韓国造船メーカーが巨額の赤字を計上したことが報じられているが、中国メディアの今日頭条は20日、「世界の造船王国が崩壊に向かっている」と伝え、造船業の業績悪化の影響が韓国国内で様々な形と…
韓国造船メーカーが巨額の赤字を計上したことが報じられているが、中国メディアの今日頭条は20日、「世界の造船王国が崩壊に向かっている」と伝え、造船業の業績悪化の影響が韓国国内で様々な形となって表れていることを伝えている。
例えば韓国の浦項(ポハン)市内で生じた事例として、2015年初頭には500人ほどだった代行運転ドライバーの数が15年12月には1000人を超えていたと記事は紹介。
この現象の主要な原因は浦項市のある船舶用鉄鋼メーカーが造船業の業績不振のあおりを受けて倒産したことにあると記事は述べる。300人あまりのスタッフが一夜のうちに職を失った。別の職をみつけることができない大勢の製造スタッフが仕方なく代行運転を始めたというわけだ。
こうした現象はこれまで代行運転を営んでいた人びとの生活にも大きく影響する。同業者の数が2倍になれば、収入は減ってしまうだろう。以前と同じ収入を得ようとするなら長時間働かざるを得ない。
さらに韓国の統営(トンヨン)市一帯にある造船工場は毎晩残業の灯りが煌々と輝いていたため「不夜城」と呼ばれていたが、現在は「工場スタッフの人影がない」のだという。蔚山(ウルサン)市や巨済(コジェ)市も以前は造船業の好業績のために「お金持ちの街」として知られていたが、現在は深刻な打撃を受けている。
記事はある商工会議所の責任者が「造船企業が集まる地域が数年後に韓国版のデトロイトにならないかどうか、みんな心配している」と述べたと紹介している。米国デトロイトは自動車産業が盛んだったが1970年代ごろ、日本車の台頭により自動車産業が大きな打撃を受け人口が流出し、街が荒廃してしまった都市だ。
また記事は、韓国3大造船メーカーが1年間で計2000人以上をリストラしたと伝え、こうしたリストラや韓国造船メーカーの倒産による工場スタッフの減少は造船工場付近の賃貸業にも影響が及んでいる。家賃を半額以下にしても借り手がいない状態であるという。また造船及び製鉄企業が集中しているオフィスビル群にも空室が目立つそうだ。
このように韓国造船メーカーの業績不振はすでに韓国国内の多くの人の生活に影響を及ぼしている。16年に海運市場が好転しなければ、影響はさらに拡大するだろう。韓国の大手造船メーカーは以前「前途洋々」また「高収入」で知られる企業だったが、絶対に沈まないと信じられていたタイタニックが伝える教訓は「絶対はない」ということだろう。(編集担当:村山健二)