ふぶきの部屋

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眩耀の谷・RAY ライブビューイング

2020-09-21 07:00:00 | 宝塚コラム

 眩耀の谷 

我が家の姫ちゃんが大劇場で見た感想は「あまり面白くない」ということで、だったら別に見なくてもいいかなと思ったけど、ライブビューイングが当たったので、見に行くことにしました。

宝塚出身の謝珠栄先生の作・演出です。

 ストーリーはわかるが・・・

全体的にストーリーはわかるんですよ。

周の王朝にあって、国こそ正しいと思い込んでいる素直でおバカな青年が、汶族という少数民族に出会うことで、今まで心底信じていた世界に疑問を持つようになり、自分なりの正義感と血筋に目覚めて、部族を率いて新たな旅立ちをするという、成長物語であることは。

自国の領土を侵されれば戦って守るのが通常の考え方だけど、「戦を避ける、生きる場所を変える」ことで自分達の民族なり部族の未来を守ろうという考え方。

ただ、広い中国大陸でそんな考え方が通用するかどうか、現在、少数民族への弾圧などをみるにつけ、汶族はどこへ逃げても結果的に大国に滅ぼされる運命にあるのえはないか。彼らの考え方は甘すぎるんじゃないか?と思います。

目下「陳情令」にハマっている私としては、どんなに逃げたって追いかけられたら終わりよねーーみたいな。

中国ドラマの中でも、「何が正義で何が悪か」という疑問をぶつけるようなものは出来ています。

でも、謝先生が台湾の人とはいっても所詮は日本育ちの方ですので、そこらへんは考えが浅いし、こういうテーマを1時間半にまとめるのは無理。

さらに言うならお披露目にこんな暗い話を持ってきて、主役コンビ・二番手等あまり絡まない、まるで礼真琴と瀬央ゆりあの二人芝居のような感じでは全然宝塚歌劇ではないと思うのです。

だから、話に矛盾が出来ちゃうわけ。

「くがね」は「金」ですね(くがねっていうと琉球っぽくて)それの偽物である「愚者の金」ってそもそも何よ。偽物だろうとなんだろうとあえて「信仰の対象」にして民族のまとまりをはかるなんて・・ちょっとなあ。

また「薬草」とは?秘伝の薬草はどうなったの?

 

瞳花と菅武将軍の間には子供が生まれていますが、この二人は全くあいまみえる事もなく、通常は女性の貞操を奪われたらたとえ王族といえども生きてはいけない筈なんですけど・・・そこらへんの人間模様なし。

将軍があっけなくも子供を殺す、だったらなぜ5年も生かしたのか不思議でしょうがない。何で瞳花を盲目設定にしたのか、もう全然わかりません。

この公演が最後の華形さんも意味なくちょっと出ては終わっちゃって。

演出家として「礼真琴も愛月ひかるも華形ひかるもそれぞれ見せ場を上げなきゃ」みたいになってパニクってしまったような気がします。

 アクシデント&違和感

さて、アクシデントと言えば、眩耀の谷へ入る前のダンスで礼真琴のかつらがずれちゃったこと、さらにその後、舞台が切れちゃったこと。

思わず「またか・・・」と思ってしまった。

盆が回らない、音声が入らない、これまで東京宝塚劇場は何回こういう形でストップしてますか?オープンしてから何度もこういう事が起こってますよね。

何で?他の劇場ではありえません。

劇場として何か大きな欠陥があるんじゃないでしょうか?

自粛期間中、一体何をやってたの? 宝塚だから仕方ないとかいう言い訳はききません。通常より少ない出演者、生オケもない、でも料金は通常通り。ヅカファンは何も言わずに来ているのに、千秋楽の大事な場面でストップするとは何事なのか?

帝劇でもクリエでもそんな事ありませんよ。あったらニュースになってしまう。

当たり前のように何公演かに1度はこういう事が起きることが問題です。

また、舞空瞳の鬘が浮いて浮いて・・・はがれかかっていましたけど、そういうところを見せちゃうのって宝塚らしくありません。

 

違和感といえば、先に書いたように主演とわき役があまり絡まないので、礼真琴がひとりでヒーフー言ってるように見えること、舞空瞳はいつも泣きそうな顔して思い詰めた表情していることで、愛月ひかるの存在感が半端なく、これはもう専科というよりトップスターの領域で、誰がトップかわからなくなってしまった事に違和感を感じました。

綺城ひか理の投入で、星組生の番手が下がってしまった事も「今までと違う。星組っぽくない」と感じたことです。

 

 謝珠栄にとって宝塚歌劇とは

結局、謝先生は「MAHOROBA」の時もそうですが、根本的に宝塚歌劇を理解していないと思います。宝塚出身なのにね。

宝塚の芝居とはこういうものという確固たる信念がなくて、ショーっぽいような芝居っぽいような浅くておざなりなストーリー展開に終始してしまう。

今思えば柴田先生と相性がよくなかった原因がわかります。

宝塚の永遠のテーマである「愛」というものが描けない作家に宝塚歌劇は作れないのですよ。

お披露目だっていうのに、主役コンビがラストのラストで「汶」の皇帝夫妻になっていたーーいつ、どこから愛が?と思いますよね。少なくとも芝居の間、瞳花は「息子の母」という立場を壊してしません。女性として礼真に惹かれているシーンもなかったしね。

昔の谷作品を見るような感じでした。

 

 

 Ray 

 歌って踊ればそれでOK?

中村一徳先生のショーですが、「紫」をモチーフに衣装を作るのは地味です。 

衣装担当の加藤真美さん、今一つですよね。

もうちょっとデザイン的に垢ぬけた感じを出せないでしょうか?

結果的に世界巡りで歌って踊ってそれでOKみたいなショーで、手抜きもいいところだなと。

それだけ作家の中に「礼真琴&舞空瞳」コンビのイメージがつかないのではないかと。

振付もスピード感があって現代的と言ってしまえばそうだけど、色気に欠けるというか。何が言いたかったんだろう。

「Ray」というテーマを与えられて苦肉の策で作ってみました適な印象です。

 

 ちょっと・・・!組長!ほ・・放送事故もんだよ!

それでも大劇場と違って銀橋を使って貰っただけでもありがたいと思うべきかな。

いやいやそれよりも、組長!

「令和」でバストアップになった瞬間、見えちゃったの・・「〇首」が。

宝塚では絶対にありえないだろうーーーーー

思わず、他の娘役達の胸を見ちゃったよーー組長。やばいって。

 

 ねじれにねじれきった星組

全体的にバランスが崩れた印象の星組です。

優等生コンビの礼真琴と舞空瞳。2番手は背丈も貫禄も十分の愛月ひかる。その下に礼の同期の瀬央ゆりあ。綺城ひか理まで入ってしまい、え?天華えまと極美慎がまだここ?的な位置づけ。

昨今、2番手が上級生というのは珍しくないのですが、大抵はトップをたてるというか、トップにないものを表現するというか?なんですけど、愛月の場合、立ってるだけでもうトップスターですし、演技にしても表現力にしても大人で重厚さがあって見ごたえがあるんです。

それに比べると、礼真琴はまだ2番手に見えちゃう。

いやいや、礼真琴には華があり、歌もダンスも演技も満点!という方もいるでしょう。

しかし、宝塚はそれだけではダメなんです。

2番手時代、スパイスとしては極めつけに効果的だった礼真琴ですが、全面的に最初から最後までいると、一本調子。

苦手なことがないということがもはや欠点。

それは舞空も同じです。

子供なのか大人なのかわからない。

華優希みたいに「私、まだまだダメなんです。だから柚香さんについていきます」てきなかわいらしさがあればいいけど、彼女は「星組に来てあげた」感がすごいのね。しかも優等生で歌っても踊っても完璧だから、これ以上向上するかどうかわからない。

むしろ愛月とのコンビの方が可愛くみえる。

こういうねじれ現象は組にとって決してよい事ではない筈です。

まあまあ、まだお披露目したばかりだし、コロナで色々あったしと思うでしょうが、その間に愛月は立派に0番に立ってしまったってわけですよ。

瀬央ゆりやは、役柄にも恵まれ存在感を発揮し、以前のようなおどおど感はなくなったけど、それでも私には彼女が将来のトップとは思えないのです。

この人もまた役柄の範囲が狭く、作家が苦労するタイプなんです。

綺城ひか理もしかりです。

では、一体今回もっとも成長したのは?というと天華えまです。

もはや、「優しいだけの男役」ではなくなって、そこに立つだけでムードを醸し出すことが出来るようになりました。

ちょっとハスキーボイスで大人っぽくて影がある役でも、明るい役でも何でも出来る。そこに弟分の極美慎が入ると、この二人で芝居が観たいと思わせるものがありますね。

極美慎は元々センターに立つように出来てる存在ですが、支えてくれる人として天華えまは必須条件でしょう。

しかし、現在この二人は頭を抑えつけられているような状態で、歌劇団が早くこの二人の存在意義に気づいて善処してくれればいいなと思います。

 

娘役は音波みのりが絶対的な存在感と美しさで舞空瞳を引き離しています。有沙瞳もキャラがしっかりしてきました。お姉さんたち2人に守られるのか、突き放されるのかわかりませんけどね。

舞空瞳がいつまでも偉そうな顔をしてると星組は壊滅的になりそうな気が。

 

天寿光希と音波みのりのコンビは真ん中にいても見劣りせず、とってもよかったです。天寿が髪型をコロコロ変えるのでそれを見ているのも面白かったです。

 

最後に万理柚美さま、星組組長を長い間お務めになり、お疲れ様でした。

あなたがまだ踊り子でいらした頃から見ている私も感慨深いものがあります。

「ダル・レークの恋」で足に鈴つけて素晴らしく軽やかに踊っていらっしゃいましたね。綺麗な娘役でした。今も素敵なお母さま役が似合う方です。

よその組で見ることもあるでしょう。その日を楽しみにしています。

 

コメント (5)
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