著者の小林美佳さんは、実際の性暴力の被害者である。本書は、著者が遭った被害後の精神状態や人間関係を主に記載している。あらためて、性暴力は一人の人間を破壊する行為だと思わされた。だから、そこから這い上がってきた人のことを「Survivor」(生還者)というのはわかる。
正直なところ、読むのがとても辛い本だった。だから、なかなか読むことができずに、買ってから、たぶん1年以上が経過していると思う。
恐ろしいことには、身近な女性に話を聞くと、学生時代に通学時の電車の車内で痴漢にあったということは珍しくないにもかかわらず、社会にはびこる性暴力に対する抜本対策がとられていないし、近い将来にもとられる見込みがないことだ。だから、いつまでも、被害者になる可能性が高い女性の側に、ただ「注意しろ」というだけ。それも、加害者を全くとがめずに。
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