自分の中型・独和辞典では、aufhebenの意味として、次の五つが
記されています。
① 拾い上げる
② 保管する
③ 無効にする、破棄する、廃止する
④ 相殺する
⑤ (哲学で)止揚する
このように語義として、五番目になっていますが、⑤(哲学で)止揚するは、
非常に重要な意味を持っています。
なお、"昇華する"と訳していますが、次のように「芸術」との関係を述べる
場合は、この訳の方が遥かに実体に迫っていると思います。
では、具体的にaufhebenは、⑤の意味合いでは、どのように使われるかと
言えば、「人間の欲望、渇望などを芸術に高める="昇華する"」ということです。
更に具体的に言うならば、
① ピカソの「ゲルニカ」は、彼の怒りと悲哀の情を、芸術に昇華したものと
いう事になります。
② シベリア抑留者の香月 泰男(かづき やすお)は、その時の苦難の人生を
彼の「シベリア・シリーズ」で芸術にまで高めた=="昇華した"ことになります。
今は五番目になっていますが、その重要性と深い意味があることが判ると思います。