未来は覆すことができるという教えが私の人生を変えた
http://voicee.jp/2015040310922
清掃業で油まみれの日々
定時制高校に通っていた頃から29歳で転職するまで、私はビルの空調設備を清掃する仕事をしていました。ビルの天井裏に通っている、「ダクト」という管の中を這い回って掃除をする仕事です。
アクション映画などで、主人公が敵陣のフロアに忍び込む時に這って行く、あの管です。
ただ、実際のダクトは映画のようにきれいなものではなく、真っ黒な埃が何センチも積もっていたり、小さな羽虫の死骸が吹き溜まっていたりと、そうとう汚いものです。中華料理店の場合など、油と埃が混じったベタベタの汚れが10センチくらい堆積していることもあります。
放っておくと火災の原因にもなるので、そうした汚れを金属のヘラで削り落としたり、石油で溶かしたりして清掃するのです。仕事を終えると、油汚れで全身が真っ黒になります。
狭いダクトの中で動けなくなったり、各階を垂直に結ぶダクトに落ちそうになったり、止めておいたはずの巨大な換気扇が目の前で急に回り始めたりと、怖い思いも何度かしました。
きつく、危険な仕事でしたが、お金にはなりました。経済的事情で実家に仕送りをしなければならず、早く結婚して子供も生まれたので、安定した収入が必要だったのです。
「もっと自分の世界を広げたい」
幸福の科学と出会ったのは、25歳の時のことです。仕事を終えて自宅に帰る途中に立ち寄った書店で『キリストの霊言』『ソクラテスの霊言』など、霊言集が並んでいるのを見つけ、夢中になって読み始めたのがきっかけです。
私は幸福の科学の会員になり、同じ信仰を持つ仲間と一緒に活動するようになりました。幸福の科学には、さまざまな職業で活躍する人たちが集まっていました。また、仏法真理を伝えるために、自分の友人・知人など、多くの人々に会って話をするようになりました。
活動を通して私は、「これまで自分が生きてきた世界は狭かった。もっと自分の世界を広げたい」と強く思うようになり、「自分がやるべき仕事は他にあるのではないか」と考えるようになりました。
人生を変えた法話
そんな私に転機が訪れました。29歳の時です。当時、中野にあった幸福の科学の総合研修センターで、大川隆法総裁が学生向けに「青春に贈る」という説法をしてくれたのです。
当日、総合研修センターは学生で一杯となり、私を含め多くの人は会場に入ることができませんでした。しかし、会場に入ることができた仲間が一生懸命メモをとって、内容を伝えてくれました。
それは「自分のために説いてくださったのではないか」と思うほど、勇気と希望に溢れる内容でした。とりわけ衝撃的だったのは、「自助努力」についての教えでした。
大学の4年間で高校で学んだことがないものを学んだ人は、知識や情報のレベルにおいて別な人間になっているということ、そして大学の4年間で別の人間になるのならば、それから先の10年間や20年間では、そうとう大きな開きが出るということでした。
したがって、過去の10年、20年ぐらいの自分の歴史を見て、「自分はこういう人間なのだ」と思い込んでいるようなら、それはかなり甘い。過去を覆すことはできないが、未来に関しては、覆すことができる――。そうした力強い教えでした。
私はハッとしました。自分が「甘かった」ことに気づいたのです。
「自分は、経済的な理由で大学に行くことをあきらめ、今の仕事を続けてきた。自分には学歴もないし、社会で武器となるような知識も能力もないと思っていた。しかし、努力によって、未来は覆すことができるのだ。それが仏の教えだ」と、心の中に、未来への希望がふつふつと湧いてくるのを感じました。
転職後ゼロからの猛勉強
チャンスは間もなく訪れました。幸福の科学で知り合った友人から、「知り合いの印刷関連の会社で人を探している」と声をかけてもらったのです。
聞くと、大手の印刷会社で、それまで手作業で行っていた印刷物の版をつくる仕事を、パソコンを使った新しい方法に切り替えることになったとのこと。その仕事を請けることになった会社が、新しい人を探しているというのです。
当時、私はパソコンなど触ったこともない素人でしたが、「天から与えられたチャンスかもしれない」と思い、その会社の面接に臨みました。
ありがたいことに、会社の担当者は「未経験でも構わない」と言ってくれました。当時はちょうどデジタル技術の導入期で、技術者も少なかったのです。「仕事をしながら一から勉強させてもらおう」と、私は思い切ってダクト清掃の仕事を辞め、転職することにしました。
発注先である大手印刷会社の「マックルーム」と呼ばれるコンピューターが並ぶ一室で、先輩オペレーターの指導を受けながら、私は懸命に技術を覚えました。
仕事の時間が終わっても、マニュアルと首っ引きで、午前2時、3時までパソコンに向かい、猛勉強を重ねました。「別の人間」になって、「未来を覆す」ために。
やがて、先輩オペレーターの人たちからも、「Sさん、この場合どうすればいいの?」「データが壊れた。助けて!」と、頼ってもらえるようになりました。入社して1年あまりが経つ頃には、私は職場で最も技術に精通した人間になっていました。やがて私は「マックルーム」の責任者に抜擢されました。
自宅を事務所に会社を興した
その後、私はインターネット関連の技術も勉強し、次のステージを求めて、自宅を事務所に小さな会社を興しました。営業活動の合間に、カラオケボックスでパソコンを叩くというところからのスタートでしたが、優秀なスタッフにも恵まれ、白書など政府機関の出版物や大企業のホームページを任せていただくなど、仕事は順調に発展していきました。
努力によって未来は覆すことができる――。この教えを希望の原理として、私は走り続けることができています。仏の願われる繁栄を実現するために、これからも、自分にできる精一杯の努力を重ねていきたいと思います。