ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

宝塚コラム・・・彩吹真央の実力2

2006-09-30 11:14:27 | 宝塚コラム

 正直言って、雪組時代の彩吹は「濃い顔の男役」という

イメージしかありませんでした。

花に移動して新人公演の主役を務めるようになってからの公演は

ほとんど見ていないですし・・・

 

私が「あれ?」と思った最初の公演は「カクテル」での

ソロでしょうか

樹里や春野のような浪々と歌うタイプではないけれど、

心に染み入るような歌い方をする人なんだなーーと思ったんですね

それからちょっと伸び悩みというか、派手で豪快な下級生に囲まれて

地味で萎縮した印象があった彼女ですが

「天使の季節」「アプローズ宝塚」で見事に弾けたようです

一言でいうと、舞台に立つ「楽しみ」を覚えて、自分が路線なのかとか

トップを目指すという事は二の次になって、ひたすら与えられた仕事を

一生懸命こなす・・・という姿勢になったという事ですね

顔つきが楽になったというか・・・「一皮剥けたわねーー」という印象でした

 

それから「NNAKED CITY」での力強い演技、

さらに「マラケシュ」での的確な演技に

「この人、ずーーっと宝塚にいてほしいなあ」と

思うようになりました

最も感銘を受けたのは「落陽のパレルモ」でしょうか

本来の男役としての色気や包容力を十二分に発揮しながらも、

本当にこれ以上ないという程的確な演技を見せてくれました。

でも・・・トップになるには「的確」だけではいけないわけです・・・・

むしろ、「危うさ」や「派手さ」「自己アピール」がないといけないんですね。

 

そういう意味では、トップにはならなかったけど樹里咲穂の方が

ずっとずっとトップにふさわしかったと思います

(比べることはおこがましいんですけど・・

今思うと樹里をトップにしなかった劇団のおろかさに失望しますね)

 

 今回、花組版「ファントム」のキャリエールを見て、彩吹の持つ

「的確な演技」路線は一層際立ってきたなと思いました

けれど、ショーでは真飛より目立たなかったりするんだよねーっとも

思ってしまって

学年的にはまだまだ「いぶし銀」の心境に立つには早いと思います。

それだけに・・・ある意味なんでも出来る優等生でもある事だし

何とか大きな羽根を背負わせたいとも思うのですが

 

冬には雪組に組替えして、一期上の新しいトップ、水夏希を支える

立場になります

非常に有能で頼りになる2番手になると思います

今、非常に演技する事や舞台に立つことに気負いがなく、楽しそうに

余裕すら見せている彼女を非常に愛おしいと思いますが、

出来ればもう一化けして欲しい気も・・・・・・

 

小柄だけど「男役」としての色気や包容力は十分にありますし

歌唱力には定評もあると思います

実力派の彩吹が正当な扱いを受けて自己を全う出来るような・・

そんな男役生活を送らせてあげたいなと思います。

(単なるファンモード・・・・) 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝塚コラム・・・彩吹真央の実力1

2006-09-30 10:47:04 | 宝塚コラム

 現在東京宝塚劇場では、花組による「ファントム」が上演されて

います。(10月1日まで)

宙組版があまりにも印象的だったので、花組はどうかなと

ちょっと疑心暗鬼で観劇したんですが、これが中々どうしてハマりました

 

 一言でいうと、宙組は「親子物語」の性質が強かったですね。

とにかくエリック(和央ようか)、クリスティーヌ(花總まり)、

キャリエール(樹里咲穂)、シャンドン(安蘭けい)と、主役だけで演技

しているような個性のぶつかりあいだったので、本来のストーリーを

楽しむというよりはそれぞれの役者を見てる感覚の方が強かったです

 ところが花組版は、「主役・相手役・脇役」のけじめがしっかり

ついているので、見やすかったというかわかりやすかったですね

未成熟なエリックと幼いクリスティーヌの未熟な恋物語という性質が

強く出ていました

 

この物語が「親子物語」「恋物語」どちらの路線をとるかの分かれ目に

なるのが「キャリエール」というキャラクターです。

オペラ座の支配人でエリックの父親。

2幕目銀橋でのエリックとキャリエールの歌は

「ファントム」最大の目玉の一つです

宙組版、樹里キャリエールは元々の性格が「」で、しかも見た目が非常に

若く、2幕目になって「えっ?お父さんだったの?」みたいな驚きがありました。

エリックの生い立ちを語るシーンは樹里の独壇場。

その朗々と歌う声に誰もが引き込まれたはずです

エリックに対しても、本質的には「絶望感」のない父親でした

和央エリックの少年のようなはかなさを持った演技と、明るく前向きな

樹里キャリエールの銀橋場面は秀逸でした。

けれど、今DVDを見直すと、あの場面の観客の「涙」は父親に共感して

というわけでなく、どちらかと言えば、子供のようなエリックに対しての

「いじらしさ」の涙ではなかったかと思うのです

孤独を背負い、暗い生い立ちのエリックに対する最大の同情の「涙」

とでもいうんでしょうか

 

 対して花組の彩吹真央が演じたキャリエールというのは、

春野寿美礼よりも下級生というハンデを克服し、見事に老け切った

おろかな父親そのもの」でした

そもそも春野エリック自体が、現代的なキレやすい少年そのもので

意味なく自己完結したり、キャリエールに対して怒ったり怒鳴ったりと

気性が激しいんですね 

それに対するキャリエールはいつも諭しつつおろおろしているような

感じがあって、それもこれもちゃんと「父親」と名乗れない「負い目」が

あるんだな・・・と思わせるわけです。

ゆえに、2幕の銀橋場面は、感情表現が苦手なエリックよりも

可愛い息子を思うあまりのキャリエール」に泣かされるわけですね。

 

ラストシーン、シャンドンや警官に向かっていくエリックに対して

「この親不孝者っ」と怒りたくなった人もいるのではないでしょうか

(和央エリックの場合は「そんなに自分を苛めないでーー」だったと思う)

 

エリックが亡くなった後のキャリエールも、樹里の場合はそれでも

未来がありそうですけど、彩吹の場合は絶望そのもの。

二人のキャリエールの持つ「陰と陽」の違いが演技に出ていたという事ですね。

 

樹里も彩吹もそれぞれ素晴らしいキャリエールの造形だったと

思います。

今回花組版を見て思ったのは、彩吹真央という男役の著しい成長ぶり

でした

ここまで役柄に忠実に的確に演技する事が出来る・・そういうセンスを

持っているという事に大きな感動を覚えたのです。

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする