ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」36(フィクションです!)

2011-12-25 09:20:45 | 小説「天皇の母1話ー100話

陛下、そろそろおでましを

侍従が呼びに来た時、天皇は振り返って微笑んだ。

ナガミヤはやっぱり無理だったね」

側に皇后がいない寂しさをちょっと口に出してしまった。

骨折以来、皇后はどんどん歩けなくなり記憶もうすれて、今年の新年祝賀の儀

以来、表に顔を出さなくなった。

そして「在位60周年記念」式典にも。

60年・・・・そのうち20年は戦争をしていて、平和な時代が40年続いた。

この40年、天皇にとっては「復興」への道のりに他ならなかった。

大元帥陛下と持ち上げられようと、望んで戦争を始めたわけではない。

あの時は・・・・あの時なりの事情があった。

それを「戦争責任」と呼ぶのだと。

みな、一生懸命やった結果だった。しかしそれは敗北となり、日本は大きな

犠牲を払い、その後遺症は今も続いている。

戦場で空襲で死んでいった人たちは今もって自分を恨んでいるだろうか。

多分、恨んでいるだろう。詫びても詫びても気がすまぬ。

戦後40年。表面上は穏やかに過ごしてきたはずであったが、心の中はいつも

重かった。

ただただ死んだ人々への思いが高じて、ともすれば部屋に引きこもりたくなる程に。

しかし、天皇にはそれが許されない。

「私」がないから天皇だ。

この生き方を貫くしか、彼らへの鎮魂にはならないだろう。

 

一般参賀には多くの人たちが集まっていた。

自分の為にこんなにも多くの国民が祝福をしてくれる事に素直に感動した。

しかし、それでも気がはれない。

 

沖縄へ行きたいねえ」

夕食の席で思わずそう呟いてしまった。

すると皇太子が「はい」と答えた。

何とか行けないものかね」

はい。そういたしましょう

毎年繰り返される言葉。皇太子夫妻は沖縄でテロに合い、危なかった。

その時以来、天皇の沖縄訪問は白紙に戻ったまま・・・・

それほどにと思いつつもそれでも行かなくてはならないのだという思いもある。

戦後の総決算をしてやらなくては次代に譲れない。

そうそう、ヒロノミヤのお妃選びはどうなってるの?」

あまり暗い話題ではどうかと思い、今話題のヒロノミヤの結婚話をしてみる

事にした。

ヒロノミヤは留学から帰って学習院の修士課程を卒業した。

その後は青年皇族として公務に励んでいる。アヤノミヤも去年、成年式を迎えた。

背が高いアーヤの衣冠束帯姿は光源氏のようだった。

可愛いノリノミヤもすくすく育っているし。

実は・・・

皇太子が言葉を濁す。

どうしたの?何か悪い事でも?」

いや・・ヒロノミヤは好きな女性が出来たようなのです」

それはいいね。誰?どこのお嬢さん?」

それが・・・外務省の外交官の娘なのですが」

外交官の娘?」

はい。しかしその娘の母方がチッソの社長でして」

チッソ・・・・あの水俣病を引き起こした。

戦後最大の公害病と言われる水俣病。その会社社長の孫娘?

チッソは今も係争中ですし、その社長の暴言などがあり、評判もよくありません。

しかしヒロノミヤは」

結婚は、国民に祝福してもらうようなのがいいね。瑕があるとそれだけ本人も

苦しむことになるし。チッソはダメだね。外交官というのもどうか。政治にかかわりの

ある家から妃を迎える事はよくない」

天皇ははっきりとそういった。

でも何ゆえにヒロノミヤはそんな女性を好きになった?

どれ程の美女なのか?言われてあきらめる様なタイプだったろうか。

一度、話をしたいから参内させなさい

天皇はそういった。まだ先のこととはいうえ、ヒロノミヤは将来天皇になる身分だ。

自分の好き嫌いだけで結婚は出来ない。

そのことはきちんと話をしなくては。

ああ、それとアーヤには分類を手伝ってもらってるからね。アヤメの」

アヤメ?」

「うん。那須にヒオウギアヤメというのがあってね。それがいくつかに分かれて

いるんだけどなぜそうなったか・・・それを知りたいんだよ。アーヤは熱心に手伝って

くれるから助かるね。あれは植物より動物の方が好きなの?」

はい。学習院にはそういう科がありませんから法学部を選びましたが、いずれ

留学して動物学をおさめたいようです」

そう。それはいいね。では日本にいる間にせいぜい那須に呼ばなくてはね」

天皇はにっこり笑った。

孫達は順調に育っている。もう何も言うことはないのだが・・・・

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」35(フィクションよね)

2011-12-25 09:19:43 | 小説「天皇の母1話ー100話

イリエさん。皇后陛下が・・・女官長さんが困ってます

部下からの報告にイリエは重い腰を上げた。

皇后さん・・・ボケてしまわれたんやろか・・多分そうやろうなあ」

彼はぼんやりと考えた。

その原因を「腰椎骨折の時に外科手術をしなかったせい」と言われたのは知っている。

その責任を自分に追及されていることも。

外科手術させなかった張本人は自分なのだから。

(しかたないやないか。皇后さんは皇族や、神聖なお体なんや。なのにメスを入れる

なんてそんな事あってはならん。どうしてもダメや)

イリエの私室がノックされて、車椅子姿の皇后が入ってきた。

相変わらずふくよかで可愛らしい。不敬ながらも可愛らしさは昔と同じや。

こんなに可愛らしくあれるのは穢れがないから。童女のように清らかだから。

イリエ

皇后は自分の名前は覚えているみたいだった。

はい。陛下」

女官長が私の服装を注意するの。古い宮廷服は着ないでって。でも仕方ない。

今は非常時なんだもの。贅沢を言ってる時代じゃないわね」

「・・・・・・」

どうやら皇后の意識は戦時中へ飛んでいるようだ。

陛下、今は平和ですよ。戦後40年ですからね。40年も日本は戦争をせずに

頑張ってきたのです。それもこれもみなお上のご威光でございましょう」

そうね。きっと。そういえばお上はどこ?お上の所に連れて行ってね」

車椅子は静かに部屋を出て行った。

 

戦後40年・・・・・民主主義の下、「人間宣言」した天皇は40年も君臨出来たのだ。

戦争が終わった直後、天皇は「大元帥陛下」でも「現人神」でもない「人間」に

なった瞬間、皇室は終わったと思った。

11宮家が臣籍降下し、華族制度がなくなった時、今度こそもうだめかもと思った。

でも戦後の皇室は「戦後」という世相に合わせて努力して変わってきた。

その最大たる功績が民間から皇太子妃を迎えたことだろう。

あの時の皇后様達の反対っぷりと言ったら・・・・でも、あんな元気な頃が懐かしい。

民間出身の皇太子妃の評判は上々というかそれ以上。

ゆえに旧華族・皇族らからは憎まれ、結果的に皇太子夫妻と彼らとの絆を断ち切った

結果になった。

ミチコの悪口を言うあの人たちは一体何者だというんだろう。考えが古すぎる。

いずれミチコの方が位が上になるというのに」

皇太子はそう呟いた。新しい時代の申し子である皇太子は「開かれた皇室」の

実践には積極的で、また「国民と共に歩む」というスローガンを掲げ、次から次へと

公務を増やしており、またそれは非常に好評だ。

天皇はそんな皇太子に「東宮ちゃんがいるから大丈夫」と太鼓判を押した。

まあ、「大元帥陛下」だった天皇にはそこまでやるか?という思いも多分にある。

けれど、「今は時代が違うのだから」と口を挟まない。

天皇自身、「自分は古い人間だしね」とおっしゃる。

けれど・・・とイリエは思う。

皇室に古いも新しいもあるか」と。

古代より皇室は万世一系として脈々と受け継がれてきた。戦、内乱、不正、闘争が

あっても皇室は男系で繋がって着た。その歴史は2000年にもなる。

世界一の血筋と歴史を持つ皇室の長にいるのが陛下で、次世代は皇太子。

無論、時代によって皇室の役割も様々に変わってきた。

でも、ただ一つ「神聖」という意味では絶対に変わっていないと思う。

皇室は神道の総帥であり、神がやどる場所である。

本当に存在を脅かすような者が現れたら自浄作用が働き、排除されてきた。

かの、光明皇后・・・あれもまた藤原の娘として初めて皇后になりそれまでの慣例を

打ち破った。

いわば藤原氏と時の天皇の思惑が一致したのだ。

さらに、その血筋を天皇の座につけんと、阿部内親王を無理やり皇太子に立てて

二度も天皇の座につけた。

しかし・・・結果的に女系になる事はなかった。藤原4兄弟の野望は家柄といい血筋

といい聖武天皇よりずっとよかった長屋王の死によって濯がれた。

家康の孫が無理無理後水尾天皇に嫁いだ時もそうだった。

間に生まれた女一ノ宮は早々に皇位についただ結局はそれ1代に終わった。

皇室とはそういう場所なのだ。

 

しかし・・・そのことを皇太子はわかっているだろうか。

民間出身の皇后が産んだ男子の血が今後とも脈々と続いていくかどうか。

それは神のみぞ知るだ。

11宮家の中でも断絶した家は多い。けれど降下するときの

もし一朝事があった時にはいつでも皇籍に復帰できるように身を慎むこと」

という天皇の言葉を守り、今もって清い生活をして男系をつないでいる家もある。

それらをいっしょくたに「何者か」というのは、皇太子のあさはかな考えではない

だろうか。確かに皇太子には2人の男系男子がいる。

しかし、二人とも結婚し子供が出来る保証はどこにもない。

天皇の弟は3人いたけど、子供が生まれたのは末っ子のミカサノミヤケのみ。

ミカサノミヤケには男子が3人生まれたが、長男のトモヒトはガン。次男も病気がちで

しかもいまだに独身。三男のタカマドノミヤには3人の娘しかいない。

ヒタチノミヤは元々子種がない。

何よりも皇太子は自分がどのようにして生まれてきたかを自覚すべきだ。

要するに先細り。いずれ旧皇族に復帰を願って男系をつながなくてはならない時代が

やってくるのではないだろうか。

確率的には二人の兄と弟に男子が生まれる可能性は低い。

ゆえに・・・・と、イリエは思う。

やっぱり東宮さんはもう少し旧皇族・華族連合とは仲良くしなくてはならない。

皇室には藩屏が必要だ。これがなければ自浄作用は働かない。

もしかして知らず知らずのうちに禍々しいものが入り込んでしまったら・・・・・

 

何だか疲れた。

お上はわかっていらっしゃらない。皇室の危機だという事を。

今こそ、「皇統」に関してお上の考えを表に出すべきなのに。

重い足取りで帰路につく。宮内庁の庁舎を振り返り、宮内庁病院を振り返った。

何もかもむなしいなあ・・・・

二重橋。かつて華やかな馬車の音が鳴り響いた・・・・馬こそがふさわしい二重橋。

でも、馬は馬糞を出すから使わないらしい。

馬糞ごとき掃除をすればいいじゃないかと思うが、それすら困難な世の中。

一体戦後の繁栄とはなんだったのだ?

 

イリエは自宅へ帰り、眠りについた。永遠の。

 

 

 

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