ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.3.31 ジェムザール4クール1回目投与後の体調のことなど

2017-03-31 21:04:50 | 日記
 28年度最終日。明日からは早くも新年度、4月である。
 早々に桜が花開いたとの知らせの後は、はっきりしない花冷えの日が続いている。今日も予報より早く昼前から冷たい雨が降り出した。
 1月末から開始したジェムザールから3ヶ月が経過した。好中球が下がり続け、1回も予定通りの2投1休が出来ない。既定量の次は、8割、6割と減らし続け、一昨日は4割減量だった。

 規定量の4割投与で体調が楽かといえば、そんな感じは全くない。
10割が8割になった時には少し楽かなと思ったけれど、8割が6割になっても殆ど変化を感じなかった。実際、採血の結果は2回目と3回目はほぼ同じだった。

 今回から吐き気止めノバミンをコンスタントに飲んでいるせいか、気持ち悪さは辛うじて我慢できるけれど、それでも生唾は出るし、食欲は不振。お腹のモタモタ感は継続しており、だるさというか何もやりたくない厭世的(?)気分が満載である。

 そうはいうものの先週末に内示が出て、職場はあちこちで引き継ぎを始まっている。そんな中でワサワサと落ち着かない毎日である。異動しない身とはいっても、今年度の整理と来年度の準備であれやこれやとやるべきことは目白押しだ。

 体調面でひとつ気になるのは、2012年の秋、初回EC投与時の好中球減少症と同時に起きた免疫抑制による急性歯根膜炎の症状を彷彿とさせる奥歯の疼き、痛みである。
 先日3ヵ月毎の歯科検診を受けた折にはそれほど気にならなかったのだけれど、このところ、右下の一番奥のまさにその奥歯が痛む。

 あの時は舌先が触れるだけでも痛みが全身に走って、物を食べることすら出来なくなった。歯根が弱くなっているため、抗がん剤治療で免疫抑制が起こるといつこの症状が再燃するかわからない。爆弾を抱えているようなものだから、今後治療を続けていく上で、いつか抜歯をすることになるかもしれないとのことだったが、その後なんとか騙し騙し4年以上過ごしてきたのだ。

 ゾメタ、ランマークという骨転移抑制治療を9年以上続けている身。抜歯などの出血のある口内治療は、顎骨壊死を引き起こす危険な処置でもある。地元クリニックでの処置は難しく、今お世話になっている病院で口腔外科にかかるしかない。
 このまま症状が悪化するようなら、来週の通院日で相談してこないといけないだろう。これで治療が出来なくなる、もしくはお休みせざるをえないかと思うと困ったものだ。

 治療のメリットとデメリットを上手くバランスをとりながら、細く長くしぶとく、とは思うのだけれど。そんなこんなでちょっと冴えない年度末の夜である。

 記録のために火曜日に届いたお花のこと。純白のカラーが2本、淡いピンクとオレンジのチューリップが合わせて3本、白い小花が可憐なアリウムコワニー2本とコデマリ1本。花言葉はそれぞれ「清純」、「寂しさ」、「正しい主張」、「伸びゆく姿」だという。心なしか春の旅立ちに因んだ言葉のようだ。




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2017.3.29 採血後ハーセプチン178回目(3倍量38回目)、ジェムザール(6割減量)4クール1回目

2017-03-29 22:12:48 | 治療日記
 昨夜は夫が宴会で夕食不要というので、仕事を終えて一度帰宅。洗濯物を取り込み、届いたお花を活け、お風呂洗いなどもろもろ片づけ、簡単に夕食を摂ってあとは入浴して、眠るだけの状態で病院最寄り駅に移動、前泊した。

 今朝は夫にモーニングLINEした後、恒例の熱めの浴槽足湯。治療後の悪心に備えて食べ過ぎないようにサンドイッチの朝食。チェックアウトして病院へ向かった。今日は日中日差しが出て春らしく暖かくなるという予報。外は青空だが、まだ十分寒い。

 自動再来受付機でIDカードを通して採血受付機へ。ピンクの番号札を見ると、もう私の番号が採血室へどうぞ、の番号になっている。コートをエコバッグに入れる間もなく採血室へ。態勢を立て直し、ほどなくして名前を呼ばれる。

 と、ここまで極めて順調だったのに、この後暗転。初めてお見掛けする女性検査技師のTさん。刺針の時から「ごめんなさい」の連発である。特に痛みが酷いわけでもないので、「大丈夫ですよ」とお任せして横を向いていると、2本採取の筈なのに1本で針を抜いている。あれ、と思って台を見ると、いつもはテーブルに血が垂れるなどということはないのに、チューブから血がポタポタ。何が起こったのかわからない。

 「あと1本残っている筈ですが、どうかしたのですか」と訊くと、「ごめんなさい、刺し直します。反対の手を」と仰る。「(左は使えないので)右だけなのですが」というと「・・・」。どうしたのかと確認すると、「針がきちんと入っていなかったので、血液が漏れ、自分の判断で抜きました」という。

 9年以上通っているが、記憶にある限りこんなトラブルは初めてだ。止血して再度刺し直しに。「せっかくいい血管だったのですが、ごめんなさい。この脇のところから刺します」と。ばんそうこうが2か所になり、なんだかなあの始まりになった。「ごめんなさい」とだけ言わずに、まず何があったのか状況をお話して頂かないと・・・、となんとなく納得出来ない思いのまま採血室を後にした。

 止血しながら腫瘍内科受付に移動。待合椅子はそこそこ埋まっている。席を確保して、読書を開始。今日は文庫が2冊読めた。読書記事は明日以降に。
 1時間ほど経って、そろそろ掲示板に番号が出そうというタイミングで血圧測定へ。94-62、脈拍は80。
 中待合に入って、30分ほどして先生がお顔を出される。

 「さて、2週間、お加減はいかがでしたか?」と問われ、「あの後、週末までは怠さと胸痛、息切れ等がありましたが、週明けからお腹が緩い状況が続きました。夕食後、胃が痛み、胃薬を飲んで入浴後には生唾が止まらず、普段吐くことはないのに十年ぶりくらいで吐きました。足の裏の痺れでペタンコ靴でもこけてしまい軽い捻挫もして、ちょっと不調でした。その後、朝お腹が緩い状態が続いています。胸痛は落ち着いていてロキソニンを追加で飲んだりすることはありません。寒さが続いて風邪っぽかったので今週の初めには葛根湯を飲みました。」とご報告。

 「やはり痺れが出ますね。下痢は水様便ですか。」と問われ、「朝は軟便から始まり、泥、一度下痢程度で日中何度も下痢を繰り返すほどではありません。」と答える。

 採血の結果、白血球は3,600で相変わらず低め。問題の好中球は1,400。これまででは大分高いほうだ。他の数値は特に問題なしとのこと。今回は4割に減量で、次週1,000を下回らなければ5割で投与したいという。

 吐き気止めは、これまでのように頓服ではなく定期的に飲むように、とのこと。下痢気味のため、胃腸を動かして吐き気を止めるナウゼリンよりノバミンが良いでしょう、と5日分の処方。「(お腹が緩いということなので)マグラックスは不要でしょうが、下痢止め(ロペミン)は要りますか。」と問われ、ゼローダとタイケルブで酷い下痢をしたときにロペミンを飲んで、これまた辛い経験をしたことが思い出されて「朝だけで留まっているので、1週間様子を見ます。」とお答えする。

 結局、3週間分の漢方2種と、デノタスチュアブル、ロキソニンとノバミンの処方となった。診察室での検温は6度8分。
 来週の予約は、4月の定期異動と他科からのヘルプの関係から、化学療法室でどうしてもこれ以上予約が入れられないため、どうかご協力をとのこと。木曜日は会議のため、一日前倒しの火曜日に変更。火曜日だと水曜日ほど好中球が下がり切っていないだろうから、うまく投与が出来るかもしれないとのこと。ご挨拶をして診察室を後にした。

 化学療法室へ移動。待ち時間はいつものように夫やお友達に報告LINEやメールを打つ。室内はまだ早いのかそれほど混んでいない。10分ほどで声がかかって内側のリクライニング椅子に案内された。その後、30分ほど待ってKrさんが針刺しに見える。今日はすんなり、痛みも殆どなくほっとした。

 薬が届くまでに20分ほど。今日もハーセプチン、アロキシ(吐き気止めのセロトニン拮抗薬)、4割に減量のジェムザール、生理食塩水の4本だ。久しぶりにSさんと体調の話や息子の話をしながら、ハーセプチンから開始。1時間ちょっとかけてアロキシは20分弱。ジェムザールは30分、最後の生理食塩水は15分かからず順調で、始まってからは2時間10分足らずで終了。針刺しはMさん。「先日は(ポートの針刺しを失敗して2度になってしまい)すみませんでした」と抜いてくださったけれど、相変わらず衝撃が大きい。一日も早く上手になってくださいね・・・と心の中でお祈りする。

 血圧は107-68、脈拍は62。看護師さんたちにご挨拶して化学療法室を後にする。計算時間を見計らって自動支払機へ移動。カードを通し採血と点滴、3割負担で4万円強いをカード支払い。

 外に出るとそれほど青空でもなく肌寒い。コートのライナーを外さなくてよかったと思う。病院前の桜並木も蕾のままで花開いていない。来週はお花見が愉しめるだろうか。

 薬局に入ると、こちらもそれほど椅子が埋まっていない。30分ほど待って薬の受取。「(化学療法を)が減量とのことですが・・・」と問われ、「はい。今日はさらに減量で4割でした。好中球が下がってしまい、なかなか2週連続投与できません。」とお話しながら、マグラックスの代わりにノバミンを受け取る。ノバミンは飲んだ後、眠くなるので注意とのこと。2,000円ほど現金払い。

 病院と薬局の滞在時間は合わせて6時間。ランチタイム内に駅ビルに入ったが、春休みで旅行客も多く、リニューアルされた1階のレストランはどこも長蛇の列。開業9周年と大きな垂れ幕がかかっている。そう、初めてこの駅に降りたのは9年前の2月1日。駅ビルはまだ工事中だった。今では当たり前のようにここでランチを頂いているけれど、最初はランチをする場所を見つけるのもなかなか大変だった。もう9周年か、としみじみ思う。

 夜になるとまた食欲がおちるだろうし、ノバミンを飲んで昼はちゃんと食べておこうと、私としては珍しく天ぷらを頂いてきた。電車に乗ると、早速ウトウトしてしまう。乗換駅では迷わずお弁当を調達して、そのまま帰宅した。

 帰宅後は最低限の片づけをしてリビングで横になる。夫が帰ってきてからも1時間ほどそのまま眠ってしまった。夫に助けてもらいつつなんとかお弁当を頂く。だるくて眠い。今日も早めにお風呂に入ってそのまま休みたい。
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2017.3.25-26 復調・・・またしても、あれやこれや

2017-03-26 21:10:14 | 日記
 土曜日。
 今季の朝の連続テレビ小説も余すところあと1週間。ベッドで鑑賞した後はのんびり起きてゆったり朝食。相変わらずちょっと食べるとすぐにお腹を壊しやすくなっている。
 ひととおり掃除・洗濯を済ませて簡単なランチを済ませる。夫は職場関連の会合へ、私は一足遅れて久しぶりにSさんのスタジオに出かけた。
 
 今日は1月に参加した“わたし改革リトリート”のフォローアップクラスだ。金沢から参加されたYさんや、山梨から参加のAさんの姿も。新幹線や特急に乗って駆け付けるのだから、Sさんのクラスの魅力の大きさが分かる。

 Nさんから午後のクラス前にタイ料理のランチにも誘って頂いたのだけれど、ランチ、2つのクラス、フォローアップクラスと、3クラス連続は体力的にちょっと自信がなかったので、泣く泣くご遠慮してフォローアップクラスの1つ前の、キールタンメディテーションのクラスから参加した。

 靴箱が溢れるほどの大盛況。スタジオ内は、ヨーガ哲学のクラスに参加された方たちの熱気でムンムンだ。気持ちよくオーム、クリシュナや9つの唄がセットになっている長いキールタンを気持ちよく歌えばあっという間に1時間。いつものことだけれど、不思議なくらい心が穏やかに美しく洗われて落ち着いていくのを実感する。

 キールタンメディテーションの参加者がスタジオを退出され、私たちリトリート参加者7人だけの贅沢なフォローアップクラスが始まった。Hさん、Kさんはハングアウトでの遠隔動画参加。もうお2人は残念ながら欠席のようだ。

 まずは2つのグループに分かれてこの2か月、自分自身にどんな変化があったかをシェアしあう。ちょうどリトリートの最終日に帰路が一緒だったAさん、Nさんと同じグループになり、報告しあう。彼女たちは指導者養成コースの同期なので旧知の仲だが、それぞれが、大変な状況を上手にやり過ごせるようになっていること、何があっても大丈夫という大きな思いに支えられている感じを確認しあう。

 全員が状況をお披露目するだけで1時間が過ぎる。残りの30分でゆっくりと身体を動かして瞑想に。いつのまにか微笑みながら、揺るぎない優しい気持ちに包まれて、幸せ一杯。Sさんからは「皆さん、もうヨーガの智慧を上手く日常生活に生かせていますね」とお墨付きを頂き、ひとまず今回のリトリートは修了。Sさんを囲んで記念写真撮影をしたり、あれやこれやとこれからのスケジュールを話し合ったり、名残惜しくお喋りは尽きなかった。

 ちょうどその頃夫も会合から解放されたようで、帰路足を延ばして迎えに来てくれて、スタジオ最寄り駅で合流。会食を済ませた夫にはお茶だけ付き合ってもらい、空腹の私は夕食を摂り、ご機嫌で帰宅した。

 日曜日。
 予報通り朝から冷たい雨。なんとベランダの温度計は5度を指している。これは、とまだクリーニングに出していなかった毛皮のコートを引っ張り出す。3月末、桜が咲きだしたというのに真冬の寒さに逆戻りだ。

 今日は毎月のお楽しみ、Wさんのサロンでマッサージの日。この1か月の報告をしたら、施術中はほぼ熟睡。気持ち良さでぼーっとした後は、夫と母と待ち合わせてランチ。雨でレストランはガラガラかと思いきや結構混んでいる。あれやこれやデザートまでたっぷり頂いてお喋りもして、あっという間に2時間が過ぎた。母が最寄り駅行のバスに乗るのを見届けて私たちも帰路へ。

 手早く買い物を済ませ、ヨガスタジオへ。内装が一新され、すっかり綺麗になっていてびっくり。金曜日の定休日に一気に工事したそうだ。確かにオープンから丸10年が経ってあちこちに大分汚れが目立っていたが、すっかりリニューアルして気持ち良いことといったら。
 もう一つ驚いたことには、昨年春まで職場にいらしていたアルバイトのMさんに声をかけられたこと。今は都心の別の大学で、フルタイムでお仕事をされているそうだ。久しぶりにお目にかかってクラスが始まる前にすっかり話し込んでお互い近況報告。

 肩や股関節に丁寧にアプローチをするハタヨガビギナーのクラスは身体のメンテナンスにぴったりだ。久々に気持ちよく汗をかいてスッキリ。身体の中から温まって外の寒さもなんのその。ポカポカ気分で帰宅した。

 明日からまた新しい1週間が始まる。28年度最後の1週間である。先週末には異動内示も出た。私は引き続き同じポストで仕事をさせて頂けることになった。周りはかなり大きな動きがあるので、落ち着くまでには大分時間がかかるだろう。

 水曜日は4割に減量してジェムザール4クール1回目。今回こそ何とか持ち堪えて2投1休の治療が出来るようになりますように。

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2017.3.23 心ざわざわ・・・

2017-03-23 22:21:50 | 日記
 今年度も余すところ1週間余となった。
 都心では桜の開花も発表された。こちらは都心より2,3度気温が低いから、1週間ほど遅い開花になる。桜並木の蕾はまだ堅い感じに見えるけれど、それでも少しずつ色が変わってきている。植え込みの沈丁花の香りは馥郁と鼻をくすぐっているし、雪柳の眩しいほどの白い小花も可憐だ。コブシの花も元気に開きだしている。そう、世はSpring has come! 春なのである。

 そんな中、今週はちょっと受難続きである。
 もろもろの薬の副作用が溜まり、足の裏を中心とした痺れが常態化して久しいが、本当にちょっとした拍子になんでもないところで躓く。足裏の感覚がかなり鈍っているので、ヒールの高い靴を履くのは諦めて、カバさん靴がデフォルトなのだけれど、それでも平らな歩道のちょっとした縁にひっかかってこける。

 今回も右足首の軽い捻挫を起こしてしまった。その時はなんとか大丈夫だと思って特に手当をしなかったのだけれど、一晩眠って朝起きたら結構症状が酷くなっていて、丸一日以上湿布をして足を引きずって歩くハメになった。

 さらには記憶にある限り10年近く前に、友人とお昼に摂ったシラス丼でノロウィルスに罹患して以来の嘔吐。夕食後4時間近く経って、急に胃の痛みが襲った。胃薬を飲み、休んでいると今度は腹痛も。様子を見てお風呂で温まった途端、今度は生唾が止まらなくなった。お風呂から出るなりお手洗いに駆け込んで嘔吐。食後時間が経っていたわりには、何故か吐しゃ物は殆ど未消化だった。

 私はもともと嘔吐にあまり免疫がない。大人になって記憶にあるのは、悪阻の時を除けば数えるほど。抗がん剤投与の後でも、高性能の吐き気止めのおかげで気持ち悪さはあっても実際に嘔吐することはなかった。それなのに、何故、今?である。結構凹む。

 嘔吐したら気持ち悪さは解消してスッキリはしたものの、その影響で胃の痙攣が続き、痛みも継続して不調。翌日も終日胃が重苦しく、食事を摂る度に胃がその存在を主張して地味に痛むのに悩まされた。

 こう調子が悪いと、心穏やかに潔くというスローガンはどこへやら、情けなくも心がざわつく。この2か月近く通院等でほぼ週4日勤務だし、治療週の金曜日は体調が悪く、ギブアップして早退させて頂くこともある。こんな調子でいったいいつまでフルタイム勤務が続けられるものか、とも思う。

 そんな中、春の声とともにゴールデンウィークや5月から6月の集まりの楽しいお知らせなどが次々と届く。
 行きたいのは山々、それでも体調次第と答えるしかない。それもあくまで今の状況が続けばということだから、私の日程に配慮して頂いて、結局その日でもダメになるとなればまたまたご迷惑をおかけすることになる。だから軽々しく返事が出来ない。

 かつてはこうした集まりには無理をしても駆けつけていた。けれど、最近はその無理がしにくくなっている。なんといっても疲れやすいし、一度リズムを崩すと体調を戻すのに時間がかかる。治療週の土日、都心まで出向いて会食するのは諦めるほかないのかなと思っている。

 とはいうものの、今後投与のスケジュールと体調が安定すれば・・・と願うのだけれど、冷静に考えれば休薬週には好中球の値が低いのは自明の理だから、そうそうウキウキと自分から人混みに行くのも賢くはないだろう。こうして引き篭もってしまうとそれはそれで免疫力が下がりそうだけれど。

 そして、先日「芥川症」の次に読みたいと書いた久坂部羊さんの「悪医」を読んで、なんとも身につまされた。
 患者は52歳の男性。2年前に早期胃がん手術をしたものの、1年経たずして肝転移。抗がん剤が効かなくなり、若い外科医からもはや治療が出来ず余命三ヶ月と告げられる。

 その後、セカンドオピニオンを取り、転院して別の腫瘍内科医にかかり、大枚はたいて免疫細胞療法も試して最後はホスピスへ・・・と、奔走する患者と、いかにしたら(もはや命を縮めることになる)積極的治療をせずに残された日々を穏やかに過ごしてもらえるか、と主治医が苦渋する様子が交互に描かれる。
 こうして9年以上再発治療で命を繋いでいる身、どちらの気持ちもリアルに分かる。それだけに色々考えさせられた。

 この若き外科医は、テーマパークの閉園を例に患者に説明しようとした。なるほど、と思った。
 閉園時間のないテーマパークはない。どんな素晴らしい楽しい人生(時間)も終わらないものはない。だからこそ、閉園時間までどうすれば楽しく過ごせる(ここぞと思ったら積極的治療を止めて穏やかに過ごす時間を大切にする)か。あるいは、何とか閉園しないように事務所に掛け合い続ける(最後まで積極的治療を望んで穏やかな時間を失くす)のか。

 この本では、がん患者は閉園しないテーマパークで遊びたいと思っている、と書かれている。
 けれど、私はさぁどちらを選ぶかと問われれば、前者なのだろうなと思う。筆者は、その状況を分かっている筈の医師でさえも、実際に自分がその場になれば、あれこれ藁にもすがる思いで治療をしてしまうというみっともない最期になるかもしれない、とも書いている。だから、私もその時が来た時に、その決断をきちんとくだすことが出来るか、自信はない。

 卒業生から思いもしない感謝の手紙やメールを頂いた。こんなポンコツの私でもまだ若い力のお役に立てている、まだ働いていてもいいのだ、ともったいなくも有難く思う。
 心のざわざわを体調復調とともに少しずつ落ち着けていきたい年度末である。

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2017.3.19 ゴスペル初体験!~Amazing Grace

2017-03-19 20:34:52 | 合唱
 先日、某新聞社のイベント“「亀渕友香&VOJA」とゴスペルを楽しく歌おう!”の当選おめでとうございます」と通知が来た。
 ラッキーなことに都心での開催ではなく、かつて息子がピアノの発表会でお世話になった地元駅前のホールでの、思いもかけないイベントだ。以前から一度ゴスペルを歌ってみたいという思いがあったことと、息子と一緒に歌うという機会はなかなかないので、これは!と、帰省予定だった息子と私の2人の名前で別々に応募した。
 結果、2人とも見事当選。治療の状況によっては副作用できついかなとも思っていたのだが、幸か不幸か治療中止になり、体調も戻ってきて無事参加の運びとなった。

 会場に到着すると、受付開始時間前からチラホラと参加者が屯している。受付を済ませ、懐かしいホールに入ると、スタッフの方から前からお詰めくださいの声。折角の機会なのでずうずうしく最前列に座らせて頂いた。

 定刻通りに亀渕さんご本人とコーラスグループVOJA(The Voices of Japan)の女性2人、男性1人が登場。御年73歳というゴスペル界のゴッドマザーは、コントラアルトの声が素晴らしい声量のパワフルな方だ。まずは簡単に首回りのストレッチと呼吸、発声練習をしてソプラノ、アルト、テナーに別れる。恥ずかしながら、ゴスペルにはメゾソプラノというパートがないということを知らずに来た。そのため、今日は私はソプラノ、息子はテナーに別れる。

 歌うのはAmazing Grace。この曲は2年ほど前に旅立ったお友達の好きだった曲で、お葬式の時に流れたなあ、と思い出す。

 歌詞カードがあるだけで、楽譜があるわけではなく、耳から聞いて、感じて歌ってみましょう、とのこと。フロアには百二、三十人もいただろうか。実際に亀渕さんに指導を受けてゴスペルを愉しんでいる方も、私のように初めての者も、息子のように混声合唱をやっている方もいるだろうし、歌ではなく楽器をやっている方、普段はなかなか歌う機会のない方など、さまざまなバックボーンの参加者たちだ。

 そんな方たちを前に亀渕さんが判り易く歌詞を発音し、その意味を説明されていく。ソプラノはメロディだから問題なく進むけれど、アルトもテナーもなかなか難しい。メンバーの3人がデモで唄ってくださり、それぞれのパートが2回ほど音取り方々練習して、皆で合わせる。2コーラス目はハレルヤでメロディーをなぞる。

 この2年間OB・OG合唱団にもご無沙汰で、歌らしい歌は殆ど歌っていなかった。ろくに声が出ないのではと心配だったけれど、ヨーガで体得した深い呼吸が功を奏していたのか、胸を開いて長く息を吐くことが自然と身についていたのか、亀渕さんのご指導の賜物だったのか、思いのほか声が出て、とても気持ちよく歌えた。

 100人を超える大合唱。フロアからの質問タイムもあり、あっという間に予定時間の1時間半が過ぎた。
 やっぱり身体を使って歌うって素晴らしい。背筋を伸ばし、胸を開き、深い呼吸をしながら、口をしっかり開けて声を出す気持ち良さを久々に体感。ちょっと高揚した気分のまま大満足で会場を後にした。

 終了時間には夫が迎えに来てくれて、3人でお茶をして帰宅した。
 息子には先日面接したアルバイト先から採用の連絡もあり、親子3人でほっとする。
 彼は明日、寮に帰っていく。私は卒業式・学位授与式で出勤だ。

 すっかり春らしく暖かくなった今日、体調も大分戻ってきた。息子と一緒にこんなふうに歌を歌うことが出来て、幸せな時間を過ごせたことに感謝である。

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