水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

驚くユーモア短編集 (65)川

2024年01月26日 00時00分00秒 | #小説

 あれだけ穏やかに流れていた川が濁流となり堤防を決壊させる豹変ぶりには、ただただ驚くだけだ。
 とある有名な川である。天気がいいこともあって、多くの釣り人が川が流れる中、浅瀬で釣りをやっている。獲物はアユだ。釣り人ならよくご存じの友釣り・・というやつである。
「今日の釣果(ちょうか)はこれだけです…」
 一人の釣り人が、釣り上げた魚籠(びく)の中のアユを自慢げに見せる。本人にしてみれば、『多いだろっ!?』くらいの気分だ。
「なんだ、少ないですね。私はこれだけです…」
 魚籠を見せられた釣り人が自慢するでなく魚籠の中を見せる。自慢して見せた釣り人の倍の釣果のアユが見える。最初に自慢して見せた釣り人は負けを認めたくないものだから話題を変える。
「今日の川は、いい流れですな…」
「えっ!? はあ、まあ…」
 突然の話題転換に驚かされ、最初に魚籠の中を見せられた釣り人は、上手く釣り上げられた。
 川はいろいろな意味で、驚く結果を与えるようです。^^

                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする