2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 ピエルパオロ・ミッティカ著 児島修訳 『原発事故20年 チェルノブイリの現在』(柏書房)

2012-03-04 22:30:42 | 読書
本書は、恐らく2005年ごろに事故のあったチェルノブイリ原発の周辺の都市や人々(先天的な障害をもった子どもたちを含む。)をモノクロで撮影した写真集である。

福島第一原発事故によって、被害が少ない西日本の人々には読んでもらうといいかもしれない。なぜなら、そこには立ち入り禁止区域となっている原発周辺の現在そして今後(数十年後)を想像できる写真があるから。注意としては、4枚ほど、放射能の影響によると思われる障害をもった胎児のホルマリン漬けの写真がありますので、子どもと見る際には事前にそのページを確認したほうがいいかもしれません。

本書の写真のさることながら、原発推進派の立場にあるIAEAやICRPといった機関についてもふれられているので、参考になると思います。日本のマスコミは、あまりそれらの機関がどのようなものであるのかについては報じませんから。

最後に、次の文を引用して終わりとします。現在の日本でも同じことが起きていないかを点検してください。

「経済を優先させるために、自称「専門家」によって、被害者はできるだけ人目に触れないようにされてきた。マスコミも同様である。(中略)放射線による疾患に苦しんだ最初の人びとは、十分な情報を持たない医者から「放射能恐怖症」と診断された。被曝直後に大きなダメージが与えらえなければ、その後、10年、20年が経過しても健康に影響はないと考えられていたのだ。これらの人びとを待っていたのは癌だった。(中略)TVや新聞はチェルノブイリ事故を「古いニュース」として報じた。(中略)西側諸国の人びとの心から、チェルノブイリの被害者の姿が消えた。」(200から203ページ)

※本書は図書館で借りた本ですが、お金に余裕があれば買おうと思います。
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