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いのちの結び――現代科学と日本文明①

2019年09月06日 | 日本
今日は伊勢雅臣著書「世界が称賛する『日本人が知らない日本』」より転載します。

キリスト教と現代科学はともに西洋で発展しましたが、相互には相性が悪いようです。アメリカには今でも進化論を認めないキリスト教一派もいます。興味深いことに、神道に代表される日本人の自然観、生命観の「根っこは、驚くほど現代科学と相性が良いのです。近年のノーベル賞受賞者輩出にも見られるように、我が国が近代科学技術で重要な国際的貢献をなしてきたのは、これが原因でしょう。

(日本料理と中華料理)
バンコクを旅行していた時である。たまたまミャンマーからの旅行者と一緒になり、いろいろ話をしているうちに、ひょいと「日本は中国文明の一部なんだろう」などというセリフが出た。悪気のある言葉ではなかったが、私はいたく機嫌を損ねて、「ノー、ノー」と激しく首を振った。

しかしいざ反論しようとすると何と言ってよいか分からなかった。確かに、日本人と中国人は外見では見分けがつかないし、「日本ではチャイニーズ・キャラクター(漢字)を使っているじゃないか」と言われたら、言い訳もややこしい。

文明論の専門家でもない限り、「日本は中国人から別れた一民族」などという認識を持たれていても、仕方ないだろう。

しかし、最近、一般人でもすぐに分かる言い方を見つけた。
まずは「ハンチントンの『文明の衝突』でも述べられているように、日本文明は中国文明とは異なる独立した文明である、という見方が文明論者の間の『定説』です」と、虎の威(い)を借りて先制パンチを繰り出す。その後で、こんな具体例を話す。

「あなたは日本料理、たとえば寿司を知っているでしょう(寿司ぐらいならこの頃は欧米では一般人も食べるし、アジアでも外国旅行をするほどの富裕階級なら知っている)。魚やエビ、タコなどの海の幸の様々な素材を生のまま、それぞれの独特の味を楽しみます。しかし、中華料理は何でも熱を通して原形をとどめないほどに加工してしまいます。

この点では中華料理は西洋料理に近いのです。
また寿司は、それぞれの素材の色や形も生かして、見た目にも美しく飾ります。自然の様々な恵みを、それぞれの味や美しさを最大限に生かして楽しむ。言わば、素材の多様な個性をそのまま生かしながら、それらが総合的なハーモニーを生み出す。これが日本文明の特徴です。

日本料理と中華料理を食べ比べてみれば、両者が本質的に異なる文明であることが体験的に理解できるでしょう」と説明してはどうでしょうか。

---owari---
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