「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る!「どこまでもヴァイナル中毒」(第39回) 《ジミヘン45回転シングル編》

2021-06-12 21:02:12 | 『ハウリンメガネ』コラム集

読者諸賢、御健勝?ハウリンメガネである。

世間の喧騒に心をかき乱されることも多い今日この頃ながら、
それはそれ。これはこれ。
相も変わらずギターを弾いている私である。

大して上手くもならないまま20年程弾き続けているが、
「今日は昨日よりもうちょっと上手く弾けるんじゃねぇか?」
という思いが未だにギターを弾かせるのである。

(昔、何かで読んだキース(・リチャーズ)の話で傑作だったのが、毎日ステージで"サティスファクション"を弾いてて飽きませんか?という質問に対する『最近ちょっと上手くなったんだ』という返し。キースはこーいう事を言うから嫌いになれない(笑))

そんな私、ちょいと前に某楽器店でこんなムックを見つけた。

「ギターマガジン総集版 ジミ・ヘンドリックス(リットーミュージック社刊)」

はい、みんな大好きジミ・ヘンドリックス!
もはや何度出版されてきたかわからない
そんな「ジミヘン本」だが、
それでもこういう本が目に入るとつい手が伸びてしまうのは
ギター弾きの性分か(苦笑)。
当ムックはギターマガジン40周年を記念して
過去のアーカイブを再編集したムックで
「あ、この号買ったわ」という記憶が甦る記事多数。

内容的には本人や関係者へのインタビュー、
JBを筆頭とするファンクとジミの関係、ジミとジャズの関係、
機材についてのジム・マーシャルやロジャー・メイヤーのインタビュー
などなど・・・、
「ジミヘン入門者」から「ジミヘン好き」まで
大満足できる内容となっている
(ブルース絡みの特集がないのが至極残念だが!……残念だが!(苦笑))

そんな本を読んだせいもあり、
ちょっとジミヘンの話でも書きたいなぁと思っていた私……
というわけで今回はこちら、ジミのJPシングル盤!(メイン写真)

「紫のけむり/第51回記念祭」(日本グラモフォンORG)

ジミの1st「Are You Experienced ?」収録の2曲が収録された日本盤であります(第51回記念祭って邦題はどうなのかしら?歌詞の中身は結婚についての男女の温度差を描いたブルースマナーな曲なんだけど……う~ん邦訳の難しさよ!)

毎度毎度の事ながら、
シングル盤はねぇ……
音がいいのよ……

ギター初心者の頃から何回聴いたか分からないこの2曲だが、
アナログで聴くとリズム隊のミックスのデカいこと!

CDだとやはりジミのギターがフューチャーされてしまうのだけど、
こうしてアナログで聴くとジミがちゃんとノエルやミッチの音を意識して
当然ながら音を選んでいることがはっきりする。

(逆もまた然りでエクスペリエンスがジミのワンマンバンドではなく、クリームやZEPのようにこのメンバーでないとエクスペリエンスたり得なかったのがわかる)

ジミのギターも特段複雑なプレイではないはずなのに
何度聴いても「なんでここでこのフレーズを思いつけるの?」
というフレーズが満載。
俗にジミヘンコードと呼ばれる7th(#9th)コードのように
ジミはメジャーキーとマイナーキーを自在に織り交ぜる。

ここがやはり「ジミのジミたる所以」
普通のプレイヤーなら「マイナーキーのブルースリック」
で攻めたくなるようなところで「メジャーキーのフレーズ」を入れ込むし、
「メジャーキー」が合うようなところで
「マイナーブルースリック」がポンと入る。
(これはアーバンブルースでよく使われる伝統芸でもあるが)。

とまあ、これだけでも十分楽しめる盤だが、
今回、筆者、なんとなしに回転数を33回転でもプレイしてみた
ご存知の通り、シングル盤は45回転である。
回転数が下がれば再生速度も下がり、音程は低くなる.

(無論早回しは逆に速度は上がり、音程も上がる。これを活かした名曲にフォーク・クルセイダースの「帰ってきたヨッパライ」があるが、話が横に逸れるので今回はパス!)

……これが凄かった。
歌こそ間延びしてしまうが、楽器の音がルーズに野太くなり、
サイケデリックロックの名曲がダーティーなストーナーロックに早変わり!
……というかストーナーロックの連中はもしかして
「シングル盤を33回転で聴いてあのサウンドに行き着いたのでは?」

やはり現代のロックも元を辿れば過去にヒントが詰まっているのである。
さあ同朋ミュージシャン諸君!
オールドロックを掘り返せ!
ヒントは無限に存在する!

こんな聴き方もシングル盤の面白さ、
ということでまた次回だ!
あでゅ~。

最後に少しだけ。

世間がイヤな方向に進んでいる。
「善い行い」に従わない者を「矯正」しようとする強い同調圧力を感じる。

この圧力はどこから来るのか。
それは「人の善意」だ。
「善い行い」を「善意」で推進する人の「善意」だ。

さも尤もらしく聴こえる「世の為、人の為」という御題目を手にした人間は
それに同調しない人間を攻撃する。「善いこと」の為に。

人間は「悪い行い」よりも「善い行い」の方が実行の障壁が下がる。
それは「善いこと」だから。

立ち止まってごらん。
考えてごらん。
それは「誰にとって」「都合」の「イイ」ことか。

同類諸君、健闘を祈る。

《 ハウリンメガネ 筆 》



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