。
 食後は読書をしているうちにあっという間に京都駅に到着。うららかな春の日差しでとても暖かい。スプリングコートにストールを巻いて出てきたけれど、日中は要らないほどだ。

 今回も去年引っ越しをした時と同じ駅前のホテルを取ったので、そのまま荷物を持ってチェックイン。昨年と殆ど同じ向きの部屋だったが、その時は雨降りで100円均一の生活用品やらパソコン関係の大荷物も抱えていたし、宿泊はしないにせよ息子も同行していたから、入った途端随分部屋が狭く感じたが、夫と2人なら広々だ。
 お茶を一服して態勢を立て直し、ショッピングモールに出向いて息子の部屋の追加備品を調達。去年は全く勝手が分からず、目と鼻の先に大きなショッピングモールがあるのを知らず、遠くのスーパーまでタクシーで乗り付ける等随分無駄な動きをしてしまった。今回はよそ見をしていてもすんなり目的地に辿り着けるほどになったので、ストレスフリーだ。
 一方、息子は、新学年のオリエンテーションで初めて新しいキャンパスに出向いており、夜は部活があるというので、本日は夫と2人である。

 ホテルに戻り休息を取った後、夜桜ライトアップ期間で夜の拝観が出来るという東寺迄ゆるゆると歩いてみた。
 小野道風の柳の木が出迎えたかと思うと、見事な八重紅枝垂れの不二桜がピンクにライトアップされている。そして、その先には京の街のシンボルともいえる五重塔。ここを訪れるのは10年前の大晦日、まだ小学校2年生だった息子を連れて両親とともに訪れて以来のこと。ライトアップは22日から始まったとはいえ、花が開き始めた木はチラホラだ。けれど、白く浮かび上がる沢山の蕾はやけに幻想的で幽玄という言葉を彷彿とさせる。なんだかふと遠い世界に吸い込まれていきそうな気分になる。あと2,3日暖かい日が続けば、あっという間に満開になるのだろう。今日は平日だし、まだそれほどの人出ではなかったのでのんびり境内を散策することが出来た。ご本尊の薬師如来様にもしっかりお参りをして(後で聞いたら、夫も私も同じ願い事を3つしていた)帰路は夫のリクエストでラーメン餃子の夕食を摂り、あぁ、古都でこういうメニューを選ぶとはつくづく旅行者ではなくなったなあ、としみじみ思う。

 明朝は息子が引っ越した寮の近くのカフェで待ち合わせ。朝食を済ませた後、1週間経ってどんなことになっているやら、の新しい部屋に初めて行く。今日は体力温存のため、早めに休もうと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする