◎◎ 第2次補正予算は過去最大31.9兆円、公債依存度は過去最高56%に
占部絵美、竹生悠子
2020年5月27日 11:18 JST
更新日時
2020年5月27日 19:14 JST
資金繰り支援11.6兆円、医療提供体制強化3兆円、予備費10兆円
1次と2次合わせ200兆円超でGDPの4割に上る規模-安倍首相
□□⇨ 政府は27日夕、新型コロナウイルス感染拡大を受けた2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は31.9兆円と、1次補正(25.7兆円)を上回り、過去最大を更新。財源は全て国債の追加発行で賄い、2次補正後の公債依存度は56.3%とリーマンショック後の2009年度の水準を上回り過去最高となる。
○○ 第2次補正予算案には、企業の資金繰り支援11.6兆円や医療提供体制の強化約3兆円に加え、家賃支援給付金約2兆円、持続化給付金の強化1.9兆円などが盛り込まれた。また、地方の裁量で使える地方創生臨時交付金2兆円、新型コロナの第2波以降への対応として予備費10兆円を積み増す。
¤¤¤ 一般歳出を中心とした国費に、財政投融資39.3兆円を加えた財政支出は72.7兆円程度。さらに民間投融資を合わせた事業規模は117.1兆円程度に上る。事業規模は、緊急経済対策から第1次補正までの対策を足し合わせた額に匹敵する。
◐◐ 麻生太郎財務相は27日の閣議後記者会見で、リーマン時を超えて悪化した公債依存度について、納税猶予による税収見積もりの減少が見込まれ、「さらに悪くなることを覚悟しなければならない」と指摘。極めて厳しい財政状況と認めた上で、追加対策を「やらなければ結果としてもっと経済が落ち込みかねず、覚悟を決めて財政出動にかじを切った」と述べた。
緊急経済対策
~第1次補正
第2次補正 合計
事業規模(民間含む) 117.1兆円 117.1兆円 約234兆円
財政支出(財投含む) 48.4兆円 72.7兆円 約121兆円
一般歳出(国債発行) 25.7兆円(同) 31.9兆円(同) 約57.6兆円
安倍晋三首相は25日の記者会見で、補正予算の事業規模は1次と2次を合わせて200兆円を超えるとした上で、「GDP(国内総生産)の4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策によって、この100年に一度の危機から日本経済を守り抜く」と述べた。
■■ 国債の追加発行の内訳は、建設国債9.3兆円、赤字国債22.6兆円。この結果、20年度の新規国債発行額は31.9兆円増の90.2兆円、20年度の一般会計予算案の歳出総額は同増の160.3兆円とそれぞれ過去最高を更新する。
第2次補正に伴い、財務省は財政投融資計画と国債発行計画を再度見直した。企業の資金繰り支援拡充のため財投計画は39.4兆円増の62.8兆円と過去最高を更新。財投債32.8兆円を追加発行し、国債発行総額は253.3兆円と過去最高を更新した。
新発債と財投債の追加発行に対応し、入札を通じたカレンダーベース市中発行額は59.5兆円増やし、総額で過去最大の212.3兆円。翌年度に発行する予定の借換債を前倒しで発行する前倒し債を4.2兆円取り崩す。
¤¤¤ ブルームバーグ・エコノミクスの増島雄樹シニアエコノミスト
「日本政府はモンスター級の追加財政刺激策を準備している。コストは今年の政府債務の驚異的な急増加だ。だが経済的、政治的な観点の両面を総合すれば、それだけの価値があるとみられる。打撃を受けた企業への待望のサポートは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が収まった後の回復を妨げるより長期の経済的ダメージ(倒産や失業の急増)のリスクを減らすはずだ」
¤¤¤ BNPパリバ証券の白石洋シニアエコノミストは、「想定よりもかなり大きな規模」と指摘。先週の麻生太郎財務相と黒田東彦日本銀行総裁の共同談話は、大規模補正予算を見越してのこととした上で、「これほど大きな補正予算は日銀のイールドカーブコントロールなしには編成できなかっただろう」と語った。
○○ 共同通信によると、第2次補正予算案は6月8日国会提出、同12日までの成立を目指すとしている。
(4段落目に麻生太郎財務相の会見発言を追加し、更新します。)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE