(投資の世界で人工知能(AI)を駆使)
12月27日、2019年には投資の世界で人工知能(AI)を駆使した手法がかなり大きな役割を果たすことは、論理的にも裏打ちされている。2016年撮影(2018年 ロイター/Kacper Pempel)
① ""コラム:AIが支配する新時代の投資最前線""
2019年1月1日 / 13:07 / 13時間前更新
Tom Buerkle
[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
株式や債券のアクティブ運用を手掛ける人々は何年もの間、S&P総合500種をはじめとする指数や低ボラティリティなど、一定の事象に単純に追随する手数料の安いファンドにずっと押されっぱなしだ。
そして今、ロボットという新たな脅威まで登場した。来年は投資の世界で人工知能(AI)を駆使した手法がかなり大きな役割を果たすことは、論理的にも裏打ちされている。
🌸 投資には数十年にわたって新技術が注ぎ込まれてきた。
ジェームズ・サイモンズ氏のルネッサンス・テクノロジーズやD・E・ショー、トゥ・シグナといったクオンツ系ヘッジファンドが先導している。彼らは多数の数学者や物理学者を採用し、高性能コンピューターと高速データ回線を導入することで、個別株の中にある特異性をうまく活用したり、市場の流れに乗っかって、安定したリターンを提供する。
さらに彼らや新規参入組は、自動運転技術などに用いられる機械学習を他のデータソースと組み合わせることで、状況をもう1段階進化させた。こうしたデータソースには、衛星画像や企業決算発表時の電話会議の自然言語処理などが含まれる。狙いは、すぐに消えてしまう日々の裁定チャンスを超え、より長く持続可能なもうかる取引にたどり着くことにある。
ブラックロック(BLK.N)は昨年、株式のアクティブ運用を行っていた何人かのポートフォリオマネジャーをレイオフし、AIを投資決定に役立てる意向を表明し、この戦略の妥当性にお墨付きを与えた。
ヘッジファンドのAQRは最近になって、機械学習分野の取り組みのかじ取り役として、データ分析研究者として名高いマルコス・ロペス・デ・プラド氏を採用した。フィデリティ・インベストメンツはいつの間にか、データ分析を専門とする140人近くのチームを立ち上げている。
AIへの移行は簡単でも確実でもなく、コンピューターがポートフォリオマネジャーの仕事を完全に代替するとは誰も予想していない。ブラックロックのシステマティック・アクティブ・エクイティ部門責任者ジェフ・シェン氏は、同社が追跡している200を超えるデータソースが生み出すノイズから、市場が発するシグナルを見分けるのは難しいと認めている。
ロペス・デ・プラド氏は著書で、多くの金融機関が情報分析担当者を協力させたり、アルゴリズムの間違ったパターンを見つけ出させようとせず、無理やりお互いに競わせるという誤りを犯したと述べた。
もっとも人間たちは、有望な株式を適切に選択できる力があると証明するのに四苦八苦している。
モーニングスターのデータで10月までの1年でアクティブ運用型米株式ファンドから1600億ドルが流出し、インデックス追随型の上場投資信託(ETF)に1700億ドルが流れ込んだ一因もそこにある。
まさにAI投資が支配的な地歩を占める状況を歓迎する時代がやってきたのだ。