水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

☆時代劇シナリオ・影車・第十回☆贋小判(1)

2009年02月01日 00時00分00秒 | #小説

      影車      水本爽涼          
     第十回 贋小判 (1)

   あらすじ
 春、未だ遠い極寒の中、物価高に喘ぐ町人達。それは、急に出回り始
 めた大量の贋小判によるものであった。徒目付(かちめつけ)組頭・山根
 頼母(たのも)は、その贋小判探索を命じられていたが、その立場を利
 用して両替商・和田屋甚兵衛と結託。その甘い汁を吸っていた。和田屋
 は瀬崎の音松一家を利用して小判を改鋳。贋小判を密かに世に流し、
 莫大な利益を欲しいままにする。お蔦の探りで、ワル達の所業を知っ
 た仙二郎は怒り…。今回は、小判の真贋で騒ぐ町衆を尻目に、悪事の
 数々を事も無げに行うワル達を手筈し、一掃する影車の活躍を描く

 今シリーズ最終回である。

    登場人物

     板谷仙二郎 41 ・ ・ ・ ・ 御家人(北町奉行所 定町廻り同心)
      留蔵 32 ・ ・ ・ ・ 鋳掛け屋(元 浪人)
      又吉 31 ・ ・ ・ ・ 流し蕎麦屋(元 浪人)
      伝助 18 ・ ・ ・ ・ 飛脚屋(町人)
      お蔦 30 ・ ・ ・ ・ 瞽女(元 くの一 抜け忍)
      (※ 以下 略)

1. 仙二郎の住まい(同心長屋・部屋内)・雪の朝
    タイトルバック
    仙二郎が目覚める。布団から抜け出し外の明るさに薄目を開け
    る。いつもの明るさではなく、雪明りにより早暁にもかかわら
    ず随分と明るい。仙二郎、起きると障子を開け廊下へ出る。そし
    て板戸を少し開け、外の様子を窺い、
   仙二郎「雪か…。偉(えれ)ぇ、積もりやがったなぁ…。ふぅ~、寒いや」
    と、ぼやく。板戸を閉め、障子戸より部屋へと戻り、布団へ潜り込む。
    そして、
   仙二郎「ああ…休みてぇ…」
    と、情けなそうな声を上げる。
2. 仙二郎の住まい(同心長屋・外)・雪の朝
    深々と粉雪が舞い降りている。雪明りに浮かぶ長屋の全景を、
    カメラ、少しずつ俯瞰して撮る。 
   N   「晴らせぬ怨み、晴らします。今日は東へ、明日は西。北も
        南もワル次第。表じゃ消えぬ世の悪を、裏に回って晒しま
        す…」
    タイトル「影 車」、テーマ音楽など。
       


               流れ唄 影車(挿入歌)

           水本爽涼 作詞  麻生新 作編曲   

            なんにも 知らない 初(うぶ)な星…
             健気に 生きてる 幼(おさな)星…
              汚れ騙され 死ねずに生きる
                悲しい女の 流れ唄


              酒場で 出逢った 恋の星…
             捨てられ はぐれて 夜の星…
              いつか倖せ 信じてすがる
                寂しい女の 流れ唄


             あしたは 晴れるか 夢の星…
            それとも しょぼ降る なみだ星…
              辛い宿命を 嘆いて越える
                儚い女の 流れ唄


※ レイアウトの関係で絵コンテは掲載しておりません。

※ S.E=サウンド・イフェクト、C.I=カット・イン、C.O=カット・オフ、N=ナレ-ション、オケ=オ-ケストラ


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