夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『つぐない』

2008年10月09日 | 映画(た行)
『つぐない』(原題:Atonement)
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ,ジェームズ・マカヴォイ,
   シアーシャ・ローナン,ロモーラ・ガライ,ヴァネッサ・レッドグレーヴ他

昨日の今日で「償い」なんて言葉を聞くと、
どないして償ってくれるねん、某球団!と叫びたくなってしまうのですが、
これだからこそ、あの球団よ。(T_T)

気を取り直して本作。
とっても辛気くさいです。でも、ものすごく好き。

1935年のイングランド。官僚の屋敷。
文才に長けた13歳の娘ブライオニーは、
休暇で帰省する兄とその友人を歓待するため、
戯曲を書き上げたばかり。

ふと、窓の外のある光景を目にする。
それは、ずぶ濡れになった下着姿の姉セシーリアと、
使用人の息子ロビーが口論しているような様子。

数時間後、ブライオニーは、ロビーに呼び止められる。
セシーリアに手紙を渡してほしいと言うロビー。
こっそり開封したブライオニーは、卑猥な言葉の並ぶその手紙に驚く。
それは、文面を考えあぐねていたロビーが戯れにタイピングしたもので、
実際に渡そうとしていたものとは違ったのだ。
ロビーが気づいたときにはすでに遅し、手紙はセシーリアのもとへ。

ところが、その文面がセシーリアの胸を打つ。
非礼を詫びるつもりで訪れたロビーをセシーリアは抱き寄せる。
図書室で絡み合うふたりを目撃してしまうブライオニー。

その夜、ブライオニーの従姉が何者かによって強姦される。
現場から走り去る人物を見たブライオニーは、犯人はロビーだと証言。
それがふたりの仲を永遠に裂くことになるとは夢にも思わずに。

ブライオニーがロビーに淡い恋心を抱いていることは、
さまざまな描写からわかります。
セシーリアとロビーを見たとき、
そこに生まれる、自分でも気づかぬぐらいの小さな嫉妬心。

自分の嘘がもたらした残酷さに気づいた彼女は、
生涯かけて罪を償おうとします。
彼女の償いかたは、自己満足に過ぎないかもしれません。
でも、老年のブライオニーの表情に、私は満足さを感じませんでした。
どう償おうと、決して償いにはならないことを、
彼女自身、本当はよくわかっていたのだと思います。

それぞれの世代のブライオニーを演じる女優がお見事。
相変わらず胸ペッタンコのキーラも美しい。

図書室での一瞬がすべてだったふたり。
BGM代わりのタイピングの音とともに、心に残る悲恋です。
これを思えば、阪神の悲劇なんて、なんちゅうこたぁないっ!

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