ふぶきの部屋

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宝塚コラム・・・さよなら花總まり2

2006-06-25 11:55:24 | 宝塚コラム

 花總まりには数々の都市伝説があります。

どこまで本当なのかはわからないけど・・一応列挙しておきますね。

 入団してから最初の大役「白夜伝説」のミーミル役をお金で買った。

(確かにミーミルはおいしい役でした)

 衣装は全部自前。新東京宝塚劇場の緞帳をプレゼント。

 実家が大金持ち。大劇場付近に億ション暮らし。

・・・という事で、とにかく「お金」にまつわる伝説が多く、その財力に

劇団自体もかなり影響されていたのではないか・・とも思われ。

そうでも思わないと12年もトップを張るなんて考えられないかも

しれませんね。

 

さて・・・

花總まりが雪組のトップになったのは1994年のこと。

元々星組出身だった彼女が雪組に移動した為に、娘役人事は大幅に

変わってしまったことは有名なお話。

すなわち、当時雪組のホープで朝ドラ出演中の純名りさが、戻る組を

失って花組へ移動。真矢みきの相手役になるも2作で退団

花組ホープで、友人のお話ですと「真矢みきのお気に入り」だった

月影瞳が星組の二番手に移動。そして星組ホープだった星奈優里

花總の後を追いかけるようにして雪の二番手に。

(一時期星奈のトップは無理かもといわれていましたよね)

 

たった一人の娘役の移動が、その後の回りに大きな影響を与えた事は

事実です。

花總まりの最初の相手役が一路真輝

 

私は実際には「エリザベート」しか見ていないし、あとはビデオだけ

ですが、その印象としては、かなり「添え物」的扱いだったと思います。

というのも、一路とはかなり学年が開いていたし、一路自身が娘役を

必要としない程に中世的で綺麗なマスクの持ち主だったことに起因

しているからだと思います

トップ同士の絡みも少なく、どちらかといえば高嶺や和央と組むほうが

多かったかもしれません

ただ・・一路時代の最後を飾る「エリザベート」というミュージカルは

まさに天の配剤。花總まりにとっての天啓のような作品で、

一路真輝以上にこの作品で得をした事は間違いないのです。

 

そもそも花總まりという娘役は、かなり自閉的な性格を持っている人

だと思います。孤高の娘役とでも言いましょうか。

硬いつぼみのまま大きくなったような印象がありました。

容姿にはそれなりに恵まれ、スタイルもよかったし立ち居振る舞いも

上々、何をやってもそつなくこなす優等生ではありますが、

決定的にかけているもの・・・「色気」とか「可愛げ」というような

娘役の基本になるものがないんですね

一路とは学年差があったので、そこらへんの事は「しょうがないよね」で

済んでいた部分もあると思いますが、相手役が変わる程に

その心の奥に潜む孤独感が表に出て中々呼吸を

合わせられなかった気がします。

元々の気質がそうですから、彼女の「エリザベート」はまさに

「花總まり」そのもの

実在のエリザベートの持つ「非人間的なムード」と花總まりの持つ

「孤高」があいまって、一世一代の大出世作になりました

 

本当に初演の「エリザベート」の素晴らしさは、言葉に尽くせないもの

があります。

一路トートの張り付くような無表情と、花總エリザのどこまでいっても

孤独な影は、一般の女性達の心を大きく捉えました。

花總まりは一路との最後のコンビで一本立ちをしたわけです。

 

 次の相手役は高嶺ふぶきでした。

高嶺ふぶきはどんな男役か・・・と言われると、当時は大スター

一路真輝の二番煎じのように言われていた気がします。

(顔も綺麗だし、中性的でしたから)

何でも上手だけれど個性がないとも言われていたような気がします。

ところが、今になって考えると、高嶺はどんな色に染まることも出来る

非常に芸達者な男役だったといえるでしょう。

また、花總まりとの相性が最もよかった人といえると思います。

 

高嶺は花總に対しては「受け」専門でした

そもそもトップお披露目からして「虹のナターシャ」という花總まりが

主役みたいな作品(怒ったファンは多かった筈)

次のさよなら公演「仮面のロマネスク」にしても

バウ「晴れた日に永遠が見える」にしても、目立つのはとにかく花總まり。

花總の個性が炸裂した作品群です

後にも先にもここまでやりたい放題、のびのびと演技をしている

花總まりはありません

なぜそういう事が可能だったかといえば、一重に高嶺ふぶきが「受け」に

回ってくれて、花總を手のひらの上で自由に遊ばせてくれたからです。

 

普通なら男役トップは舞台のど真ん中で燦然と輝かなくてはいけません。

娘役トップはあくまで「相手役」であって、男役トップ以上に目立ちすぎたり

勝手な演技をしてはいけない筈なのです。

でも高嶺は、あえて花總の個性を抑えようとはしませんでした。

高嶺は他の作品を見てもそうですが、相手役にぽんぽん言わせて

突っ込むのが得意な人だったようで、相手役にとっては

非常にありがたい存在だったといえるでしょう。

あまりに短い高嶺時代の代表作「仮面のロマネスク」での花總まりは

1時間半で13着も着替えるという・・まさに宝塚ならではの着道楽を

やってのけ、(それも全部自前で新調)

これ以上ないというほど上品なメルトゥイユ夫人を演じました。

またバウ「晴れた日に永遠が見える」では、自分に自信がなくて

いつもおどおどしている子供っぽい女の子と、過去の貴族娘と

両方を見事に演じわけました

この二作品では、花總まりの独壇場だったと言えるでしょう。

 

もしここで退団していたら、間違いなく花總まりは

宝塚史上に残る名娘役」として、観客にもいい思い出だけを

残していたに違いありません・・・

また外部の東宝ミュージカルで「エリザベート」をやっていたかも

しれません。

しかし、花總まりは退団しませんでした。

どうやら彼女にとって、楽に息ができて自分らしさを発揮できる

場所は「宝塚」以外にはないと認識したから・・ではないかと思います。

・・・・続く。

コメント (2)
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