日本人は、他の先進諸国と比較して、人口あたりのギャンブル依存の割合が極めて 高いと言われてきた。厚生労働科学班による調査では、日本人のギャンブル依存率 は、成人全体で 4.8%(男性 8.8%, 女性 1.8%)と報告されていた(2013 年調査)。この依存 率から割り出される日本人のギャンブル依存症の人数は、合計で 536 万人(男性 438 万 人 女性 98 万人)であるとされ、最近では、この数は減少傾向にあるとも言われてきた。
ところが、コロナ禍の頃からは、海外の業者が主催するオンラインカジノに国内からネットで接続して利用する者が増え、国内利用者は推定で300万人とも言われるようになった。警察は、賭け金や配当を仲介する日本国内の決済代行業者を足掛かりにして、国内の利用者の摘発に力を入れるようになり、スポーツ界や芸能界の一部からも検挙者される者が出るようになった。「合法」をうたうサイトもあって、違法性の認識が薄く、ゲーム感覚で利用する者も多いという。
ギャンブル依存症の症状は、
・ギャンブルにのめり込む、
・興奮を求めて掛金が増えていく、
・ギャンブルを減らそう、やめようとしてもうまくいかない、
・ギャンブルをしないと落ち着かない、
・負けたお金をギャンブルで取り返そうとする、
・ギャンブルのことで嘘をついたり借金したりする
といった症状が特徴的で、ギャンブルをする人は誰でもギャンブル依存症になりえ、リスク因子としては、若い人、男性、ストレスへの対処がうまくない人、ギャンブルが身近にあるなどの環境要因などが指摘されている。
まして、現代の多くの人にとって、任天堂やソニーなどのゲーム機で遊んだことのある者が大半を占めており、スマホなどからもオンラインゲームにアクセスが容易であり、誰でもがギャンブル依存症になる可能性があると言える。
ところが、ギャンブル依存症として治療を受けている患者の数としては、毎年2000人から4000人の間に過ぎず、薬物依存症やアルコール依存症で治療を受けている数の半分にも満たない。しかし、ギャンブルでの借金で破綻したり、犯罪に手を染めたりする者は、かなりの数いるものと考えられている。
オンラインカジノについて、最近になって、ようやく警察が取り締まりに力を入れるようになったとしても、全体の利用者の数に比べると検挙される者の数は微々たる人数に過ぎない。政府は、IR事業を大阪府に認めるなどしているのであるから、国内では非合法のオンラインカジノの取り締まりを更に強化すべきであり、さもないと、ギャンブル依存症患者が増加し、国内治安の悪化に歯止めがかからないようになる可能性もあると考える。