ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

【2009年9月-2】

2009-10-27 18:22:59 | 2009年9月
2009.9.15 ハーセプチン60回目
 採血後、内科診察へ。冷えるようになったのか手指のこわばりがあること、胸の鈍痛が気になること、先週診察後に親指の爪がとれ、かばって歩くためか腰痛がある旨ご報告。今日の採血結果、白血球は4200、好中球は1700程ということで、上がっていた。先生はこれまでのゾメタ点滴と好中球の関係を比較してくださったようだが、月ごとに上下があり、現在アロマシンのみの内服で、何か最近やめたり始めたりしているサプリメントも特にない、とすると原因はわからないけれど、結果オーライ。アロマシンは続行でよいとのこと。「先週頑張ってバナナや白い野菜を食べた効果でしょうか」と質問したところ、「そんな即効性はないでしょう」とのことだった。・・・確かに。アロマシン30日分の処方をして頂き、ほっとした。次回は採血なしで皮膚科の後内科。
 処置室に移動して、点滴が始まるまで1時間半ほど待つ。今日の読書は1冊目が上野千鶴子さん、辻元清美さんの「世代間連帯」(岩波新書)。仕事、すまい、家庭、子ども、教育、税金、経済、社会連帯、と2人のテンポのいい会話が進んでいくのだが、上野さんの「親になった人たちが、自分が子どもだったときの辛さを、どうしてあんなに簡単に忘れることができるのか、私は不思議に思ってきた。」「教育を親の投資にしない、子どもを親の生産財にしない」という言葉や、辻元さんの「一緒にいてくれてありがとう、という貸し借りなしの感謝の気持ちを持ち続けられたら親の人生は変わる。いつか子どもは社会に“帰っていく”のだから」の部分には下を向かざるを得なかった。2冊目は絵國香織さんの「すきまのおともだちたち」(集英社文庫)。小さな女の子と主人公の一風変わった長い長い友情の物語・・・なのだが、彼女にかかるとどうしてこんなに不思議な世界にすんなり入っていけるのだろう、といつも思う。
 今日は、中待合で本を読みつつ待っていた時に隣の女性から声をかけられた。「ネットを見ていますよ」とのこと。こうした経験は全く初めてだったので、驚いた。あけぼの会の会員さんではないようだが同じ主治医だという。今日は数ヶ月ぶりに検査結果を聞きに来た、とおっしゃっていた。“異常なし”でありますように。

2009.9.29 ハーセプチン61回目、ゾメタ25回目
 皮膚科は5週間ぶり。20日ほど前にとれてしまった右親指の爪と、もうすぐ剥がれそうな左親指を診察して頂いた。左親指はサリチル酸ワセリンを続けて塗ること、右親指は生えてくるまで何もしなくてよい、とのこと。また、抜け落ちたまつ毛がまだろくに生えそろっていないので、“乳がんの化学療法で自慢の長いまつ毛がなくなった妻のために眼科医が開発した”というまつ毛美容液をつけていたのだが、沁みて痛いので最近は休んでいる。眩しいためか涙が年がら年中出て、それを無意識にこすってしまうのでまぶたがただれ気味。それで再びプレドニン軟膏を処方して頂いた。眉毛も相変わらず薄いままで、鏡を見ると実に間の抜けた顔である。手指の爪はようやくほぼ元通りになってきたので(少し薄く弱くはあるが)特に何も塗らないでよいとのこと。そろそろ手袋の外し時かもしれない。
 シルバーウィークだったため内科も2週間ぶりの診察。やはり連休の余波でとても混雑している。最近はアロマシンの副作用である手指のこわばりのためか握力がすっかり弱っていて、ペットボトルのふたを開けることすら結構厳しいことをご報告。また、連休中にずっと気になっていた納戸等、家の大掃除を始めたところ、つい大ごとになってしまい未だに片付かない。当然のことながら少々バテ気味であることをお話する。ここのところ胸の圧痛が結構続いており、息切れもあるので心配になり、骨の悪化では、とお尋ねしたところ、私の痛みの様子から狭心症でもなさそうだし(ハーセプチンが心毒性ということもあり)、範囲が広いので骨転移の痛みではなく肋骨の関節痛かもしれない、とのことだった。少しほっとするが、痛みがあるとどうも前向きになれない。点滴椅子も空きがなく、今日は入り口の狭いベッドで4時間余りを過ごした。
 今日は点滴4本で時間もたっぷりあったので2冊読み終わった。ご自身も乳がんの体験者である中島みちさんの「『尊厳死』に尊厳はあるか-ある呼吸器外し事件から」(岩波新書)。昨年秋、緊急入院を余儀なくされたときにやはり一度きちんと伝えておくべきことを書いておかなくては、ということで夫と息子宛に簡単な手紙を用意している。気が変わったり、何かあったときにその都度更新しているが、リビング・ウィルはきちんと用意しておきたい、と思った。もう1冊は岸本葉子・内富庸介さんの「がんと心」(文春文庫)。岸本さんは同年代でもあり読みやすいエッセイなのでよく手に取る。再発治療の項で、彼女は「自分は経験していなくて、(そのときのことは)語れないのだが」と言っているが、当然のことだ。過日参加させて戴いた「初夏のお集まり」のときにも感じたのだが、まず初発の段階で健康な人たちと線が引かれ、再発で今度は患者の中でもまた線が引かれる、と思う。もちろん初発の人たちも再発の恐怖から、自分のこの後について少しでも参考にしたい、ということがあるのだろうが、「再発治療中の人」という集まりの中にそうでない人が入ってくることについて温度差を痛感した。
 早いもので次回は10月。あけぼの会の大会の入場証も届いた。元気をもらいに参加してきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【2009年9月-1】

2009-10-27 18:20:50 | 2009年9月
2009.9.1 ハーセプチン58回目、ゾメタ24回目
 今日から9月。月初めの採血は40人待ち。30分程して採血後、内科へ。採血結果が出るのがいつもより遅く、待ち時間は1時間半近く。「先週も特に変わったことはなく」とご報告。採血の結果、白血球が3100で、好中球が910とのこと。4月に2000程だったのが、5月からずっと下がっているそうだ。低値安定だが、タキソテールの最終が3月なのでその後遺症にしては長すぎるし、4月に一度上がっているのでタキソテールのせいではなさそう。転院直後の数値を確認して頂くと、白血球が5~6000、好中球も2~3000あったようだ。アロマシンの副作用で好中球が下がることもあるそうだが、1000を割るのは余り嬉しくない。新型インフルエンザをはじめ感染症に注意しなくては。先生がおっしゃるには「今後の数値を気にしつつアロマシンを続行するかどうか。一度アロマシンを止めて好中球が上がればアロマシンが犯人ということになる。ただ、アロマシンは止めたくないですね。」「貧血なら頑張ってレバーを食べます、と言えますが、好中球をアップさせるには何を食べればいいのでしょうか。」と質問したところ、「バナナが良い、と言われているようだが、あまりないですね・・・」とのお返事。アロマシンを止めてまたフェマーラに戻る、という選択肢はなく、次はヒスロンになるようだ。ただしハーセプチンとの相性は不明だし、食欲がうんと出てムーンフェイスになるとのこと。ただでさえ丸顔の私がムーンフェイス・・・考えただけで気が滅入る。休職が明け、久しぶりに会った人からは必ずといっていいほど「ふっくら丸くなって元気そうじゃない」と言われる。いちいち「薬の副作用でむくんでいるので・・・」と言い訳をするのも面倒なので、そのままへらへらしているのだが、なんだかなあ・・・である。
 いずれにせよこの病気にとって肥満は大敵だ。とりあえず2週間後に再度採血をして、あまり下がっていなければ目をつぶってアロマシンを続けましょう。もしさらに下がるようだったら2,3週間アロマシンを止める。それで変わらなければアロマシン再開でいきましょう、ということになった。
 今日はハーセプチンとゾメタの日なので、生理食塩水を含め4本の点滴。十分時間があったので2冊読破。
 1冊目は恩田陸さんの「中庭の出来事」(新潮文庫)。芝居とミステリーが見事に融合、とあるように目まぐるしく進む内と外のお話に引き込まれ、戻っては確認しつつ一気読み。読後、お芝居を観に行きたくなった。
 2冊目はV.オフチンニコフ、早川徹訳の「日本人とはなにか 一枝の桜」(中公文庫)。米原万里さんがベネディクト「菊と刀」をしのぐ日本人論の名著と絶賛した、という帯に惹かれて選んだのだが、1970年代のベストセラーであるにもかかわらず1960年代の記憶として僅かに残っている部分を思い出しつつ十分楽しめた。
 ただでさえ今日は時間がかかったのに、なんと間抜けにも携帯を点滴椅子に忘れ、駅に着いてから気づいた。慌てて汗だくで病院を往復。自業自得とは言え、どっと疲れた。改札を入ってからでなかったのがせめても・・・。

2009.9.8 ハーセプチン59回目
 内科診察。やはり夏バテなのかだるさと眠さがあり、いくら寝ても眠いこと、足の親指の爪が殆どとれかけていることをご報告。腫瘍マーカーは3月の最終タキソテール投与前と殆ど変わらない数値。このところ、少しずつずっと下がっていたので久しぶりの上昇。ただし正常範囲内では必ずどこかで上下はあるので、今後上昇し続ける、ということがなければ心配はなさそうだ。来週の採血で白血球だけチェック。更に好中球が下がっていれば2週間アロマシンを止めて月末にもう一度採血。そこで上がっていればアロマシンが原因。来週好中球が1000程度あればこのまま続行、と方針確認。「アロマシンをやめて次の薬、の選択肢として前回話に出たヒスロンは、病状が進んで食欲がなくなったときに使うこともあるのでは」の質問をすると、「その使い方もあるが、とっておくこともない」とのお返事。また、ゾメタが原因ならアレディアに変更もありだが、時間がかなりかかるので出来れば避けたい、とのこと。普通は数ヶ月くらいで症状が出るのでもう1年半以上使っているゾメタが原因ということもなさそう。次回好中球がアップしていますように。
 処置室でスムーズに点滴開始。今日の1冊目が角田光代さんの「愛がなんだ」(角川文庫)。全力疾走片思い小説!と裏表紙にあるようにうんと切なく、なんだか胸がきゅんとしてしまうような。彼女の作品はいつもどこか心の琴線に触れて、うるうるしてしまう。
 2冊目は曽野綾子さんの「貧困の光景」(新潮文庫)。格差社会と言われている今の日本からは想像も出来ない貧困の現実。殴られたような感じ。「日本人は自分にお金がなくても自分の病気は治療されるのが当然の権利と考えているが、アフリカでは、お金がなければ医者にもかかれず薬も買えない、と考えることである。どちらが“現世の理(ことわり)”かめいめいが改めて考えるべきことだ。」や「どうせ死ぬ運命の子どもを養うより、少しでも生きる可能性のある子に食べさせないと、一人の子も残らないことになる。」とのくだりには慄然とするばかり。
 2週間分のアロマシンを薬局で受け取る。次回は9月15日。どうもまだ“ハッピーマンデー”に慣れない。“敬老の日”か、と思ってしまう。今年の夏はサンダルを履かないで終わった。足の痺れと爪の状態で、不安定なオープントゥーは怖かったから。太く低いヒールばかり履いていたら、何だか足がどっしりしたような気がする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする