本日は、ピンチヒッター君、初登場の巻で~す!
僕は自分の顔を見るためにベッドから起きた。化け物の顔になった夢を見てしまったのだ。あれは夢だとは思えども、鏡を見ずにはいられなかった。
自室と洗面台とは3メートルもないのだが、体が凝り固まっていたかのように動かなかった。それでも必死に動いた。
いつの間にやら鏡の前にいた。洗面台の蛇口をみつめているのだ。
はじめ、これは夢ではないかと疑った。でもそれはちがう。はっきりと、まったくはっきりと、からだの感覚があった。
蛇口から鏡を見ようと顔をあげようとした。しかし首がうまく動かない。以前電気マッサージ器で首に最大電力をかけたが、そのときも首は動かなかった。今回のこれは以前のそれに似ていた。
まぶたは閉じて開かなかった。強烈な重力がかかっているような抵抗があって、必死に開けようとしてもほんのすこししか開かない。はたから見たら、薄目のへんな少年だっただろう。
ここで目が覚めた。これは夢だったのだ。
顔がどうなっていたのか。なぜ鏡が見れなかったのか。そんなことは自分でもわからない。ただ、目が覚めてもはっきりとわかることがあった。
夢にも、感覚は存在するのだ。起きて体を確かめるたびに、一層そう思う。