◎◎ 直木賞候補 加藤シゲアキさん アイドルと作家 掛け持つ理由は
最もすぐれたエンターテインメント小説に贈られる直木賞。今期は6つの作品が候補に選ばれ、今月20日に選考が行われます。候補作の1つが、アイドルグループ「NEWS」のメンバー、加藤シゲアキさんの作品です。選考を前に加藤さんがインタビューに応じ、作品に込めたメッセージと、“二足のわらじ”の活動について思いを語りました。
アイドルのかたわら9年前に作家デビュー
加藤シゲアキさん(33)は、ジャニーズ事務所の人気アイドルグループ「NEWS」のメンバーとして活躍するかたわら、平成24年に長編小説で作家デビューしました。
ミステリーやサスペンス、エッセーなど、作品の幅を広げながら、今回、6作目となる小説で直木賞の候補に選ばれました。
NHKのインタビューに応じた加藤さんは、候補となった心境について、「いつかは直木賞を取るという気持ちで作品に臨まなければだめだとは思っていましたが、この作品で候補になるとは思っていませんでした。びっくりした思いがずっと続いている感じです」と話しました。
ミステリーやサスペンス、エッセーなど、作品の幅を広げながら、今回、6作目となる小説で直木賞の候補に選ばれました。
NHKのインタビューに応じた加藤さんは、候補となった心境について、「いつかは直木賞を取るという気持ちで作品に臨まなければだめだとは思っていましたが、この作品で候補になるとは思っていませんでした。びっくりした思いがずっと続いている感じです」と話しました。
執筆の背景にみずからの「コンプレックス」
小説を書き始めた背景には、華やかな芸能界の中で抱えていたコンプレックスがあったと打ち明けた加藤さん。
「自分が“何者でもない”という思いがあって、自信がなくて、グループに対しても何かを還元できていないのではと、すごくコンプレックスだったんです。文章を書くことは好きだったし、褒めてもらえる機会もあったので、チャレンジしてやれるだけやってみようと思ったことがきっかけでした。今できなかったら僕はここまでなんだという思いで書いていました」と心境を語りました。
一方、作家デビューしてからも、常に“アイドル作家”として見られてしまうことには「悔しい思いもあった」として、「注目もしてもらえたので一長一短だと思いますが、その分、バイアスで読んでもらえないということもあるので、今回、直木賞の候補になってそのバイアスがいくらかでも薄れたのであれば、本当にうれしいです」と話していました。
「自分が“何者でもない”という思いがあって、自信がなくて、グループに対しても何かを還元できていないのではと、すごくコンプレックスだったんです。文章を書くことは好きだったし、褒めてもらえる機会もあったので、チャレンジしてやれるだけやってみようと思ったことがきっかけでした。今できなかったら僕はここまでなんだという思いで書いていました」と心境を語りました。
一方、作家デビューしてからも、常に“アイドル作家”として見られてしまうことには「悔しい思いもあった」として、「注目もしてもらえたので一長一短だと思いますが、その分、バイアスで読んでもらえないということもあるので、今回、直木賞の候補になってそのバイアスがいくらかでも薄れたのであれば、本当にうれしいです」と話していました。
候補作のテーマは「高校生とSNS社会」
今回の候補作『オルタネート』は、高校生たちを主人公にした青春群像劇です。
物語に登場するのが、「オルタネート」と呼ばれる高校生限定の人気マッチングアプリ。
趣味や遺伝子情報などを元に、AIが相性のいい友人や恋人を見つけてくれるという設定です。
アプリを信奉して運命の出会いを求める生徒や、過去の“炎上”のトラウマからアプリとは距離を取ろうとする生徒など、それぞれの価値観でSNS社会に接する若者たちが、悩み傷つきながら、葛藤を乗り越えていく姿が描かれます。
「高校生とSNS社会」をテーマの1つにしたことについて、加藤さんは「僕自身は高校生からメディアに出ているので、SNSに限らずいろんなところで好き勝手に言われているんだろうと自覚しています。傷つくこともありますし、身近に傷ついた人を見てきてもいます。昔は有名税と言われましたが、今はそれが一般の人にも起きうるということは、怖いところだと思います。ただ、SNSを小説で描くというと、そうした“闇”の部分を書きたくなってしまうとも思うんですが、あくまでもそれはツールでしかなくて、それを通してつながる人と人を描こうと思いました」と説明しました。
物語に登場するのが、「オルタネート」と呼ばれる高校生限定の人気マッチングアプリ。
趣味や遺伝子情報などを元に、AIが相性のいい友人や恋人を見つけてくれるという設定です。
アプリを信奉して運命の出会いを求める生徒や、過去の“炎上”のトラウマからアプリとは距離を取ろうとする生徒など、それぞれの価値観でSNS社会に接する若者たちが、悩み傷つきながら、葛藤を乗り越えていく姿が描かれます。
「高校生とSNS社会」をテーマの1つにしたことについて、加藤さんは「僕自身は高校生からメディアに出ているので、SNSに限らずいろんなところで好き勝手に言われているんだろうと自覚しています。傷つくこともありますし、身近に傷ついた人を見てきてもいます。昔は有名税と言われましたが、今はそれが一般の人にも起きうるということは、怖いところだと思います。ただ、SNSを小説で描くというと、そうした“闇”の部分を書きたくなってしまうとも思うんですが、あくまでもそれはツールでしかなくて、それを通してつながる人と人を描こうと思いました」と説明しました。
自分自身の内面を見つめ 成長していく主人公
作品では、主人公の高校生たちが、SNS社会に翻弄されながらも次第に自分自身の内面を見つめることの大切さに気づき、成長していきます。
加藤さんは、登場人物たちの姿は自身の10代の経験に重なる部分もあるとして、「自分の高校生活もおのずと振り返るんですが、今思えば小さな悩みでも、その時は頭の中のすべてを支配するほどの悩みだったりするんですよね。すごくうまくいかないときに、若いころはそれを環境のせいにしていたんです。何で自分はあんなふうになれないのかとか、何で僕をそう扱ってくれないのかとか。でも結局は、自分は自分でしかいられなくて、配られたカードの中で挑戦するしかないと思うんですね。大事なのはそこで、自分を見つめられるかどうかしかないんだろうと思います」と語りました。
加藤さんは、登場人物たちの姿は自身の10代の経験に重なる部分もあるとして、「自分の高校生活もおのずと振り返るんですが、今思えば小さな悩みでも、その時は頭の中のすべてを支配するほどの悩みだったりするんですよね。すごくうまくいかないときに、若いころはそれを環境のせいにしていたんです。何で自分はあんなふうになれないのかとか、何で僕をそう扱ってくれないのかとか。でも結局は、自分は自分でしかいられなくて、配られたカードの中で挑戦するしかないと思うんですね。大事なのはそこで、自分を見つめられるかどうかしかないんだろうと思います」と語りました。
「意地と感謝と書きたくて止まらない熱」で、休みの日を使って書き続けてきたという加藤さん。
最後に、今月20日の選考会が近づく中での心境を聞くと、「精神的にも落ち着かなくなると思いますけど、そういうときに、いつも書いてきたんですよ。だから今がまた書きごろかなと思いますね。現実逃避で次の作品のことを考えるほうが、健康的かなと思っています」と話していました。
最後に、今月20日の選考会が近づく中での心境を聞くと、「精神的にも落ち着かなくなると思いますけど、そういうときに、いつも書いてきたんですよ。だから今がまた書きごろかなと思いますね。現実逃避で次の作品のことを考えるほうが、健康的かなと思っています」と話していました。