水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

驚くユーモア短編集 (63)枯れた人

2024年01月24日 00時00分00秒 | #小説

 生きていると、どうしても欲が出てしまう。だが、枯れた人になれば、少々のことでは動じない。動じなければ当然、驚くこともなく、風に柳と受け流すことになる。では、枯れた人が驚くことはないのか? と問えば、神様や仏様ではない人である以上、そんなことはない。今日は、そんな枯れた人のお話です。
 とある古刹(こさつ)の大僧正、朴念は九十八の老齢ながら、今日も勤行を続けていた。
「#$%~~~%$#%~~!”#”#$%%&##”$%…」
 お付きの僧正、懸想は大僧正の健康を絶えず案じて心が休まることがなかった。というのも、いつお倒れになるか…という心配が付き纏(まと)っていたからである。そのとき突然、一匹のアマガエルがどこから現れたのか、朴念の頭の上に飛び乗った。だがその次の瞬間、朴念の頭髪のない頭に滑(すべ)り、ポトン! と木魚の上に落ちた。枯れた人・・と寺内の僧侶達の間で名を馳せていた朴念だったが、思わず驚くと気を失ってしまった。
 このように、徳を積んだ枯れた人でも驚くことはあるのです。^^

                   完


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