家康は小さな時から他人の家の飯を食ってきたから、人の心の動きをつぶさに見続けてきた。
かれの人生観は、その底においてかなり冷ややかである。だからこそ、かれは慎重と果敢の絶妙なバランスを保つことができたのだ。
そして、そのバランスを保つ柱や台になったのが、「忍耐心」である。しかしかれの忍耐心は単なる、「我慢」ではない。はっきりいえばその忍耐心を支えていたのは、「世論」だった。
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