・東京は、新宿原町のお寺の下宿棟に寄宿。どこへで行くにも徒歩。サンドイッチマンや公募展審査での作品運搬のアルバイトをしながら、空いた時間には多くの画塾や美術館を回り、これから絵の道に進むための情報を集めます。
・東京芸大の実技試験には自信があったが、学科に自信なし。芸術学者を育てるところで芸術家を育てるとろではなさそうと受験をあきらめます。
・都立美術館では毎年約80団体が公募展を開催、うち日展系が約20団体、あとは在野の団体。団体間の勢力争い、団体内の力関係、審査の有り様など日本独特の官僚的ともいえる世界を知ることになります。
・美大生と一緒に共同アトリエに入りますが、芸術論は噛み合わず、ビエンナーレ国際展では新しい前衛的な作品が続々と出ているのに、彼らの卒業制作は形、形の追求で、はみ出しのない作品にがっかりします。美大とはそういうものかと分かるのです。
・それぞれの団体の公募展は絵画の国際的なトレンドに気付き、日展系の団体でも抽象画を歓迎するようになり、団体展の持ち味が失われ始めました。健治は公募展を見合わせ、「読売アンデパンダン展」の趣旨(日本アンデパンダン展と同じ趣旨)が気に入って出品しようと思うのですが、発注芸術と陰口されるほど材料を製材所で引いてもらったり、鉄の塊を鉄工所ではつってもらったりでお金と体力がいる展覧会です。健治はその金を稼ぐため沖仲仕の仕事を求めて横浜へ向かいます。
・手配師の誘いにのって横浜港の埠頭で荷役の仕事に就きます。厳しいランディング・チャージ(荷役契約)のもとでランを切る(契約期間より早く荷役を済ませる)ために急き立てられ、ピンはねられ、眠る時間を削る重労働をしなければ手許にお金は回ってきません。
・遂に力尽きて労働下宿を抜け出し、汐見橋付近で熱を出して倒れているところを酒屋の主人に助けられます。恩返しに酒の配達を手伝うことになります。健治の働きぶりや人柄が酒屋の家族や配達先に好かれることになります。やがて酒屋の養子の話が持ち上がるようになっては、絵が描けなくなると恩ある主人に打ち明けて、とらさんのドラマよろしくこの家を出ます。
・一度は東京の共同アトリエに戻ってみるものの、すっかり様子が変わって浦島太郎。しごく簡単に当てのない旅に出てしまいます。演歌のように北へ向かって行きます。本当の放浪者に身をやつして。
・東京芸大の実技試験には自信があったが、学科に自信なし。芸術学者を育てるところで芸術家を育てるとろではなさそうと受験をあきらめます。
・都立美術館では毎年約80団体が公募展を開催、うち日展系が約20団体、あとは在野の団体。団体間の勢力争い、団体内の力関係、審査の有り様など日本独特の官僚的ともいえる世界を知ることになります。
・美大生と一緒に共同アトリエに入りますが、芸術論は噛み合わず、ビエンナーレ国際展では新しい前衛的な作品が続々と出ているのに、彼らの卒業制作は形、形の追求で、はみ出しのない作品にがっかりします。美大とはそういうものかと分かるのです。
・それぞれの団体の公募展は絵画の国際的なトレンドに気付き、日展系の団体でも抽象画を歓迎するようになり、団体展の持ち味が失われ始めました。健治は公募展を見合わせ、「読売アンデパンダン展」の趣旨(日本アンデパンダン展と同じ趣旨)が気に入って出品しようと思うのですが、発注芸術と陰口されるほど材料を製材所で引いてもらったり、鉄の塊を鉄工所ではつってもらったりでお金と体力がいる展覧会です。健治はその金を稼ぐため沖仲仕の仕事を求めて横浜へ向かいます。
・手配師の誘いにのって横浜港の埠頭で荷役の仕事に就きます。厳しいランディング・チャージ(荷役契約)のもとでランを切る(契約期間より早く荷役を済ませる)ために急き立てられ、ピンはねられ、眠る時間を削る重労働をしなければ手許にお金は回ってきません。
・遂に力尽きて労働下宿を抜け出し、汐見橋付近で熱を出して倒れているところを酒屋の主人に助けられます。恩返しに酒の配達を手伝うことになります。健治の働きぶりや人柄が酒屋の家族や配達先に好かれることになります。やがて酒屋の養子の話が持ち上がるようになっては、絵が描けなくなると恩ある主人に打ち明けて、とらさんのドラマよろしくこの家を出ます。
・一度は東京の共同アトリエに戻ってみるものの、すっかり様子が変わって浦島太郎。しごく簡単に当てのない旅に出てしまいます。演歌のように北へ向かって行きます。本当の放浪者に身をやつして。