水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

☆時代劇シナリオ・影車・第十回☆贋小判(12)

2009年02月12日 00時00分00秒 | #小説
      影車      水本爽涼          
     第十回 贋小判 (12)

32. 人里離れた山道・昼[テーマ曲のオケ1 イン]
     所々に雪が残る、昼なお暗き山道を、篭二台が坑道へと急ぐ。各々
     の篭には、音松の子分頭、二人が乗っている。暫く事も無げに篭か
     き四人が、「エッホ、エッホ!」と走っていると、俄かに頭上の木立
     が揺れ、中から、お蔦が舞い下りる。お蔦、有無を云わさず、居合い
     刀を抜き、篭を突き刺すS.E。篭かき二人、慌てふためいて篭を下
     ろして絶叫。もと来た道を逃げ去る。もう一台の篭かき二人も、同
     様に篭を下ろし、逃げ去る。お蔦が居合い刀を篭から抜くと、子分
     Aが篭から崩れ落ち、外へ倒れて絶命。もう一台の篭からバタつ
     いて降りた子分B、
    子分B「貴様ー! 何者(なにもん)でぇ!!」
     と、刀を抜き、お蔦に斬りかかる。お蔦、ふわりと上へ舞い跳ぶと、子
     分Bの頚動脈(首)を下りざまに居合い斬る。子分Bの首筋から吹き
     散る血しぶき。子分B、激しくもがいて崩れ落ちる。お蔦、ニヤリと笑
     い、瞬時に跳び去る。木陰に隠れていた伝助、別場所に置いた荷車
     に二人を乗せると、顰(しか)めっ面(つら)をして、お蔦の消えた方向
     を一瞬、見た後、荷車で走り出す。S.E=豚や牛の肉塊をナイフ等
     で切り裂く音(ブシュ、ブシュー)。
     [テーマ曲のオケ1 オフ]
33. 瀬崎の音松一家(内)広間・夜
     多くの子分を従え、酒を酌み交わす音松。かなり酩酊している。
    音松  「ウィッ!…、二人は帰(けえ)ったか?」
    子分C「へえ…。どこか寄り道をなすってるんでしょう」
    音松  「そうか…。まあ、いい。明日にするか…。今日は、もう寝る」
     と、ふらつきながら席を立ち、部屋を出る音松。
    子分達「御苦労さんでした!」
     音松の後ろ姿に声をかける子分一同。従って立とうとする子分を、
     「いいっ!」と、止めて去る音松。
34. 瀬崎の音松一家(内)小部屋・夜
     音松が刀を刀掛けに置き、布団へ入ろうとした、その時、
     [テーマ曲のオケ2 イン]
     音松の真上の天井板が音も啼くスゥーっと開き、両腕と鉄製の大
     丼鉢、音松めがけて垂直に落下。(鐘の音S.E)スッポリ被った大丼
     鉢。呻く音松。S.E=鐘楼で撞く鐘の音(グォ~~ン)。音松、頭に鉢
     を被った状態で暫し氷結するが、その後、ゆったりと、前のめりに
     崩れ落ちる。
     [テーマ曲のオケ2 オフ]
  


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