2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 酒井啓子著『<中東>の考え方』(講談社現代新書)

2011-02-21 01:10:17 | 読書

本書の目的は、近現代の国際政治において、中東地域の問題の原因を明らかにすること、国際政治に対する中東の指導者の「巧みな処世術」、及び中東の人々が目指している社会像を示すことである(12頁)。

最後の章『メディアとアイデンティティー』で、インターネットや衛星放送等の新しいメディアを通じて、現実の国境を越えた「ヴァーチャルなコミュニティ」の出現を紹介しているが(12頁)、その出現が現在進行中の中東の民主化運動に大きく寄与しているのは間違いないだろう。なお、本書の出版は2010年5月である。

なお、本書のタイトル「<中東>」は、「中東」という地域概念が欧米発のものであることから、中東出身の人々はそれを快く思っていない一方、それに代わる適切な概念がないことを示している(5頁から6頁)。例えば、アラブ諸国とアラブ民族をベースにしようとすると、アラブ民族ではないイランが入らなくなってしまう。

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