オーディフィル公式ブログ (趣味の小部屋)

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FOSTEXの紙コーンフルレンジと、エンクロージャー設計の話

2021年09月11日 09時21分00秒 | ひのきスピーカー日誌

FOSTEXといえば、紙コーンのフルレンジユニットです。

もちろん、ウーハーやツイーターなどもラインナップしていますが、FOSTEXらしさを最も感じるのはフルレンジでしょう。
 
その歴史は長く、表題画像は今から約50年前の1972年のFosterカタログに掲載されていたものです。
 
トランジスタ用ラジオなどで培った、聞きやすく高能率なユニット作りの技術は、
家庭用オーディオでも大いに注目されました。
 
 
 
(写真FE126E)
 
とりわけFEシリーズの量産タイプユニットは、
手頃でありながら、瞬発力のあるキレのいい音を楽しませてくれます。
 
先ほど高能率と言いましたが、実際の数値では90db程度。
市販の大型トールボーイ型スピーカーと同程度であり、そこまで目立った値ではありません。
 
 
(2021年発売のFE168SS-HP)

 
私は、その魅力的なキレのいい音のポイントは、振動板にあると感じています。
 
振動板を軽く作ることはできても、
それを癖が少なく、品位の高い音にするのは難しいものです。
 
大抵は、振動板の厚みを増すことで共振を減らしていきます。
もしくは、金属コーンのようにどこか1点で共振するようにして、ネットワークでその帯域を切り取るような設計にします。
 
 
しかし、FOSTEXの振動板作りは異なると感じています。
振動を押さえ込むことなく、なおかつ暴れさせることなく、
丁寧に振動を処理している様子が、その音から伝わってきます。
 
振動を丁寧に扱う方法論は、
アコースティック楽器作りに通じるところがありそうです。
 
良く鳴るようにしつつ、美しく鳴るようにする。
 
音楽を再生する道具には、そうした丁寧な作り込みが重要なのだと思います。
 
 
 
スピーカーユニットだけでなく、エンクロージャー(箱)も同じです。
 
単に振動を抑制するだけでは、生々しい響きから遠ざかってしまいます。
かと言って、無作法に鳴りすぎるのもNGです。
 
素材の癖を知りつつ、どんな振動状態を作っていくのかを考える。
それが、スピーカーのエンクロージャー設計の本質だと感じています。
 
 
 
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