今回は、前回説明した音響管の「音響距離」を実験結果から考察してみます。
「音響距離」とは、音響管の共鳴動作から逆算した距離のことで、
構造上の距離でなく、音波にとっての距離という意味です。
実験としては、下記の二つ。
ユニットは、FOSTEXのP1000Kを使用しまして、
振動板面積に対し、400%(10×20cm)と200%(10×10cm)の音響管でテスト
します。折り返しの構造という不確定要素を含むため、どのような音響距離が表れるか注目です。
では、結果です。
<周波数特性、400%>
<インピーダンス特性、400%>
<周波数特性、200%>
<インピーダンス特性、200%>
まずは、共鳴周波数から考察してみます。
仮説では、最長距離に相当する共鳴周波数(=音響長)となる、、、と考えました。
このように比較すると、確かに折り返し端を移動させることで、それと相関があるように音響長が変化します。
一方で、「音響長=最長距離」という訳でもなく、
管の構造により、若干の差異があるようです。
さらに、面白い発見がありました。
折り返し部を広く(a/b=100%→200%)していくと、管から出力される音の、倍音成分がかき消されていくように見えるのです。
実際に、音響管の出口で音を聴くとそう聞こえるので、グラフにして見てみましょう。
基音(1倍振動)を0dBとして、各倍音の音圧を示しましたが、
やはり、a/b(折り返し部のゆとり)が大きいほど、倍音が減衰しているように見えます。
おそらく、折り返し部での干渉などが原因でしょう。
以前から「(90°折り返しでなく)180°折り返しが多いほど低音が出る」「折り返し部は、R(コイル)の効果があり、高音を減衰させる」といった話がありましたが、今回の実験でそれが確認できたといえます。
今回の実験で、折り返し構造について大分理解が進んできました。
次回は、「折り返し構造を変えて音響距離が伸びた場合」と「本当に管を伸ばした場合」で、どう特性が違うか確認してみましょう。
「音響距離」とは、音響管の共鳴動作から逆算した距離のことで、
構造上の距離でなく、音波にとっての距離という意味です。
実験としては、下記の二つ。
ユニットは、FOSTEXのP1000Kを使用しまして、
振動板面積に対し、400%(10×20cm)と200%(10×10cm)の音響管でテスト
します。折り返しの構造という不確定要素を含むため、どのような音響距離が表れるか注目です。
では、結果です。
<周波数特性、400%>
<インピーダンス特性、400%>
<周波数特性、200%>
<インピーダンス特性、200%>
まずは、共鳴周波数から考察してみます。
仮説では、最長距離に相当する共鳴周波数(=音響長)となる、、、と考えました。
このように比較すると、確かに折り返し端を移動させることで、それと相関があるように音響長が変化します。
一方で、「音響長=最長距離」という訳でもなく、
管の構造により、若干の差異があるようです。
さらに、面白い発見がありました。
折り返し部を広く(a/b=100%→200%)していくと、管から出力される音の、倍音成分がかき消されていくように見えるのです。
実際に、音響管の出口で音を聴くとそう聞こえるので、グラフにして見てみましょう。
基音(1倍振動)を0dBとして、各倍音の音圧を示しましたが、
やはり、a/b(折り返し部のゆとり)が大きいほど、倍音が減衰しているように見えます。
おそらく、折り返し部での干渉などが原因でしょう。
以前から「(90°折り返しでなく)180°折り返しが多いほど低音が出る」「折り返し部は、R(コイル)の効果があり、高音を減衰させる」といった話がありましたが、今回の実験でそれが確認できたといえます。
今回の実験で、折り返し構造について大分理解が進んできました。
次回は、「折り返し構造を変えて音響距離が伸びた場合」と「本当に管を伸ばした場合」で、どう特性が違うか確認してみましょう。
ついでと言っては何ですが、出口を狭めた共鳴管の場合、開口端補正が伸びて、実際の管長よりも大きくなるとの実験結果があります。
http://mixi.jp/neighbor_diary.pl?id=1903459869&owner_id=30908154&direction=next&new_id=1903501003
実際のスピーカーで、どの程度影響があるのか非常に興味があります。
もしお時間がありましたら、この項目を実験に追加していただけないでしょうか?
よろしくお願いいたします。
開口端補正については、今回確認できなかったので参考になります。
同様の実験を、小澤先生が「作りやすい高音質スピーカー」のp-235で解説していました。確かに、スピーカーユニットが付いた共鳴管でも同様のことが起こっています。あと、付帯音としての高次振動が減るのも見逃せないメリットとしています。
その結果から、小澤先生は共鳴管の開口部を半分ぐらいにすることを作品の定番としていますね。