待ちに待ったブルーレイ版『愛のむきだし』がようやくリリースされました!SD画像からのコンバートということで、フルHD化でもやはりよく観る粒子感がありますが(夜のシーンはカメラのせいか『タクシードライバー』などと比べると明るすぎる気も)、フルHD化されたことでDVD版よりもより立体感が増した感があります。特にフルHDのモニターで視聴すると。また音声バランスがとてつもなく悪かった音質も今回は園子温監督が監修したということで適切なレベルに調整され、視聴に耐えうるものとなっています。
ブルーレイ化万々歳!と言いたい所ですが、今回のブルーレイはスリーブが付いているだけで、特典と呼べるものは皆無です。英語字幕付ですが、それだけ。海外版にはDVD版の特典ディスクに収録された内容と同一と思われるものが収録されるというのに…この値段でスリーブだけってなめてるのかと思いますが、ここは日本なので仕方がないです。
今回久しぶりに見返してみて、ユウの母親の面影をヨーコが宿していることに今更ながら気づきました。ユウがマリアと言っていた存在はユウの母親であり、マリアだとユウが思ったヨーコの容姿はユウの母親に似ていると。そしてそう思うと、やっぱり『エヴァ』の相似なんだという思いが新たになりました。まぁー妄想ですが。
マリア=母親に拘泥しているユウは仲間といくら女性たちの股間を盗撮しても勃起することが出来ない。つまりはユウは男になれない。一方でヨーコは父親からの性的虐待の経験から、男性性を憎悪し男嫌いとなってしまったヨ―コ。つまり、ストレートという意味では、ヨーコは女になれない。加えて、コイケも性を抑圧されて育った結果、セックス自体を憎悪し、自分が好きだった男子に告白されると彼を殺し、勃起したままで脳梗塞に陥った父親の性器を切り落とした。
その二人が仕組まれたボーイミーツガールで出会う。ユウは男としてではなく、女装した姿である女番長サソリとしてヨーコと出会う。そしてユウはヨーコのパンチラで生まれて初めて勃起し、ヨーコは生まれて初めてオナニーをする。つまりはユウは初めて男となり、ヨーコは初めて女になる。ただユウは男としてヨーコを女として見ているが、ヨーコにとってはユウは男のユウではなく女のサソリさん。ヨーコは同性としてのサソリに女を見て、女となったために自分をレズビアンだと思ってしまう。
園監督の作品に共通する、父親の不在(母親の不在でもある)やキリスト教、セックスというモチーフが『愛のむきだし』にももちろある。そこが、特に父親と母親の不在が、『エヴァ』と共通するため、ぼくには『愛のむきだし』が『エヴァ』の合わせ鏡に見えてきたのだと。ユウは言うまでも無くビジュアル的にもシンジであり、ヨーコは綾波でありアスカであると、そういう風に見えるのです。綾波が母親の碇ユイであり、自分かも知れなかった存在である点などなど。
そして見直して実感したのは、満島さんの可愛さ。この時期の可愛さは犯罪的な可愛さ。やば可愛い。安藤サクラさんの絶妙なエロさ。エロいですよ。だからこそのコイケ役なんでしょうが。
TBSラジオ「たまむすび」内「伊集院光のTSUTAYAに行ったら、これ借りよう」6日分では浅草キッドの水道橋博士がゲストの回で、水道橋博士がすすめたのが『愛のむきだし』でした。ブルーレイ版の発売に合わせてきたんでしょうか。2週間後感想編の放送も楽しみです!
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愛のむきだし