ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」74(フィクション・・だな)

2012-09-24 07:53:11 | 小説「天皇の母」61話ー100話

大殿下のお戻りでございます

宮務官に知らされたユリ君は慌てて玄関に出た。

何やらただならぬ雰囲気が漂っていたからだ。

大殿下は先帝の末の弟で、学者肌な所がありなかなか頑固だった。

戦後すぐは生活の為に苦慮し、社会主義に傾倒したこともあった。

以来、先帝とは一定の距離を置いていたし、ましてその息子の今上とは

親戚とはいえ、形だけの付き合いになっている。

その大殿下が自ら望んで参内したのだ。これは大事である。

しかも単独での参内。

(私を巻き込みたくないとのお考えか)とユリ君は思った。

ユリ君だけではない。トモヒト親王ら3人の息子達にも言ってない。

お帰りあそばせ。いかがでしたか

いかがも何も」

ミカサノミヤは憮然とした態度で背広を脱ぎ捨てる。

全く、お上は何を考えているのか。これが今風の「開かれた皇室」なのか。

何もかも民間妃を娶ったからこういうことになるのだ。お上は皇后の言いなりだ」

お茶が運ばれてくる。

熱いっ。もう少しぬるくできんのか。それに茶じゃなくて酒!」

珍しく激高する大殿下に回りはおろおろしはじめる。

昼間からお酒を召し上がるのは体によくありません。お控え下さい。

回りのものも怯えておりますから、お静まり下さい。これ、殿下に紅茶を。

ブランデーを一滴たらしておくれ」

ユリ君のおっとりした喋りにミカサノミヤはやっと人心地ついた。

先帝の時代は終わったんだな。わしたちは時代遅れの人間なのか」

どういう意味ですか?」

お上には言うべき事をきちんと申し上げた。皇太子の結婚が我々親族に

何も知らせないままにマスコミを通じて決定してしまったこと。

どこの誰なのかさっぱりわからないし、こういう事はあらかじめ根回しをして

進めるべきではなかったかと。お上は侘びを入れてきたので、それならすぐに

結婚報道を取り消せと申し上げたら、もうオワダ家を呼んで話を決めたと

言うじゃないか。もうびっくりして驚いて腰が抜けるかと思った」

まあ・・・アキシノノミヤの時はそんな事はなかったのに。おかしいですわね」

アーヤは昔から親族を大事にする子であったし、あの宮妃も控えめなよい

娘だ。父親は学習院の教授だから皇室に関しても勝手を知っているのだろう。

しかし、オワダ家はどこの馬の骨ともしれない外交官一家だ。

何でそんな勝手な事をと詰め寄ると、渋々お上は答えられた。

オワダケに脅されたと」

脅された?まあ、随分とオーバーな言い草で」

だろう?一国の天皇にそのようなことがある筈はないのに。何でも参内させて

事情を聞き、とりあえず保留にしようとしたら、オワダ家が「娘を汚された」と

大騒ぎし始めたとか。やれ責任を取れとかマスコミに天皇の意向で保留に

なったと言えとか、そりゃあまあヤクザのような言い回しだったというのだ」

何て事でしょうか。民間の人間が天皇を脅す?」

全く甘くみられたものだ。先帝が生きておいでだったらこのような事態には

ならなかったに違いない。相手のそんな無茶な論理をお上は「なる程」と

思ってしまわれたのだ。しかも皇太子・・・」

東宮様が?」

皇太子がこれでいいではないかとお答えになったと

なんと」

ユリ君は皇太子の温和な表情を頭に描いてみた。元々空気が読めないと

いうか、回りに動かされがちになる要素はあったと思う。その一方で

妙に頑固だったりする。その融通性のなさが皇后そっくりと思う事も。

結果的に皇室の体面を考え、皇太子の意向を尊重し結婚を認めると。

「もはや本人の希望なしには成立出来ないのが今の結婚制度です」

とまでおっしゃったのだ。皇室に一般の民法を持ち込むなどありえない。

お上は二言目には「今の憲法では」「今の法律では」「今の世の中は」と

繰り返しおっしゃるが、皇室というのはそういうものとは一線を画しておかないと

いけない存在なのだ。それなのに・・・・」

運ばれてきた紅茶を一口すすってみる。温かい中にブランデーの香りがたち

漸く大殿下の怒りもおさまりつつあった。

本人の意思か。皇太子はどうでもチッソの孫と結婚したいらしい。3代前も

不肖でどこから来たのかわからない娘と。本人同士がそうしたいのだから

それでいいとお上は考えている。いや、皇后がそう考えているのだ。

わしは古いらしいぞ」

殿下・・・お上が結婚なさったあの時から、皇室の形が変わったのです。

あれだけの反対を押し切ってミチコ妃殿下を娶られた親王様ですもの。

今回の事くらいどうとも思っていないのでは」

だとするとますますわしらと剥離していくな。いや、お上は皇族方だけでは

ない。旧皇族やそれに連なる者達をも捨てた事になるのだ。だとしたら

我々も心していかなくては」

ミカサノミヤはゆったりと紅茶のカップをテーブルに置いた。

この結婚は皇室にとって毒にしかならない。断固反対する

はい」

ユリ君は静かに、しかしきっぱりと答えた。

コメント (3)
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