◎◎ きょうの国内市況(12月21日):株式、債券、為替市場
●TOPIXは反落、英コロナ変異種感染への警戒-自動車や陸運安い
▼▼ 東京株式相場は下落。英国で新型コロナウイルス変異種が広がり、世界での感染拡大やロックダウン(都市封鎖)による経済への悪影響が警戒された。日本株指数が高値圏にあるため警戒した売りも出た。自動車や陸運株が下げた
|
¤¤¤⇨ 岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は、「イギリスでの変異種の感染拡大やロックダウンが、これまで相場を支えていたワクチン期待に水を差している」と話す。良いムードでクリスマス休暇を迎えたいと期待した投資家にはコロナ不安が重しとなり「上値を追いづらい」と述べた。
☞☞ 朝方に米国で追加経済対策案が議会で大筋合意に達したことを好感した買いは入ったものの長続きしなかった。有沢氏は、成立目前となったことで好材料が出尽くしてしまい、経済回復を見込んで見直されてきた景気敏感株へのプラス材料が織り込んでしまったことが背景にあると説明した。
- 東証33業種で空運、鉱業、不動産が下落
- 非鉄金属、倉庫・運輸、鉄鋼は上昇
●超長期債は下落、来年度40年債増発やスティープ化への警戒感が重し
債券市場では超長期債が下落。来年度の国債発行計画で40年債が増発されたことや、日本銀行が来年3月に予定している各種施策の点検を巡って利回り曲線のスティープ(傾斜)化方向の調整に対する警戒感から、売り圧力が掛かった。
|
|
¤¤¤⇨ バークレイズ証券の海老原慎司ディレクター
- 日銀が先週末の決定会合で示した施策点検に関して、市場ではイールドカーブのスティープニングを促すとの連想が強い
- 来年度の40年債増発も追加的な売り要因
- 一方で、英国で新型コロナウイルスの変異種が発見されたことを受けて経済的な影響が懸念され、債券先物の下支え要因になった
□■⇨ 来年度の国債市中発行額
- 機関投資家向けに販売する市中国債発行額(カレンダーベース)は221兆4000億円と過去最大
- 投資家需要の強い40年債を年間6000億円増額、その他の利付債などは据え置き
- SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト
- 40年以外の利付債増発はなく、材料を消化して目先は特に波乱ない
- ただ、中期的には、前倒債を相当切り崩しており、増発に対するバッファーがだいぶ失われた面もある
- 新型コロナの影響が長期化した場合は、増発が意識されて需給不安が強まる可能性も
□■⇨ 日銀オペ
- 対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下など。買い入れ額は各ゾーンで前回から据え置き
- 応札倍率はいずれのゾーンとも前回オペから低下し、売り圧力の弱まりが示された
●ドル・円は小じっかり、リスク回避のドル買いやや優勢-103円台半ば
◇◇ 東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=103円台半ばで小じっかり。英国で広がった新型コロナウイルスの変異種が他の欧州各国でも見つかるなど経済活動の制限長期化が意識されてリスク回避のドル買いがやや優勢となった。ポンドは英国と欧州連合(EU)の通商交渉が難航していることも嫌気され大幅安。
ハイライト |
---|
|
|
¤¤¤⇨ NBCフィナンシャルマーケッツ・アジアのディレクター、デービッド・ルー氏(香港在勤)
- 早朝から、英EU通商交渉の難航や新型コロナ感染による制限延長懸念を背景にしたポンド安がけん引してリスクオフの動きになっており、ドル>円>その他通貨という展開
- 特に新型コロナウイルスの変異種については、その感染力の強さから欧州全体で懸念と警戒が広がっており、市場心理を冷やしつつある
- 米国の追加経済対策案での合意は好感材料ではあるものの、市場の関心はウイルス変異種の広がりに移っており、影響は限定的
- ドル・円相場はリスクオフでのドル買いが支えになっているものの、大きな方向感が出る感じではない