クローディアは、毎年ロイ・フォッカーの戦死した日には必ず花をお墓にお供えしていた。
クァドラン・ローの攻撃を受け致命傷を負い・・・・・・
パインサラダを楽しみに死んだ愛する人・・・・
愛する人を殺した人は今も生きているらしいが・・・・
恨みはない・・・・・・
だって戦争だから、殺した相手からしても愛する人に大事な戦友を殺している・・・・・
仕方がない・・・・・仕方がない・・・・・
だから恨みはない・・・・・
クローディア「また来るわね、ロイ。」
新統合宇宙軍クローディア・ラサール中佐
クローディアはロイの墓を後にする。
また来年・・・・また来年・・・・・・・・と・・・・・
悲しみや寂しさをこれ以上増やさないためにも、長居はしたくない・・・・
いつも訪れる際に思うクローディアの心だった。
エドガー「よぉクローディアおばさん。」
新統合宇宙軍エドガー・ラサール大尉
クローディア「エドガー、私はおばさんじゃないのよ。」
エドガー「5歳も歳離れていたら、おばさんですよ。」
西暦2015年のロイ・フォッカーの命日・・・・・
従兄弟であるエドガー・ラサール大尉と再会した。
彼は空母アスカに乗艦し、ロイと一緒にマヤン島事件に遭遇しており・・・・
他の乗員と共に南アタリア島基地の職員に島流しにされ・・・・・
SDF-1マクロスの進宙式のあの事件に巻き込まれ、第1次星間大戦に参加した。
なお空母アスカはゼントラーディ軍の砲撃でインド洋で最期を迎えている。
エドガー「今年もフォッカー大佐の墓参りですか?」
クローディア「そうよ、毎年会いにいかないとね。」
エドガー「しかし、いいんですか?もう30歳、結婚はどうするんです?俺もメルトランの女の子と結婚しましたし・・・・・流石に寂しいでしょ。」
クローディア「余計なお世話よ、私の恋人はロイだけ・・・・結婚する気はないわ。」
帰り道、エドガーと一緒に帰るも・・・
クローディアの結婚話に繋がり、気まずい雰囲気になる。
今年でクローディアは30歳を迎える事になり、今だに未婚・・・・
エドガーは馬鹿にしたわけではなく、純粋にクローディアを心配して言ったが・・・
逆に不機嫌になるような結果になってしまった。
エドガー「でも親戚は心配してますよ、それに悲しんだって大佐は戻ってきませんし・・・それにこの結果を大佐は望んでません。新しい恋を見つけて幸せになってください。」
クローディア「エドガー・・・あなたに言われる筋合いはないわ!!私にはロイしかいない、あなたは私がロイにどんな思いを知ってそれを言っているの?親戚だって、私の気持ちは分からない。ほっといてよ、これ以上この話をするなら・・・私とあなたの親戚の縁は切るわ!!」
エドガー「なっ・・・・・・・・そうかよ、こんな屁理屈女と親戚なんて真っ平御免だ!!当分顔合わせないでくれ!!次会って今の状態なら、金輪際縁切らせてもらう!!」
更に心配する声をエドガーは伝えるが、とうとうクローディアの逆鱗に触れてしまう。
激しいクローディアの言葉に普段は陽気なエドガーもブちぎれてしまい・・・・
いつでも拳銃を取り出しそうな雰囲気になり、激しい言葉を吐いてその場を去ってしまう・・・・・・
その場にクローディアだけが取り残される。
本当は分かっている・・・・・
ロイが今の状態を望んでいない事ぐらい・・・・でもこうでもしないとどうにかなりそうだった。
気が狂うくらい・・・・・後悔しそうな事に・・・・・・
その後、クローディアはサーカス団ミリオム劇場に来てサーカスを見ていた。
部下であるシャミー・ミリオムの実家であり、月面アポロ基地に移り住んでいたため・・戦災から逃れている。
ずっと前にシャミーは資産家の息子と結婚し・・・・
その際に来ていたシャミーの親戚の多さに周りがびっくりした。
今もサーカス団は継続しており、時にマクロスシティに訪れては公演していた。
エステル「ラサール中佐じゃないですか、私の実家のサーカスに来てくださってありがとうございます。」
新統合宇宙軍エステル・ミリオム.少尉
クローディア「いいのよ、ミリオム少尉の従姉妹のシャミーにはお世話になったし。それにこのサーカス団好きだし。」
部下であるエステルはこのサーカス団の出身で・・・・
あのシャミーの従姉妹である。
エステルはまだ18歳の士官であり・・・・・・
お茶目なシャミーの風貌に大人らしさを加えた容姿である。
戦後入隊の彼女であるが、かなり優秀な管制官であり・・・・・
クローディアが頼りになると思わせる程である。
今回ミリオンサーカス団の公演でクローディアと居合わせたのは・・・
実家に顔を出していたからであり・・・・・
観客席に偶然クローディアを見つけたのである。
エステル「何か、悩み事ありますね。どうしたんですか?」
クローディア「親戚の坊やと喧嘩してね、傷心な状態で・・・・・・」
エステル「これは御愁傷様です。」
クローディアはエステルが質問してくると、エドガーと喧嘩した事を言う。
エステルの反応は御愁傷様ですと返すと、クローディアを心配したような顔になった。
親戚同士仲のいいミリオン家からすれば・・・・・
親戚同士の喧嘩はかなり大問題であり・・・一番の不幸と考えている。
一番の不幸を抱えた女性が今・・・・目の前に・・・・・
クローディア「そろそろ終了ね、私帰るから・・・・」
エステル「ラサール中佐、帰る前に飲みに行きませんか?」
クローディア「飲みに?」
エステル「そうです、不安な事吹き飛びますよ。」
サーカスの公演が終わり帰ろうとするクローディアに・・・・
エステルは飲みに行かないかと誘う。
いきなり酒を飲みに誘うエステルにクローディアは戸惑うが・・・・
身内のトラブルを黙って見過ごせないエステルはインパクト強く、酒に飲みに行こうと言ってくる。
流石のクローディアも流石に無視できなくなったのか・・・・・
クローディア「いいわよ、丁度飲みたかったし。」
エステル「ありがとうございます。」
エステルのお酒の誘いに乗った。
丁度、酒が大好きな愛する人ロイの命日だし・・・・・
エドガーと喧嘩した事を忘れたい・・・
そうしたクローディアの心の中で考えている事が・・・・・
エステルのお酒の誘いに乗る事に繋がった。
早速、サーカス団を後にし・・・・・近くのバーへ訪れた・・・
見た目はちょっと古めだが、つい最近建てられた新築ビルの中に入っている。
エステル「私、ちょっと友達と電話しますので・・・席を外します。」
クローディア「してきなさい、友人関係は重要よ。」
エステル「はい。」
席に座った二人だが、エステルは友達との用事の連絡がある事を思いだし席を外した。
エステルが席を外すとこの場にはクローディアは、一人バーボンを頼んだ。
バーボンはウィスキーと並ぶロイの好きな酒・・・・
今日はゆっくり、心の傷を治そう・・・・・
エドガーとの喧嘩と、ロイが死んだ時の悲しみと寂しさによる心の傷を塞ぐために。
クローディアはそう思っていると、つまみのカシューナッツと共にバーボンが出てくる。
出てきたバーボンのコップを手に取り、亡きロイに捧いだ。
クローディア「ん?」
そんな時、クローディアはある物に気がつく。
ウィスキーの入ったコップを二つ持っている同い年ぐらいの士官。
彼も同じように片方のウィスキーのコップを手に取り・・・・
何かに捧げるようにしている。
あの士官は何者だろうか・・・・
クローディアはバーボンとカシューナッツを取り、その士官に近づく。
エイデン「今は亡き愛するアンナよ、今年も静かに眠れ。」
新統合陸軍エイデン・フォスター.中佐
彼の名はエイデン・フォスター中佐。
アメリカ陸軍.地球統合陸軍を経て新統合陸軍の指揮官になっている35歳の男性・・・・
昔は素性が悪く18歳でアメリカ陸軍の軍人になったが、ASS-1の落下を受けて・・・
地球統合軍が設立し、そのまま移籍した。
統合戦争や第1次星間大戦をしぶとく生き残り、歩兵中隊長になっているが・・・・
35歳、今だ独身・・・・・・・・子供もいない。
結婚してない理由は、愛するべき人を戦争で亡くしたから・・・・
クローディア「すいません、合席よろしいでしょうか?」
エイデン「いいですよ、一人で酒飲むのも辛いですし・・・・」
クローディアはエイデンに一緒の席になっていいか聞いた。
エイデンは断わらず、むしろ歓迎と言う態度を取った。
どうやらエイデンもしんみり酒を飲むのは辛かったらしい・・・・
クローディア「コップが二つありますけど、どなたので・・・・?」
エイデン「結婚を決めた恋人のです・・・・・もう既に統合戦争で亡くなりました。」
クローディア「そうなんですか・・・・」
エイデン「それが今日・・・・・命日なんです。」
クローディア「えっ・・・・・・」
クローディアはエイデンに二つあるコップの意味を言った。
エイデンは怒る事なく、素直に今は亡き恋人のだと言う。
同じように愛する人を失ってしまった・・・・クローディアはエイデンに同情する・・・・
しかも、同じ日に愛する人を失ったと知った時はさらに驚いた。
エイデン「彼女は通信兵で、装甲車に乗り歩兵部隊である自分達を助けてきました。俺は彼女と惹かれあい、恋仲になり戦争を終えたらアメリカに戻り結婚しようと約束しました。」
クローディア「その彼女さんは何故命を落とす事になったの?」
エイデン「それは・・・ニューギニア戦線で・・・彼女が乗る装甲車が敵に攻撃されたんだ。あの当時の戦闘は激しく、俺の部隊が半数やられたんだ。俺は急いで野戦病院にかけつけると・・・彼女は致命傷を負い・・・モルヒネを打ち・・・ただ死を待つだけの状態だったんだ。」
ニューギニア戦線・・・・・
地球統合軍と反統合同盟軍はニューギニア一帯のエリアで激しい戦闘を繰り広げた。
まるで第2次世界大戦の1つ太平洋戦争の南方戦線の激しさを再現・・・・
いやそれ以上の苦しい戦場を強いられる事になった。
この時エイデンもこの戦いに参加し、恋人アンナを失う事になる。
エイデン「アンナを助けないんですか?誰か・・・・誰でもいい誰かアンナを助けてくれ!!頼む!!」
アンナは敵兵に銃弾数発を命中し致命傷を負った。
エイデンは黒いリボンを結ばれたアンナを前に助けを呼ぶ。
黒いリボンとはもう助かる価値のない事を証明する物であり・・・・・
致命傷を負った兵士らにつけられる。
すぐさま、野戦病院に運ばれ・・・・
負傷した仲間を運んでいたエイデンの元に、アンナが負傷したと言う情報が入り・・・
仲間を衛生兵に預け、アンナの元へ駆けつける。
しかし
アンナは黒いリボンが結ばれ、包帯がぐるぐる巻きになり・・・・
血の臭いが漂う・・・・・・
エイデンは必死に軍医や衛生兵・・・民間徴用の医師や看護婦に助けを求める。
が・・・・誰も相手にしてくれない・・・・
それもそのはず・・・戦場では助かる者を最優先に助ける。
助かる見込みも戦線復帰の価値のないアンナは誰も助ける気にはならない・・・
エイデンは必死に叫ぶも、アンナは・・・・・
もういいのよ、私より・・・生きる可能性のある人を・・・・エイデン愛していた・・・
と言う言葉を残し絶命した。
絶命したアンナを抱きかかえ、エイデンは絶句泣いた・・・・・・・
声にならない程大きな声で・・・・
エイデン「俺は死のうと戦場を彷徨った、第1次星間戦争ではゼントラーディ軍の砲撃を南極にいたせいで助かり・・・・結局死ぬ場所を得られずに今を生きている・・・・俺は・・・・・早く死んでアンナに会いたいのに・・・・・・」
エイデンは思い出したのか、涙を流し泣きながら自分の思いを告白した。
早く愛する人の元へ行くために戦地で死に場所を探すが見つからず・・・・・・
今こうして生きながられていると・・・・・・・
早く死にたいのに・・・・
何故生き残るかと・・・・・
クローディア「・・・・・実は私も愛する人を今日の6年前に亡くしましたわ。」
エイデン「えっ・・・・」
クローディア「第1次星間大戦で・・・・」
クローディアも自分も愛する人を失った事をエイデンに告白する。
自分と同じ悲しみを持つ人間を放っておくわけにはいかない。
同じように胸のうちを告げる・・・・・
そしていつまでも死んだ人間が・・・・・
生きている愛する人にいつまでも塞ぎ混んでいる事を望まないと・・・
望まないと・・・・・望まないと・・・・
クローディアも胸のうちを話しているうちに大事な事に気がつく。
死んだ愛する人は残した愛する人に自分の事を引摺りながら生きている事を望まない。
新たな出会いを得て幸せになって欲しいと・・・・・
エイデン「ありがとう、お陰で元気が出ました。」
クローディア「私もよ、さっきまで私もあなたと同じ気持ちでしたから。」
エイデン「はははは、ありがとうございます。」
クローディアの言葉を聞いたエイデンは明るさを取り戻した。
何かが晴れるかのように・・・・
クローディアも胸のうちを明かしたのか、表情が穏やかになる。
これをきっかけにクローディアとエイデンは話す機会が増え・・・・・
その様子に絶縁の危機に陥ったエドガーもびっくりし安心する程であった。
数年後、めでたく結婚。
毎年になると二人はそれぞれの今は亡き愛する人の墓を訪れ・・・
今の状態を報告していると言う。
最後に
いつまでも愛する死者に囚われてはいけない
死んでいった愛する人は、生きている人間に自分の事を引摺りながら生きて欲しくない。
望むのは新たな幸せを見つける事であり・・・・幸せに生きてもらいたいことである。
クァドラン・ローの攻撃を受け致命傷を負い・・・・・・
パインサラダを楽しみに死んだ愛する人・・・・
愛する人を殺した人は今も生きているらしいが・・・・
恨みはない・・・・・・
だって戦争だから、殺した相手からしても愛する人に大事な戦友を殺している・・・・・
仕方がない・・・・・仕方がない・・・・・
だから恨みはない・・・・・
クローディア「また来るわね、ロイ。」
新統合宇宙軍クローディア・ラサール中佐
クローディアはロイの墓を後にする。
また来年・・・・また来年・・・・・・・・と・・・・・
悲しみや寂しさをこれ以上増やさないためにも、長居はしたくない・・・・
いつも訪れる際に思うクローディアの心だった。
エドガー「よぉクローディアおばさん。」
新統合宇宙軍エドガー・ラサール大尉
クローディア「エドガー、私はおばさんじゃないのよ。」
エドガー「5歳も歳離れていたら、おばさんですよ。」
西暦2015年のロイ・フォッカーの命日・・・・・
従兄弟であるエドガー・ラサール大尉と再会した。
彼は空母アスカに乗艦し、ロイと一緒にマヤン島事件に遭遇しており・・・・
他の乗員と共に南アタリア島基地の職員に島流しにされ・・・・・
SDF-1マクロスの進宙式のあの事件に巻き込まれ、第1次星間大戦に参加した。
なお空母アスカはゼントラーディ軍の砲撃でインド洋で最期を迎えている。
エドガー「今年もフォッカー大佐の墓参りですか?」
クローディア「そうよ、毎年会いにいかないとね。」
エドガー「しかし、いいんですか?もう30歳、結婚はどうするんです?俺もメルトランの女の子と結婚しましたし・・・・・流石に寂しいでしょ。」
クローディア「余計なお世話よ、私の恋人はロイだけ・・・・結婚する気はないわ。」
帰り道、エドガーと一緒に帰るも・・・
クローディアの結婚話に繋がり、気まずい雰囲気になる。
今年でクローディアは30歳を迎える事になり、今だに未婚・・・・
エドガーは馬鹿にしたわけではなく、純粋にクローディアを心配して言ったが・・・
逆に不機嫌になるような結果になってしまった。
エドガー「でも親戚は心配してますよ、それに悲しんだって大佐は戻ってきませんし・・・それにこの結果を大佐は望んでません。新しい恋を見つけて幸せになってください。」
クローディア「エドガー・・・あなたに言われる筋合いはないわ!!私にはロイしかいない、あなたは私がロイにどんな思いを知ってそれを言っているの?親戚だって、私の気持ちは分からない。ほっといてよ、これ以上この話をするなら・・・私とあなたの親戚の縁は切るわ!!」
エドガー「なっ・・・・・・・・そうかよ、こんな屁理屈女と親戚なんて真っ平御免だ!!当分顔合わせないでくれ!!次会って今の状態なら、金輪際縁切らせてもらう!!」
更に心配する声をエドガーは伝えるが、とうとうクローディアの逆鱗に触れてしまう。
激しいクローディアの言葉に普段は陽気なエドガーもブちぎれてしまい・・・・
いつでも拳銃を取り出しそうな雰囲気になり、激しい言葉を吐いてその場を去ってしまう・・・・・・
その場にクローディアだけが取り残される。
本当は分かっている・・・・・
ロイが今の状態を望んでいない事ぐらい・・・・でもこうでもしないとどうにかなりそうだった。
気が狂うくらい・・・・・後悔しそうな事に・・・・・・
その後、クローディアはサーカス団ミリオム劇場に来てサーカスを見ていた。
部下であるシャミー・ミリオムの実家であり、月面アポロ基地に移り住んでいたため・・戦災から逃れている。
ずっと前にシャミーは資産家の息子と結婚し・・・・
その際に来ていたシャミーの親戚の多さに周りがびっくりした。
今もサーカス団は継続しており、時にマクロスシティに訪れては公演していた。
エステル「ラサール中佐じゃないですか、私の実家のサーカスに来てくださってありがとうございます。」
新統合宇宙軍エステル・ミリオム.少尉
クローディア「いいのよ、ミリオム少尉の従姉妹のシャミーにはお世話になったし。それにこのサーカス団好きだし。」
部下であるエステルはこのサーカス団の出身で・・・・
あのシャミーの従姉妹である。
エステルはまだ18歳の士官であり・・・・・・
お茶目なシャミーの風貌に大人らしさを加えた容姿である。
戦後入隊の彼女であるが、かなり優秀な管制官であり・・・・・
クローディアが頼りになると思わせる程である。
今回ミリオンサーカス団の公演でクローディアと居合わせたのは・・・
実家に顔を出していたからであり・・・・・
観客席に偶然クローディアを見つけたのである。
エステル「何か、悩み事ありますね。どうしたんですか?」
クローディア「親戚の坊やと喧嘩してね、傷心な状態で・・・・・・」
エステル「これは御愁傷様です。」
クローディアはエステルが質問してくると、エドガーと喧嘩した事を言う。
エステルの反応は御愁傷様ですと返すと、クローディアを心配したような顔になった。
親戚同士仲のいいミリオン家からすれば・・・・・
親戚同士の喧嘩はかなり大問題であり・・・一番の不幸と考えている。
一番の不幸を抱えた女性が今・・・・目の前に・・・・・
クローディア「そろそろ終了ね、私帰るから・・・・」
エステル「ラサール中佐、帰る前に飲みに行きませんか?」
クローディア「飲みに?」
エステル「そうです、不安な事吹き飛びますよ。」
サーカスの公演が終わり帰ろうとするクローディアに・・・・
エステルは飲みに行かないかと誘う。
いきなり酒を飲みに誘うエステルにクローディアは戸惑うが・・・・
身内のトラブルを黙って見過ごせないエステルはインパクト強く、酒に飲みに行こうと言ってくる。
流石のクローディアも流石に無視できなくなったのか・・・・・
クローディア「いいわよ、丁度飲みたかったし。」
エステル「ありがとうございます。」
エステルのお酒の誘いに乗った。
丁度、酒が大好きな愛する人ロイの命日だし・・・・・
エドガーと喧嘩した事を忘れたい・・・
そうしたクローディアの心の中で考えている事が・・・・・
エステルのお酒の誘いに乗る事に繋がった。
早速、サーカス団を後にし・・・・・近くのバーへ訪れた・・・
見た目はちょっと古めだが、つい最近建てられた新築ビルの中に入っている。
エステル「私、ちょっと友達と電話しますので・・・席を外します。」
クローディア「してきなさい、友人関係は重要よ。」
エステル「はい。」
席に座った二人だが、エステルは友達との用事の連絡がある事を思いだし席を外した。
エステルが席を外すとこの場にはクローディアは、一人バーボンを頼んだ。
バーボンはウィスキーと並ぶロイの好きな酒・・・・
今日はゆっくり、心の傷を治そう・・・・・
エドガーとの喧嘩と、ロイが死んだ時の悲しみと寂しさによる心の傷を塞ぐために。
クローディアはそう思っていると、つまみのカシューナッツと共にバーボンが出てくる。
出てきたバーボンのコップを手に取り、亡きロイに捧いだ。
クローディア「ん?」
そんな時、クローディアはある物に気がつく。
ウィスキーの入ったコップを二つ持っている同い年ぐらいの士官。
彼も同じように片方のウィスキーのコップを手に取り・・・・
何かに捧げるようにしている。
あの士官は何者だろうか・・・・
クローディアはバーボンとカシューナッツを取り、その士官に近づく。
エイデン「今は亡き愛するアンナよ、今年も静かに眠れ。」
新統合陸軍エイデン・フォスター.中佐
彼の名はエイデン・フォスター中佐。
アメリカ陸軍.地球統合陸軍を経て新統合陸軍の指揮官になっている35歳の男性・・・・
昔は素性が悪く18歳でアメリカ陸軍の軍人になったが、ASS-1の落下を受けて・・・
地球統合軍が設立し、そのまま移籍した。
統合戦争や第1次星間大戦をしぶとく生き残り、歩兵中隊長になっているが・・・・
35歳、今だ独身・・・・・・・・子供もいない。
結婚してない理由は、愛するべき人を戦争で亡くしたから・・・・
クローディア「すいません、合席よろしいでしょうか?」
エイデン「いいですよ、一人で酒飲むのも辛いですし・・・・」
クローディアはエイデンに一緒の席になっていいか聞いた。
エイデンは断わらず、むしろ歓迎と言う態度を取った。
どうやらエイデンもしんみり酒を飲むのは辛かったらしい・・・・
クローディア「コップが二つありますけど、どなたので・・・・?」
エイデン「結婚を決めた恋人のです・・・・・もう既に統合戦争で亡くなりました。」
クローディア「そうなんですか・・・・」
エイデン「それが今日・・・・・命日なんです。」
クローディア「えっ・・・・・・」
クローディアはエイデンに二つあるコップの意味を言った。
エイデンは怒る事なく、素直に今は亡き恋人のだと言う。
同じように愛する人を失ってしまった・・・・クローディアはエイデンに同情する・・・・
しかも、同じ日に愛する人を失ったと知った時はさらに驚いた。
エイデン「彼女は通信兵で、装甲車に乗り歩兵部隊である自分達を助けてきました。俺は彼女と惹かれあい、恋仲になり戦争を終えたらアメリカに戻り結婚しようと約束しました。」
クローディア「その彼女さんは何故命を落とす事になったの?」
エイデン「それは・・・ニューギニア戦線で・・・彼女が乗る装甲車が敵に攻撃されたんだ。あの当時の戦闘は激しく、俺の部隊が半数やられたんだ。俺は急いで野戦病院にかけつけると・・・彼女は致命傷を負い・・・モルヒネを打ち・・・ただ死を待つだけの状態だったんだ。」
ニューギニア戦線・・・・・
地球統合軍と反統合同盟軍はニューギニア一帯のエリアで激しい戦闘を繰り広げた。
まるで第2次世界大戦の1つ太平洋戦争の南方戦線の激しさを再現・・・・
いやそれ以上の苦しい戦場を強いられる事になった。
この時エイデンもこの戦いに参加し、恋人アンナを失う事になる。
エイデン「アンナを助けないんですか?誰か・・・・誰でもいい誰かアンナを助けてくれ!!頼む!!」
アンナは敵兵に銃弾数発を命中し致命傷を負った。
エイデンは黒いリボンを結ばれたアンナを前に助けを呼ぶ。
黒いリボンとはもう助かる価値のない事を証明する物であり・・・・・
致命傷を負った兵士らにつけられる。
すぐさま、野戦病院に運ばれ・・・・
負傷した仲間を運んでいたエイデンの元に、アンナが負傷したと言う情報が入り・・・
仲間を衛生兵に預け、アンナの元へ駆けつける。
しかし
アンナは黒いリボンが結ばれ、包帯がぐるぐる巻きになり・・・・
血の臭いが漂う・・・・・・
エイデンは必死に軍医や衛生兵・・・民間徴用の医師や看護婦に助けを求める。
が・・・・誰も相手にしてくれない・・・・
それもそのはず・・・戦場では助かる者を最優先に助ける。
助かる見込みも戦線復帰の価値のないアンナは誰も助ける気にはならない・・・
エイデンは必死に叫ぶも、アンナは・・・・・
もういいのよ、私より・・・生きる可能性のある人を・・・・エイデン愛していた・・・
と言う言葉を残し絶命した。
絶命したアンナを抱きかかえ、エイデンは絶句泣いた・・・・・・・
声にならない程大きな声で・・・・
エイデン「俺は死のうと戦場を彷徨った、第1次星間戦争ではゼントラーディ軍の砲撃を南極にいたせいで助かり・・・・結局死ぬ場所を得られずに今を生きている・・・・俺は・・・・・早く死んでアンナに会いたいのに・・・・・・」
エイデンは思い出したのか、涙を流し泣きながら自分の思いを告白した。
早く愛する人の元へ行くために戦地で死に場所を探すが見つからず・・・・・・
今こうして生きながられていると・・・・・・・
早く死にたいのに・・・・
何故生き残るかと・・・・・
クローディア「・・・・・実は私も愛する人を今日の6年前に亡くしましたわ。」
エイデン「えっ・・・・」
クローディア「第1次星間大戦で・・・・」
クローディアも自分も愛する人を失った事をエイデンに告白する。
自分と同じ悲しみを持つ人間を放っておくわけにはいかない。
同じように胸のうちを告げる・・・・・
そしていつまでも死んだ人間が・・・・・
生きている愛する人にいつまでも塞ぎ混んでいる事を望まないと・・・
望まないと・・・・・望まないと・・・・
クローディアも胸のうちを話しているうちに大事な事に気がつく。
死んだ愛する人は残した愛する人に自分の事を引摺りながら生きている事を望まない。
新たな出会いを得て幸せになって欲しいと・・・・・
エイデン「ありがとう、お陰で元気が出ました。」
クローディア「私もよ、さっきまで私もあなたと同じ気持ちでしたから。」
エイデン「はははは、ありがとうございます。」
クローディアの言葉を聞いたエイデンは明るさを取り戻した。
何かが晴れるかのように・・・・
クローディアも胸のうちを明かしたのか、表情が穏やかになる。
これをきっかけにクローディアとエイデンは話す機会が増え・・・・・
その様子に絶縁の危機に陥ったエドガーもびっくりし安心する程であった。
数年後、めでたく結婚。
毎年になると二人はそれぞれの今は亡き愛する人の墓を訪れ・・・
今の状態を報告していると言う。
最後に
いつまでも愛する死者に囚われてはいけない
死んでいった愛する人は、生きている人間に自分の事を引摺りながら生きて欲しくない。
望むのは新たな幸せを見つける事であり・・・・幸せに生きてもらいたいことである。