ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(58) 2012個展・旧作品

2012年11月12日 | 随筆
 これでよしと思える作品ができたら発表するのが個展だとすると、私なんぞはいつまで経っても個展が開けない。先に画廊を予約して、その期日になんとか間に合わせるのが常になってしまっている。 しかしそんな中でも意欲的な展覧会にするために4ツの区分で展示することを試みた。
 2012年11月5日~11日 ギャラリー「椿」
 4ツの章とは、1)旧作品 2)ギャラリー「椿」界隈 3)蓮池の連作 4)若松の海岸 である。

1)旧作品 
 若松在住の99歳になるMさんのお手許にある私の旧作品(1999~2004年)を並べます。Mさんは私の個展にはいつも早々に足を運んで下さり、帰り際にそっと言って下さる感想は、私が作品に込めた思いの伝わりを感じました。今にしてみれば、それこそが絵を続けられた理由だと言い切れます。感謝しています。
 2004年の感想は「少し頑固になりましたね」と。





 「頑固になった」とはどう言うことだろうか。
 この作品は9年前の「小雨」と題した8Fの作品。若松の渡し場近くにある石炭積出港として栄えていた頃の名残りの建物、旧古川鉱業ビル。
 2回目のスケッチの時に雨が降り始めた。スケッチブックをたたんで帰ろうとしたとき、フッと「雨もいいのでは」と思ったが傘もなくたたむしかなかった。
少し離れたところに駐車していた車に乗って再びスケッチの場所に来た。車の中から見つめていると、ビルのレンガ壁が濡れていい色になり、アスファルトは光り始めた。写真を撮って家に帰り、描き始めたところで何かもの足りなくなって筆が止まった。スーッと人物を配したくなって描き入れた。画面は良くなった。少し生意気になって嘘をつけるようになった。この生意気さを「頑固」といってくださったのではなかろうか。