本書は、来日して十数年の中国生まれの著者が、多数民族である漢民族のほか、公的に認められている55の少数民族がいる中国の多民族国家の形成過程、現状及び問題点について述べられている。
中国の多民族国家的な構造を理解するには、「中国の古典を読み、中華文化の由来と本質に対する理解が不可欠」(213頁)であるという著者の主張には異を唱える人はいないだろう。残念ながら、そのような理解ができる政治家がほとんどいないのが、日本社会の現状だろう。
また、著者によれば、中国政府による少数民族の「民族区域自治制度」は少数民族に政治的空間を与える一方、一定の少数民族地域で暮らしている全ての民族の利益を考えなければならない仕組みになっているため、かえってその制度により少数民族の政治的存在が弱まったという(78頁から82頁)。これは、中国政府の巧みさを表している。
中国の多民族国家的な構造を理解するには、「中国の古典を読み、中華文化の由来と本質に対する理解が不可欠」(213頁)であるという著者の主張には異を唱える人はいないだろう。残念ながら、そのような理解ができる政治家がほとんどいないのが、日本社会の現状だろう。
また、著者によれば、中国政府による少数民族の「民族区域自治制度」は少数民族に政治的空間を与える一方、一定の少数民族地域で暮らしている全ての民族の利益を考えなければならない仕組みになっているため、かえってその制度により少数民族の政治的存在が弱まったという(78頁から82頁)。これは、中国政府の巧みさを表している。