【ワシントン時事】米軍準機関紙「星条旗新聞」(電子版)は29日、ロシア軍の哨戒機2機が27日に、朝鮮半島東方沖の国際水域を航行していた第7艦隊所属の原子力空母「ロナルド・レーガン」の1カイリ(約1.9キロ)以内を飛行したと伝えた。
ロシア機の高度は約150メートルで、レーガンから4機の戦闘攻撃機FA18が発進して警戒に当たった。米側はロシア機と無線で交信しようと試みたが、反応はなかったという。
時事通信 【北京時事】中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、4日間の討議を終え閉幕した。
閉幕後公表された総会コミュニケによると、中国政府は全ての夫婦に2人までの子供を産むことを認め、夫婦に子供は原則1人までと定めた国策「一人っ子政策」の完全廃止を決定した。
世界最大の人口を持つ中国で1979年から続いた独自の産児制限は、36年で終止符を打ち、人口政策の歴史的転換を図った。コミュニケは廃止時期を明記していないが、中国メディアは「早ければ年内」と伝えた。
共産党は2013年の同中央委員会第3回総会(3中総会)で「夫婦のどちらか一方が一人っ子の場合、2人目を産むことができる」と定め、政策の緩和を決めた。
決定の背景には、中国で進行する深刻な高齢化への危機感がある。労働力人口が12年に減少に転じる一方、50年には60歳以上が全人口の35%を占め、世界で最も高齢化が進んだ国になるという国際機関の予測も出ている。
中国政府にも誤算があった。13年の政策緩和の結果、対象となる全国1100万組の夫婦から毎年200万人が生まれると見込んだが、実際に2人目の出産申請は今年5月までに13%前後にとどまっているとされる。
習近平指導部は、このまま一人っ子政策を続ければ、高齢化に歯止めがかからず、景気減速の中で最優先課題である経済の安定成長に悪影響を及ぼすと判断。
中国メディアによると、一人っ子政策の完全廃止で年間300万~800万人が新たに出生すると予測される。
コミュニケは「バランスの取れた人口発展を促進し、計画出産の基本国策を堅持するとともに、人口の発展戦略を改善し、夫婦が2人の子供を産む政策を全面的に実施し、高齢化に対応する行動を積極的に展開する」と記した。
産経新聞 【ワシントン=青木伸行】米軍による南シナ海での「航行の自由作戦」を受け、米国と中国は情勢の緊迫化を回避するための対話に早くも動き出す。
だが、非難と原則論の応酬に終始することは必至で、中国の「力による現状変更」に対する作戦が効果を発揮するかは不透明だ。
米中は29日に海軍高官によるテレビ会議を開くほか、作戦の立案に深くかかわったハリス太平洋軍司令官が来月2日から訪中し中国軍幹部と協議する。
ハリス氏の訪中は作戦の実施前から調整されていたが、中国側の受け入れは対話を望む姿勢の表れだといえる。
ケリー国務長官も28日、国務省で開かれた外交政策会合で「緊張の緩和と沈静化を望む」と、対話を引き続き重視する姿勢を強調した。
カービー国務省報道官は記者会見で、中国が作戦を「挑発行動」と反発していることに「同意しない。公海上の航行は何であれ挑発行動ではない」と反論しつつ、「問題の外交的解決を望む」と述べた。
米中の間には軍事衝突を回避するという「暗黙の了解」がある。とりわけオバマ政権は、シリアに軍事介入したロシアと極めて慎重に間合いを取るなど、「大国」との軍事衝突を避けることに徹している。
シリア、イラク、アフガニスタン、ウクライナ情勢への対応に追われる状況下で、南シナ海に新たな「戦線」を開く余裕もない。
こうした慎重姿勢は、国防総省が5月から計画していた作戦の実施が、ホワイトハウスと国務省の躊躇(ちゅうちょ)により「軍事衝突の危険を最小化する方策の検討に時間を要した」(ロイター通信)ことから、5カ月も遅れたことにも表れている。
政権が作戦に踏み切った狙いの一つは、示威行動による軍事的な圧力をかけることで、外交解決へ向けて膠着(こうちゃく)状態を打開する糸口を模索することにあった。
中国の人工島建設をめぐって政権はこれまで、もっぱら外交に依存してきた。だが、そうした対中戦略は機能せず今回、「軍事」を動かすことで「外交」を後押ししようというわけだ。
政権は作戦を断続的に実施する構えをみせつつ、中国側の出方を探る方針だ。しかし、覇権拡大に固執する中国から軟化姿勢を引き出すことは難しい。
作戦の実施が遅れ、「かえって注目が集まったことで効果が減退した」(安全保障専門家)ともみられている。
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「神田祭」は「山王祭」、「深川祭」と並ぶ、「江戸三大祭」の一つ。例年、半被(はっぴ)を纏った男女が神輿を担いで練り歩く千代田区・神田小川町の交差点で“事件”は起こった。
10月4日の夕方、鳩山由紀夫元総理(68)が乗った高級車が、複数の右翼団体の街宣車に包囲されたのだ。警察と右翼が繰り広げた攻防戦の顛末とは。
***
「夕方の4時半頃かな、騒々しいと思って外に出たら、交差点の真ん中で黒塗りのフーガが6台ほどのワンボックスやRVタイプの街宣車に取り囲まれていてね
。聞いたところでは、追走していたSPの車も別の街宣車によって止められていたそうです。その間も大きなスピーカーからは大音量の軍歌が鳴り響くし、そこにダミ声でがなり立てるもんだから、何を言ってるのか分かりゃしない。でも、時折り“ハトヤマ~!”と言うのは何とか聞き取れました」
と、振り返るのは小川町交差点近くの商店主だ。
「近づいて行くと、窓ガラス越しにチラッと由紀夫さんの顔が見えた。それで、総理大臣をやったお兄さんの方だと分かったんです」
近くの飲食店に勤務する女性は興奮気味。
「街宣車から降りて来た屈強な男性が、鳩山さんが座っている後部座席のドアを開けると、中に向かって何やら叫び始めたんです。するとすぐにスーツ姿の警察官が覆面パトカーから飛び出して、男性を引き離しました。
その聞もパトカーが続々到着して、5~6台が拡声器で“車を動かしなさい!”、“速やかに退去しなさい!”と怒声混じりに呼びかけていましたね」
歩道には野次馬が集まり、車道は完全にストップした。渋滞に苛立つ一般車は右翼団体に抗議をするようにクラクションを鳴らし続け、周囲はしばらく騒然とした空気に包まれたという。
もちろん、その間も街宣車は軍歌を垂れ流し、加えて、
「日本の恥さらし!」
「売国奴!」
「日本から出て行け!」
などと、元総理を悪しざまに罵り続けたのである。
思わぬ豆鉄砲を食らった鳩山氏は、この日、13時30分から明治大学の研究施設で開かれたシンポジウムに出席していた。明大関係者によると、
「テーマは『日中友愛外交の道を探る』で、鳩山氏はゲストとして招かれていました。15分ほどの講演で、“13年に南京の大虐殺記念館に行ったら国賊と言われた”とか、“南京大虐殺は30万人と言われていますが、たとえ1人でも中国の民間人を殺(あや)めたら謝罪するのは当たり前”などと、悪びれる様子もなく滔々と話をしてました」
その間にも“獲物”のニオイを嗅ぎつけた右翼の街宣車は続々と集結していた。公安関係者によると、6団体の50人が25台の街宣車に分乗していたという。さて、攻防戦の行方は、
「街宣車は20分くらいで走り去りました。その際、“警察諸君はどうして売国奴の肩を持つのか!”と捨て台詞を残していきましたけど……」(先の商店主)
時間にして約30分。が、鳩山氏にはその何倍も長く感じられたことだろう。
民主党の支持率低迷が再び鮮明になってきた。NHKの世論調査によると、民主党の政党支持率は8月に10.9%を付けたものの、9月は9.8%、10月は8.6%と2カ月連続で下落した。
自民党への支持率が35%前後で、今年春の37%前後に比べれば低落傾向にあるにもかかわらず、まったく受け皿になっていない。
10月25日に行われた宮城県議会議員選挙(定員59)では、自民党が4議席減の27議席と、過半数を割ったものの、民主党も7議席から5議席へ、2議席減らした。
安全保障関連法の成立や景気回復の遅れで自民党への批判が強まっているものの、民主党はその批判票を受け止めることができていないのだ。宮城県議選では共産党が4議席から8議席へ、議席を倍増させた。
民主党の支持が高まらない大きな要因のひとつは、経済政策が定まらない事だ。
昨年の総選挙以来、安倍晋三内閣が推進する「アベノミクス」を真正面から批判するスタンスを取り続けているが、もっぱらアベノミクスの成果を否定するばかりで、自ら建設的な対案を出すことができていない。
そんな「経済無策」に国民の多くがそっぽを向いているのだ。
各種の世論調査を見るまでもなく、国民の関心事は「経済」である。日々のビジネスに直結する足下の景気への対策から、将来の生活を左右する年金・医療・介護などの社会保障政策まで、政治への期待は大きい。
安全保障関連法を成立させた安倍首相が、間髪いれずに「経済最優先」を繰り返し、軸足を経済に再び戻す姿勢を見せたのが、それを端的に表している。
経済こそが国民の最大の関心事であることを安倍首相は理解しているのだ。
ところが、民主党はアベノミクスをただただ批判する姿勢を変えていない。
安倍首相が、「就任以来、雇用を100万人増やした」と言えば、「増えたのは非正規雇用ばかりで格差は広がっている」といった具合に、相手の足を引っ張ることに専念している。
批判のための批判といった感じなのだ。格差拡大を強調し、再分配を強化すべきだという社会主義型の経済政策に大きく傾斜しているとも言える。
そうした分配中心の経済政策は、もともと社民党や共産党の主張と重なる。アベノミクスを当初から徹底的に批判してきたのも両党である。
法人減税で経済活動を活発化させることで、経済を成長させ、国民の所得を増やし、最終的には税収も増やそうというアベノミクス的発想には、共産党などは強く反対してきた。
内部留保を溜め込む大企業にもっと課税をして、それを原資に弱者に再配分すべきだ、というのが左派政党の典型的な主張である。
ところが、昨年末の総選挙以降、民主党は明らかにそうした分配型の政策志向を強めている。そうなると、経済政策で見る限り、民主党と共産党に「違い」が見えなくなってしまう。
自民批判票が民主党を飛び越えて共産党に向かってしまうのも、そうした民主党の政策の立ち位置と無縁ではないだろう。
もともと民主党議員の中には、自民党以上に経済改革志向の強い人たちがいる。言うならば、アベノミクスよりもさらに先を行く議員だ。
民主党が政権を奪取できたのは、自民党の既得権を温存する政策を打ち壊し、改革を進めることを標榜したから。
政権獲得前の民主党政調では、公共事業の削減や公務員制度改革、郵政民営化の促進といった自民党ではできないと思われていた政策を掲げた。
こうした改革的な政策が国民の民主党への支持を呼び起こし、政権奪取へとつながった、とみていいだろう。
ところが政権を取ると、掲げた改革は大きく後退し、自民党に「バラマキ」と批判されることになった再配分強化の政策ばかりが目立つようになった。
労働組合を有力な支持母体に持つという党組織の限界とも言えたが、急速に国民の支持を失うことになった。
◆翁長氏「基地は沖縄よりも熊本に」と主張 抑止力低下は沖縄を見捨てることになる
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10334
沖縄県の米軍普天間飛行場の移設をめぐり、翁長雄志(おなが・たけし)知事が、辺野古沖の埋め立て工事の承認取り消しを行ったことで、防衛省はその承認の無効を国土交通相に申し立てていた。
これに対し、翁長氏は21日、「承認取り消しは正当だ」とする意見書と弁明書を国土交通相に送付した。
防衛省が国土交通相に提出した申立書には、翁長氏が懐疑的にみる米軍の抑止力の重要性を強調。知事側が「朝鮮半島と台湾有事に対応するには、熊本が適している」との主張に、防衛省は「距離の総和のみに依拠すべきではない」と反論。
「中国の太平洋進出や南シナ海などの安全保障を考えれば、沖縄には地政学的な優位がある」などと説明した。
◎宜野湾市民が翁長氏を提訴
さらに、普天間基地のある宜野湾市民が20日、「翁長氏の判断は権限乱用である」として、承認の取り消しと翁長氏に対する損害賠償を求める提訴を起こした。
原告団長で元宜野湾市議の平安座唯雄(へんざ・ただお)氏は記者会見で、「代替案を示さず承認を取り消すことは、無責任だ」「翁長氏は必要性を検討するにあたり、尖閣諸島防衛や中国の脅威に一切触れていない」などと述べた。
尖閣諸島をはじめとする中国の脅威を見れば、防衛省の主張や宜野湾市民の提訴は、悪化する日本の安全保障環境を象徴している。
翁長氏が指摘する基地を熊本に移設するというシナリオも、現状の抑止力を維持することは難しい。
負担を解消するために沖縄防衛に空白を生じさせるのなら、米軍や自衛隊が駐屯する意味はなく、それこそ有事になれば、日本が沖縄を見捨てることになるではないか。
基地反対派は「基地があるから攻撃される」と主張しているが、基地があろうとなかろうと、沖縄は戦略的な要衝であり、攻撃される可能性はゼロにはならない。
そうならないためにも、基地と住民が共存できる辺野古への移設を進めるべきだ。(山本慧)
【関連記事】
2015年10月15日付本欄 翁長知事の埋め立て承認の記者会見に違和感 民主主義を考える
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10310
2015年10月11日付本欄 決して「独立しない」と言わない翁長知事 「外患誘致罪の疑い」の声も
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10297
2015年10月4日付本欄 県民から「翁長知事は外患誘致罪だ」の声 基地撤去は大きな「人権侵害」生む
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10267
◆安倍首相、中央アジア訪問 中国の経済支援との質的違いとは?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10396
安倍晋三首相が中央アジアで積極的なトップセールス外交を繰り広げている。
安倍首相は28日までの7日間で、モンゴル、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンの6カ国を歴訪。各国の首脳と会談し、日本企業の中央アジア進出の後押しや、政府開発援助(ODA)を通じて、経済発展に貢献する姿勢を示した。
◎中国が構想する「新・シルクロード」の通り道
この中央アジアは、中国が"縄張り"にしようとしている地域だ。
石油などの天然資源に恵まれた国が多いため、人口が多くエネルギー需要が大きい中国にとっては、重要地域だ。
中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じて陸路や海路などのインフラ投資を進め、巨大な経済圏である「新シルクロード(一帯一路)」に組み込もうとしている。
◎中国は労働者を送り込むが人材を育てない
しかし中国による経済支援は、本当の意味で中央アジアを豊かにしないだろう。
彼らにとっての経済発展のネックは、ノーベル経済学者のスティグリッツ教授が「資源の呪い」と呼ぶものだ。資源大国は、資源のおかげで働かなくても豊かになれるため、工業化や経済成長のスピードが資源の取れない国よりも遅い傾向がある。
課題は、人材が育ち、産業が高度化することだ。
しかし中国は、インフラ設備とセットで、中国国内で余っている労働者を現地に送り込む。そのため、かえって現地の人材が育たないのだ。人材が育たなければ、経済は自立も高度化もできない。
一方、安倍首相は、カザフスタンで行った中央アジア政策に関する演説で、「産業の高度化を図り、人材を育成する。付加価値の階段を上りたい、産業を多角化させたい、そのために質の高いインフラをつくりたい」と意気込みを述べた。
真の意味で中央アジアの発展に貢献できるのは日本だと言えるだろう。
日本が中央アジア諸国との信頼関係を強化し、中国が構想する新シルクロード上にある親日国を繁栄させることで、中国勢力の拡大をけん制することを期待したい。(真)
【関連記事】
2015年5月22日付本欄 アジア向けインフラ整備に13兆円 日本こそアジア投資を主導すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9679
2015年5月24日付本欄 新幹線がいよいよタイへ 日本のインフラ輸出でアジアの安定と発展を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9685
2015年4月25日付本欄 中国の「シルクロード構想」って何?【リバ犬×そもそモグラ博士のそもそも解説】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9547
【北京=矢板明夫】中国が南シナ海で造成する人工島周辺を米駆逐艦が航行したことは、中国国内でさまざまな波紋を広げている。
主要メディアは「米国は中国と軍事的な摩擦を起こす考えはなく、ただの政治ショーだ」(環球時報)と分析し、国民に冷静な対応を呼びかけたが、保守派や軍関係者の間で「直ちに南シナ海でも防空識別圏を設置すべきだ」といった主張も台頭している。
インターネット上では「侵略者を撃沈せよ」といった強硬意見が多く飛び交っている。習近平政権が近年「中華民族の偉大なる復興」とのスローガンを掲げ、対外拡張と強兵路線を推進したことを受け国内で民族主義が高揚したことが背景にあるとみられる。
しかし、習政権は現時点で「米国と全面対決したくない」(外務省関係者)ため、官製メディアを使って強硬的な主張を抑える狙いがあるようだ。
だが一方で、南シナ海で防空識別圏を設置することについては、「むしろ今がチャンスだ」と考えている軍関係者がいるという。
政府系シンクタンクに所属する米国問題専門家は「比較的温和だったオバマ政権が中国に対し過激な軍事行動をとらないと中国側がみているが、その残り任期は少なくなっている」と指摘したうえで「次の米大統領は、厳しい対中政策をとる可能性があり、オバマ政権のうちに既成事実をつくるべきだという意見が強い」と説明した。
中国は2013年11月に突然、東シナ海上空に防空識別圏を設定したと宣言し、北東アジア地域に一時軍事的な緊張をもたらした。
その後、軍首脳はさまざまな場面で、南シナ海でも防空識別圏の設置について言及しており、その実現は、利権拡大を目指す軍関係者らにとって悲願といえる。
しかし、防空識別圏が設置されれば、南シナ海の情勢は不安定になるのは必至だ。
保守派と軍を主な支持基盤にしている習近平政権は今後、国内世論と米国の出方を見極めながら、南シナ海の防空識別圏の設置を検討していくとみられる
オバマ大統領は9月の米中首脳会談で中国側が態度を変えなければ、対応のステージを上げる考えだったのだろう。
米国が派遣したのは、対空、対水上、対潜水艦などすべてに対処できる能力を持つ駆逐艦だった。万が一、中国が軍事的な対抗措置をとった場合、米国は中国と軍事衝突を恐れていないことを示したものだ。
ただ、米側が求めているのは、米軍がこの海域で自由に活動できることで、領土紛争でフィリピンやベトナムを支持して活動することが目的ではない。
派遣した艦船は1隻で、中国に誤ったシグナルを与えないように気をつかっている。艦隊を送ると、中国に何らかの危害を加えようとしているのではないかと認識させ、米国も望まない衝突を起こす可能性がある。
中国は、言葉では激しく反発するが、実際の対応は米艦船の航行自体を妨害したわけでもなく、抑制的だった。
米国との軍事衝突は何としても避けたいので、水面下で米国側に働きかけて「落としどころ」を探っているとみられる。
ただ、中国は南シナ海で譲歩の姿勢を見せることもできない。抑制的な対応への反発が強まり、国内世論が持たないと中国指導部が考えれば、中国の方が対抗手段のレベルを上げ、緊張が高まる可能性もある。(談
読売新聞 【グラスゴー(英)=田中誠之】体操の世界選手権第6日は28日、英グラスゴーで男子団体総合決勝が行われ、日本(内村航平=コナミスポーツク、田中佑典(ゆうすけ)=同、加藤凌平=順大、萱和磨(かやかずま)=同、早坂尚人=同、白井健三=日体大)が1978年仏ストラスブール大会以来37年ぶりとなる金メダルを獲得した。
産経新聞【ワシントン=青木伸行】米海軍が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で実施した「航行の自由作戦」は、「公海における航行の自由」という強いメッセージを中国に発信しつつ、「挑発色」を薄めるための細心の注意も払われた。
オバマ政権は今後、作戦を断続的に実施しながら、これをテコに外交圧力も強める構えだ。
航行の自由作戦は現地時間の27日午前6時40分ごろに始まった。米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」は、スービ(渚碧)礁などの12カイリ(約22キロ)内を北から南西へ約5時間、133キロにわたり航行した。
作戦の航行ルートと人工島は入念に選定された。
米政府は、中国が人工島の12カイリ内を「領海」と主張していることを認めていない。
そのうえ国際法上、満潮時に海中に沈む岩礁の周囲については、たとえ岩礁を埋め立てたとしても、領海、領空を主張できない。
これに該当するのが、中国が建設している7つの人工島のうちの1つであるスービ礁だった。米軍事筋は「国際法に則した通常の哨戒活動であり、挑発行為ではないことを示す意味合いがあった」と指摘する。
作戦開始前、ラッセンは数週間にわたり中国海軍のミサイル駆逐艦「蘭州」と巡視艦「台州」に追尾されていた。作戦が始まりラッセンがスービ礁に近づくと、中国艦船から無線で警告を受けたという。
軍事筋は、米海軍が小規模な艦隊を編成するという選択肢を取らず、ラッセン1隻だけを投入したことは、中国を過度に刺激しないための「控えめな対応」だったとしている。
ラッセンはまた、フィリピンやベトナムが領有権を主張する複数の岩礁の12カイリ内も航行し、「公明正大さ」も示した。
米軍事アナリストの多くは、米海軍が今後も軍事衝突を避けるため、「抑制的な活動」を繰り返す公算が大きいとみている。
一方、米海軍横須賀基地に所属するラッセンが派遣されたことについて、外交筋は「日米同盟を誇示するという側面もあった」との見方を示している。